レンゾ・ピアノ設計の関西空港を見ていると、2004年5月23日にパリ・シャルルドゴール空港(CDG)ターミナル2でおきた空港ビル崩落事故を思い出す。当時早朝で人出は少なかったが死傷者もだしている。
そうした話しをすると文科系は、すぐに設計ミスだと決めつける人種が多いのには閉口する。特に工学に関わる話になると文献や論拠も出さずにつくられた映像がYou Tubeに実に多く、そしてアクセス数も高い。そんなのをみていると日本は民度が低いと思わざるを得ない。これって鉄ちゃん達の親類だろうか。
さて実際に関空とCDGとは建築設計者も建築構造も異なる。CDGの調査委員会報告書の結論は、弱すぎた構造を指摘し責任を問わず技術的知見を得ることに落ち着いたと記憶している。当時の構造設計基準を満たしたから建設されていたわけであり、そうした建築が時間経過の中で外力を受けながら部材が変形なり破断をしていったのだろう。
この構造を見る限り崩壊した屋根がシェル構造を形成していたかは疑問だ。シェルならば鉄骨柱とガラス面は一体で応力となるべきだが、このあたりはよくわからない。
昔、文科系の質問に日本の高層マンションは安全ですか?、というのがあった。私の答えは「知りません。何を基準に安全といってるのですか?。心配ならご自分で構造計算書をみて確かめたらどうですか?」と答えた。
およそ建築は、法律が定めた基準を満たしているから建っているのであって、それを満たさない建築(例えば姉歯事件)は排除される。だが建ち続ける建築は常に外力を受け続けている。
例えば気象庁の地震情報によれば2024年5月15日から6月13日の間で120回以上の地震を観測し、最大は6月3日の能登半島沖でマグニチュード5.9(震度5強)があった。従って建築物は限界値を超えれば倒壊するだけの話である。だからいざというときには、逃げ出せる知恵や心構えが必要になる。あるいは雑居ビルみたいな逃げ出しにくい建築にはゆかないことだ。
以下にCDGの画像を引用した。「あら、屋根は木造だったんですか?」などという陳腐な質問はしないで欲しい。木造部分は内装材にすぎないでしょうがー。
因みにCDGの設計者ポール・アンドリューは、その後も多くの建築を設計しており、わが国では「なにわの海の時空館」がある。フーーん、手堅くバックミンスター・フラーの古くさい構造ですか!。彼も随分と保守的になったねぇー。当然新鮮味はなく来場者も少なく現在施設営業はしておらず、売却先もなく、大阪市の負の遺産になっているというのがWikの解説である。
引用:https://ameblo.jp/wanwancocococo/entry-12190120130.html