Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ヴァーチャルアイランド・プログラム26.

2009年01月31日 | Design&3DCG
 今週は、学部の卒業論文・作品の受付、及び大学院の論文・作品の受付があり、さらに私の講義の小論文の締め切りが、重なった。
 私は今年、幾つかの受付の担当者であるので多忙を極めた。多忙の理由は、時間に間に合わずに遅れて提出する者がいることだ。どんなにお願いされても時間に遅れれば、私としては対処のしようがない場合が多い。それでも、本人は、修士論文などがあたまにあり、パニック状態だから、何をいってもわからない。 また、大概こういう場合に機器のトラブルを理由に挙げるのが提出者の常だが、そういうトラブルを見越して、こちらは締め切り時間を設定している。
 こんなのもあった。それは提出時間を18時(本来は正午に提出なのだが)まで待ってくださいという言い分だ。私は18時から外で会議があるので、学生の言い分を聞けば、会議を待つ多くの社会的人間に迷惑がかかるのである。そういう相手の立場や都合を配慮しない学生の言い分には、少し腹立たしさを感じる。
 こうした受付事は学事日程だから、すべてが事務的に進められてゆく。本人は先生にたのめば、なんとかなるかと思ってメールで論文をデータでよこす人間もいるが、既に書類提出後であれば、事務的に処理されてしまうので、どんなにお願いされても、それは制度・仕組みなのだから、私だって手がつけようがない。コンピュータは、そういった温情がきかないことがわかっているのだろうか?既に21世紀のインターネット社会であるのだ。 
 さて今日の3DCGは、インスタレーションの続きなのだが、これまた珍奇な映像である。トリノの大聖堂の空間でブーリアン減算してから、フィギャーを配置したのだが、鏡像が正確に左右逆なのである。リアルライフでは、こういうことはおきないのだが、コンビュータは正確な判断をした。減算する空間オブジェクトに金色の設定をしたので、その裏側がのこっているという理解だろうか。それはそれで、コンピュータなりに正しい計算結果であり理論である。
 間違える、つまり非論理的なのは常に人間の方である。それがコンピュータ化社会である。どこか論文等の提出状況に似ていて面白い現象だと思う。
 
制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム25.

2009年01月30日 | Design&3DCG
 ヴァーチャルアイランドのなかに湖がある。ランドスケープソフトVueの地形を加工していたときに、なんとはなしにできたところである。
 当初は、リゾートをつくる上で、湖という地形のアイテムが増えることは、プラスだろうといった程度の関心であった。撮影をする段になって、さてこの湖をどう使うか。単なる風景では、ありふれている。そこで、環境インスタレーシヨンを行おう、といったストーリーをたてた。
 湖上に置かれた三つの素材の異なるキュービクルに、くり抜いてあるのは、左からミラノのドゥオモ、ローマのパンテオン、フィレンツェの大聖堂の屋内空間である。こんなことを実際に行ったら、相当なコストになるのだが、ヴァーチャル空間では、簡単にできてしまうというところが面白い。静かな湖上に、古典建築の空気が漂う、リゾートのインスタレーション風景であろう。
 手法としては、ブーリアン減算を使用した。古典建築空間の断面で、キューブをくり抜いたのである。そのときに古典建築空間のテクスチャーを反射率の高い金属にしておいたら、テクスチャーだけは、キュービクルに残ったようである。あとはイメージにあわせ大気をすこし幻想的な様相にすればよいだろう。
 もう少し懲りたければ、靄等をはわせればよい。しだいに幻想的な度合いがましてゆくだろう。しかし、やり過ぎは、思った程の効果がでないときもある。ここでは、まあ、私の感性に見合ったところで留めておいた。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム24.

2009年01月29日 | Design&3DCG
 ヴァーチャルアイランドは、イタリアの火山帯に位置するから、当然火山がある、といったストーリーである。このマウント・ゴッバ火口のレンダリングは、かってこのホームページの扉でも使用した。
  実はVueはバージョンによって少しバグがあり、火口付近は、こんなに平に制作していないのだが、まあええかという気分でフィギャーを右下に配置した。後は火口にライトを落としただけ。火口のスリットから、グリフィンリゾートアイランドホテルが見えているところが、面白い。地形の密度を上げたら、レンダリングには、1時間以上かかったと記憶している。
 それにしてもこのヴァーチャルアイランド・ブログラムの受講者が本学では、去年と今年は皆無だったので、現在廃止の憂き目にあっている。まあそのときは、うちの大学では廃止して、他の大学に出向いたときに、そこで教えようかと思っている。
 あまりここでは語らなかったが、このプログラムは、れっきとした環境デザイン、とりわけ地域計画やデザインの課題として設えてある。いずれ少しその内容を紹介しよう。そうだ私の公式ホームページでは、英文で概要を掲載してある。
 そうした話は抜きにして、このブログでは、少し3DCGの面白さの一端を、語るに留めている。ヴァーチャルアイランド・プログラム自体は、コンピュータを多用しながら面白く学べて地域や環境を学ぶ課題になるのであるから、筑波大のW先生辺りに言えば、大学や院でやってくれ、というだろうな。
 おっと、仕事が増えるところであった。ここだけの個人的な、話としておこう。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム23.

2009年01月28日 | Design&3DCG
 マウント・ゴッバに登ろう!の続きである。島の北部は急峻な地形である。そんな雲海たなびく瘤の一つにフィギャーを立たせてみた。
 地形のテクスチャーには、いつものようにEcosystemを使用した。岩の一部に雑草が生えており、アクセントとなるなど、意外にこれは、よくできたソフトであろう。あとはさしたる技はないのだが、こうして遠景観でみるとリアリティがある。
 実際にこうした場所で撮影を行おうとすると、足場の設定やカメラの位置など実に大変であり、恐怖感もあるが、ここでは空中にカメラを据えてレンダリングしている。こういう簡単に撮影できるところは、3DCGの良いところである。こうしてヴァーチャルアイランドの観光プロモーション・シーンがまた一つできた。この画像を見ている人は、どんなコピーをつけるのだろうか。
 こうした3DCGソフトは、Vector WorksがCADから立ち上げ競れるので社会的な実用性が高いのだが、私のようにスケマティックな方法=あまり設計をしないか、ほとんどしないで、いきなりイメージを構築しようとすると、CAD系ソフトは無能である。やはりCAD系ソフトは、ドラフトマン御用達といった印象をわたしは持っている。通例私の場合は、Illustratorで部材を制作し、Strataで3D化し(ホンとはShadeの方が互換性がよいが)、Vueへ持ってくる、といった使い方をしている。
 私は、ときには、illustratorで設計をしているときもある。こちらのほうがVectorよりも発色が良く、多彩な表現が可能だからだ。設計にIlluatratorをつかうという方法は、実は私の大学の一期生が行っていた方法であった。私も最初は、こんなんで設計が・・・と思っていたが、表現力ですぐれているので、以後はIllustratorを多用する。実施設計はドラフトマンに任せればよい、という考え方である。すくなくとも都市デザイン系の仕事では、イラレ或いは手書きで十分だ。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム22.

2009年01月25日 | Design&3DCG
 今日は、ゴッバ山へ登ろう。というわけで、登りはじめの、 左手にゴッバ山腹が見え、 右手にヴァーチャルアイランドの入江が見える 小高い丘で撮影といったストーリーである。
 名前の通りいくつかの瘤があるのが、景観の特徴だ。というわけで、ヴァーチャルアイランドの少し小高い、丘にフィギャーを配置してみた。地面の草地のテクスチャーは、Vue5のEcosystemで制作しているので、いちつものように1クリックで設定できた。Ecosystemは、Vue5以降から搭載されている機能だ。後は気候なのだが、この土地は地中海に設定しているが、それでは少し遠近感にかけるので少し湿度が高い気候の設定にしてある。少し背後の山並みなどが、霞んでいるのが、わかるだろうか。
 しばしばランドスケープソフトで制作した島の外観だけ、レンダリングして終わりという受講者が多いのだが、それではせっかく制作したのにもったいない。もっとカメラを島の内部にいれて、気候を変化させながら、美しい風景を探してレンダリングしてもらいたいと思う。Vueは、同じ風景が二度とできないように、設定されている。あなたが偶然制作した風景も、意外な面白さを秘めているからだ。
 ここの風景も実は、カメラを島に落としたり、向きを変えたりしながら、気候を変化させつつ発見した風景である。そんな操作をしているうちに、ここにモデルを配置したら、どういう風景になるだろうか、といったイメージ・シミュレーションが大切である。そんなイメージで、どんなリゾート・ストーリーがつくれるかといった展開も大切な制作要素である。
 もう一つ書き加えると、通例3DCGソフトには、縮尺というものがない。ここでは、Ecosystemで制作した草原のテクスチャーに合わせて、フィギャーのサイズを配置した。あとはライティングで、絵にしたわけである。実際フィギャーは、オーバースケールなのかもしれないが、こうした場合では、違和感がない。それはまさにランドスケープというものの特徴なのである。大きな空間の中では、多少のスケールの違いは、相殺されてしまうということだろう。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム21.

2009年01月24日 | Design&3DCG
 前回のグロットでの話を続けよう。アングルを変えて撮影したらどうだろうか。
 そこで上から真下を見下ろすアングルとした。だが水面下の海底のテクスチャーが今ひとつグロットの雰囲気とは、かけ離れている。そこで、海底にVueのEcosystemを用いて岩石のテクスチャーにした。おおっ!これは正解であり、結果として面白い表現になった。実際にこんな風景はないだろうけど、仮想環境だからクリック一つで、透明度の高い海水と乱に配置された岩石とが、静謐なグロットの雰囲気になっているだろう。このあたりが、レンダリングをしていて面白いところだ。Vueというソフトは、アイデア次第で絵になる風景を生み出してくる意外性があるということが面白い。
 意外性といえば、話題は変わるが、この1年間の講義で唯一質問があった。それは、私が授業の開始時間を30分遅らせるアナウンスをしたので、終わる時間は何時かという質問であった。私も幾つかの大学で教えており、講義内容に関しては、しばしば質問を受けるし、追いかけてくる学生もいるが、本学のように講義内容に関する質問は皆無で、授業の終わる時間を質問してくるとは、これには意外だった。
 もう一つ意外性があった。昔私のゼミに出席していた学生だが、「今日は着物の着付けがあるので、ゼミは休ませてください」というのがあった。まあそれならば、大学に来ないで着付け教室に通えばええだろうと言った。
 リアルライフも、私から見れば消極的な意外性に満ちあふれているようだ(笑)。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム20.

2009年01月23日 | Design&3DCG
 ヴァーチャルアイランドの史跡を訪ねてみよう。地中海のリゾートを調べていたら、グロット(洞窟)が、こうした地域には、多々あることがわかった。そこで、我が島にもグロット名所を、というストーリーでオブジェクトを制作した。
 グロットは、周囲の風景が見えないから、制作は容易だ。Vueのなかに箱をつくり、内部をグロットらしく設えるだけでよいだろう。ここでは、ヴァーチャルアイランドで多用しているテクスチャーを用いて、この島の一角にこうしたグロットがあることを暗示している。複数の柱のようなオブジェクトは、地形オブジェクトを変形させ、180度回転させて配置した。グロットには、入り口を設けておけば、僅かな明かりが壁面をそれとなく照らしてくれる。
 あとは、Poserでフィギャーを制作して取り込んだ。ライティングをフィギヤーの側面と水面下とに配置し、立体的な陰影をつくることにした。さしずめ少しアーティスティクな、ファッション・フォトグラファーの作品風、といったところだろうか。スタイリッシュなフィギャーだから、絵になっている。仮想環境では、モデルや撮影隊の費用や機材がいらないし、天候で作業を中断することもない。
 こんな仕事をしていると、人間と区別がつかないほどの精緻なフィギャーを制作し、仮想環境で撮影したプロモーション・ポスターができるだろう。多分費用もリアルよりは遙かに安く、時間もすばらしく早いのではないか。きっと広告業界では、そんなことをすでにしているのかもしれないと思った。
 或いは、現在の若い女優を3次元スキャンして、フィギャーデータにしておくというのも一方だ。30年後に、あり得ない俳優同士を組み合わせた映画ができるかもしれない。それにしてもボディの3次元スキャンに加え、穴という穴はすべてデータ化しなければならない。だって口を開けて笑ったときに、口の中のデータがなかったら、おかしいだろう。
 そんな、たわいもないことを考えながら、この3DCGを制作していた。

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ヴァーチャルアイランド・プログラム19.

2009年01月22日 | Design&3DCG
 昨日は天気が悪くグルーミーな1日だった。うっとおしいことが複数重なると、気分はめげそうになる。さて今日は、グリフィンリゾートアイランドの海底を紹介しよう。 
 すでにストーリーにあるように、ここのロケーションは、地中海なのだから、歴史から判断すれば古代や大航海時代の遺跡が、数多くあるだろう。そこで、海底に眠る古代神殿の遺跡を制作してみた。操作は至って簡単で、大きなボリュームの質感を水にすればよい。あとは古代神殿や海底のエレメントを設え、魚でも泳がせておけばよい。古代神殿のエレメントは、グリフィンリゾートアイランド・ホテルのオブジェクトを、流用した。実に簡単な設定だ。もっと懲りたければ、神殿のテクスチャーを海底の古代の様相にすればよいが、ここでは省略した。
 簡単なので調子に乗って制作していたら、古代神殿の柱が水中で浮いているではないか。まあ、ここは後で直せば簡単に済むことなので愛嬌だな。このブログラムでは、ストーリーの意図が相手に伝わればよいのだから、この3DCGで十分だろう。
 世の中には、厳密に扱わなければ気が済まない凡人と、アバウトでも意図することを適切に読み取れる才人とがいる。前者の人から言わせれば、地中海にこんな魚がいるんですか?といった質問が出そうだ。私としては、魚が重要なのではなく、ストーリーなのだから、そういう凡人の質問は、無視するだろう。
 人とつきあうときは、相手を選ぶべだろう。凡人とつきあっても、それ以上の刺激がないし、時間ばかりが無駄に過ぎてゆき、うっとおしいだけだが、才人とつきあうと、色々と勉強にもなり、かつ創造的で、こちらの意識や能力が向上する。少し話題がそれたか(笑)。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム18.

2009年01月21日 | Design&3DCG
 さて前回の海底の火口跡にフィギャーを組み込んだのがこのCG。ストーリーは、リゾートでは、よく行われる自然の地形を利用して開催される夕方のインスタレーション、といった具合だろうか。前衛的なダンス・パフォーマンスを水上の舞台で演じているといった場面をイメージしている。
 Poserのブィギャーは、アメリカ人の理想的なプロポーションを意識した故か、大変スタイリッシュにデザインされているので、そのまま使用してみた。これは意外に正解だった。というのもPoserのコスチュームは、Vueに持ってくると衣服の質感などの完成度が今ひとつの表現なので、プリミティブなスタイルで正解だったようだ。またポーズ自体は、ライブラリーに少しあるのだが、当然制作者の意図が反映できるように、フィギャー自体を簡単に動かすことができる。ここでは、すこしダンシング風のポーズとしてみた。
 こんなことをやりだすと、実際に音楽を入れて踊らせてみたくなる。新しいVueのバージョンでは、アニメーションもできるので、そうしたことは可能なのだが、この辺のしつらいは、受講生の方が巧みであろうから、彼らににまかせよう。
 こんな具合に制作してゆくと、少しリゾートライフの一端をCGで語ることができよう。このブログラムでは、リゾートでの暮らしを意識した制作方法を推奨している。どんな環境であれ、そこに暮らしの気配というものがあって、はじめてデザインなのである。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム17.

2009年01月20日 | Design&3DCG
 ランドスケープソフトVue4Espritを用いて最初に制作したのが、このCG。どこかしらジョニー・デップが主演だったパイレーツ・オブ・カリビアンなどに登場しそうな、海賊の城のようだ。
 フゥーン、地形はこんな風にクリック一つでできるんだ。アッハッハッハ、なるほど、乱数表を用いたように同じ地形にはならないんだ。確かに自然界には全く同じ形というのは、存在しないからね。なかなか優れものではないですか、このソフトは。このCGは、そんなことに感激しながら、15分ぐらいで制作した。
 こうしてみてみると、なかなか実写のようではないですか。それでは暑中見舞いの葉書に使おう。というわけで、ロゴを入れてプロデュースの仕事仲間に送ったのです。そしたら、何処に遊びに行ったんだいという、質問がきた。ちゃんとVirtualと書いておいたのだが、CGが写真のように見えたので、その名称を地名だと勘違いして、いろいろ検索したらしい。
 せっかく制作したのだから、このCGもヴァーチャルアイランド・プログラムにも組み込もう。さてストーリーだが、設定地がイタリアだから、火山がある。ならばさしずめヴァーチャルアイランドに隣接する海底の火口の名残とでもしておこう。いささかこじつけがましいのだか、ランドスケープ・ソフトは、ストーリー次第で、いろいろと使い回せるというところが便利だ。
 さて次は、ここにフィギャーをいれてみようか。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム16.

2009年01月18日 | Design&3DCG
 Vueには落下モードがあるので、フィギャーを地面の上に立たせるときは容易である。しかし、バーチャル環境には、ないものがある。それが重力である。重力は、視覚化されない要素なのであるが、この写真のように小舟を浮かべ、その上にフィギャーを配置するという具合に複合化した場合、Vueの落下モードは旨く機能してくれない。
 そこでこういう場合は、フィギャーの重さで小舟は前後に傾斜するであろうといった、現実環境での経験に沿い、しかも写真的な見栄えを考慮してオブジェクトを構成した。ヴァーチャル環境を制作する場合、現実環境での経験は、ものすごく大切なことである。
 次に背景は、二つの地形を用意して、それぞれにEcoシステムを使用した。このEcoシステムは、Vue5から新たに搭載されている機能であるが、いわば大量の樹木などを適宜自動的に配置してくれる。だから全体として森の風景が地形の傾斜や遠近感に沿って最適化され、操作はワンクリックですむのである。私のようなスケマティック・デザイン志向の立場から見ると、簡単で大変便利な機能である。
 後は遠近感を出すために、少し湿度の高い気候を設定し、いつものようにライティングすれば、こうしたレンダリングができあがる。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム15.

2009年01月17日 | Design&3DCG
 通例、モデルの撮影において、長い焦点距離のレンズを絞り開放付近で使用すると、被写体の前後の風景はぼける。こうすることで被写体を引き立てようとする手法である。Vueでもこの手法を取り入れることができる。それがこの要塞の廃墟で撮影したのが、このレンダリングである。
 少し話題は変わるが、物事に名前をつけることについて、追加して述べておこう。例えばこのヴァーチャルアイランドの地名をつけることでもそうなのだが、私達が使用している言葉は、過去に誰かによって物事に名前が与えられ、意味が付加され、そして活字もつくられてきた。言葉というのは、人類による最初の創造物である。そんな誰かによってつくられ、使用されてきた創造物である言葉を私達は、引き継いで使用しているのである。
 言葉を、引き継いで使用している環境に甘んじていると、物事に名前をつけたり、新しい概念を言葉で表現することが、本学の学生達は大変下手である。そういうのをボキャ貧と呼ぶのだろう。だからこの課題では、地名をつけたり、新しい概念をコンセプトチャートとして表現してゆく訓練を課している。
 誰しも、子供が生まれたり、新しいお店や会社をつくったり、或いは新しいTV番組をつくれば、名前をつけるだろう。それを横から借りて加工したり、あるいは祈祷師の類にまかせたりしているのでは、良い名前はできない。現代人共通のこととして、物事に名前をつけたり、新しい言葉や漢字をつくったりするといったことに関する、知識と感性に欠落しているのではないかと思われる。
 そう、言葉や漢字は、その意味が説得力を持って一般的に通用すれば、大いに新しい読みや漢字の形を創造してよいのである。

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ヴァーチャルアイランド・プログラム14.

2009年01月16日 | Design&3DCG
 今日は、 グリフィンリゾートアイランド・ホテルの周辺を見に行こう。
 というのもヴァーチャルアイランドのロケーションを、地中海カプリ島の南に設定したから、当然歴史は古代から続き、大航海時代には人々の往来が活発だっただろう。もちろん海賊だってやってきた。だから島の中には、昔の要塞あるいは砲台跡といった史跡が存在するだろう。この島のロケーションを踏まえながら、そんなストーリーを建てた。
 さてオブジェクトで要塞跡をつくろう。といってもこれは実に簡単であり、グリフィンリゾートアイランド・ホテルのオブジェクト、特に上物を中心に削除したにすぎない。あとはVue4で苔むしたテクスチャーとすればよかろう。オブジェクトやアングルが変わると、それまでとは全く異なった風景が現れる。
 スケール感を踏まえながら制作してゆくと、フィギャーと背景の山との関係性は、現実の風景のように見せてくれる。遠くに行くに従って少し霞んでくる様子、それは気候条件の設定だけで簡単にできる。この辺りがVue4の優れたところである。
 ところで背景の山には、まだ名前がなかった。そこでロケーション地の言語であるイタリア語の辞書をひもときながら、マウント・ゴッバ(GOBBA)とした。「こぶ」という意味である。ヴァーチャルアイランドのいくつかのポイントには、主な地形の特徴から地名をつけている。ネーミングは、この課題の大変重要な要素である。未開の島に最初に住み着いた人々達が、最初に見た風景であるこの山をどんな風に呼んだのだろう。そんな想像力が、この課題では必要とされるのである。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム13

2009年01月15日 | Design&3DCG
 グリフィンリゾートアイランド・ホテルの擁壁の一部になんとはなしに、とりつけたデザインがあった。ここもタラソセラピーにしてしまえといったストーリーで、海とつながる屋内空間を設えた。
 一般に3DCGソフトには、スケールというものがない。言い換えれば好きなように設定できる。だからこそ、あらかじめスケールを決めておかないと、珍奇な空間になってしまう。ここでは、比較的スケールを合わせておいたので、フィギャーを取り込んだら、グリフィンの大きな空間は表現できたようだ。
 ストーリー上はタラソセラピーの風景なのだが、 比較的安易に制作したので、相変わらず概略的なデザインで済ませている。VUE4が適当に背景を、朝のようにこしらえてくれる。そうであるならば、柱のオブジェクトも、もう少し古典的なデザインにしておけばよかったかと思う。
 そうそう、一つ言い忘れた。古い要塞跡に建つグリフィンリゾートアイランド・ホテルは、最初からボリュームオブジェクトを組み合わせたりして感覚的に制作したので、平面図を制作していない。それは、なんとはなく頭の中にはあるのだか、制作の上であまり必要性がないので作らなかった。建築のデザインといえば、先ず平面プランだ、断面図だ、立面図だ、というのが20世紀の考え方だが、それは伝達媒体であって創造するための手段とは言い難い場合もあるだろう。時代はすでに21世紀だし、そろそろそんな貧しい発想から抜け出してほしいと私は思う。様々なクリエイション方法が人の数ほどあっても良いだろう。それだからこそ、建築デザインなのだと私は思う。
 このような書き方をすると、ある人からは、制作系なんですねとからかわれそうだ。だが私自身、オフィシャルホームページで掲載しているように論文も多数書いているし、私の研究室の院生の中からは博士も輩出している。つまり制作と論文とでは頭の働かし方が全く異なってくるのだ。そして少なくとも私には、制作と論文という2チャンネルのモードがあるということだ。いまどきそれは普通だろうなと思っている。

制作:2006年
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ヴァーチャルアイランド・プログラム12.

2009年01月14日 | Design&3DCG
 グリフィンリゾートアイランドホテルの中には、タラソセラピー(海洋療法)がある。この海際に古代の劇場様式を小さく模したクラシックな建築がある。 そんなストーリーで、ここでは制作している。
 ここではレンダリング時に、撮影レンズに15mmほどの超広角レンズで設定した。そんな高解像度で抜けのよいレンズは、実際にはVueのソフトが何本か買えてしまうぐらい高価なのだが、ヴァーチャル環境では、設定だけで済んでしまうので、個人的には笑えるところがある。
 もう少し資料を集めたりしてタラソセラピーのインテリアや家具などのしつらえをオブジェクトとして制作し、また最近のバージョンのVUEでは、アニメーション機能が付加されているので、リアルなストーリーづくりも可能なのだが、ここではランドスケープ・ストーリーの表現が主目的なので、それらは省略している。
 それにしても水の表現などは、1クリックでできるので、このソフトの使い良さは、大変優れものである。ここでは、オブジェクトを制作するのと、同じぐらいの時間をかけてレンダリングの制作している。シーンの撮影では、強い太陽でフィギャーが黒くつぶれるのを防ぐために、ライティングで少し光を補っている。

制作:2006年
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