撮影機材の更新ブログを書いていた頃、2つのスチル写真の決定的瞬間をとらえた画像に目がとまった。昨年のアメリカ大統領選挙におけるトランプ元大統領が襲撃されたときの2枚のスチル写真である。
撮影者は、前者がピューリッツァー賞受賞のフォトジャーナリストでAP通信社のエヴァン・ヴッチ。このスチル写真が世界に配信(注1)された。
私がこの画像をみたときに感じた、トランプ氏の拳、そして星条旗に視線が誘導される巧みな三角構図はなんだろうかと考えていた。元画像をみると少しトリミングされていたことがわかる。アマナでプランナー・ディレクターを務める鈴木陸の解説(注2,注3)によれば、近代絵画の技法を用いた三角構図とする指摘もある。おそらく私は撮影者か或いは編集者によってトリミングされ配信されたと推測している。
さらに2枚目の画像(注4)は、Xで発表されたダグ・ミルズがとらえた弾丸が耳元をかすめる瞬間の画像である。
情報の断片を集約するとプロンプターに銃弾があたり飛び散った破片で怪我をしたと記述されていた。後者の撮影機材はSONYα1、1/8000秒とあった。
このスチル写真をビデオで撮影できるかというと、物理的には記録されるが判読や画像解析作業が必要となる。速報性を問うなら無理といってよい。というのもビデオカメラの映像は、1コマ24枚の画像で撮影されているが、通例シャッター速度は24コマ×2倍=1/60だからである。さらに早くても4K120fpsでは1/250以下だろう。常時そんなはや回しで映像撮影することはない。従って銃弾の軌跡は映らないほど早く、普段の映像映像では撮れないといってよい。
2枚のスチル写真をみると、映像では撮れない一瞬を記録するスチル写真の重要性を世に知らしめている。そんな歴史的事実とあわせてスチル画像の紹介記事をブログに書きとどめた。
Xにアップされた(注5)エバン・ビッチ氏の元画像とコメント
Evan Vucci @evanvucci 2024年7月14日
Republican presidential candidate former President Donald Trump raises his fist as he is rushed off stage after an assassination attempt during a campaign rally in Butler, Pa. @apnews
(エヴァン・ヴッチ @evanvucci 2024年7月14日 共和党の大統領候補ドナルド・トランプ前大統領は、ペンシルベニア州バトラーでの選挙集会中に暗殺未遂事件に遭い、急いでステージから追い出される際に拳を振り上げた。)
(記:2025年3月12日)
参考文献
1)トップ画像:Farst companyの画像。エバン・ピッチ氏の画像が世界のメディアを通じた発信された。Why Evan Vucci’s Trump photograph feels so historic(エヴァン・ヴッチのトランプの写真がなぜ歴史的に感じられるのかについて解説している。わが国でも日本経済新聞社などが画像をアップさせている。各紙がアップした紙面画像を引用した:
2)エバン・ピッチ氏の画像について紹介している日本のサイト:
https://insights.amana.jp/article/38650/
3)鈴木陸氏:
https://insights.amana.jp/event/speaker/22207/
4)ダグ・ミルズのスチル映像はHindustan Timesから引用:
https://www.hindustantimes.com/world-news/he-got-very-mad-meet-nyts-doug-mills-who-took-shot-of-bullet-whizzing-past-donald-trump-101721002726927.html
5)Xにアップされたエバン・ピッチの画像とコメント
追記:トランプ大統領が公開したJFK暗殺の記録
奇しくも大統領就任初日に大統領令にサインの一つにJFK暗殺の記録がある。約11万頁に及ぶ資料であり、世界がその読込にはしばらく時間がかかるだろう。
少なくとも新しいフレームが注目されている。
1)暗殺者はCIAではないこと。
2)イスラエルの影:最初の暗殺者とされたリー・ハーヴェイ・オズワルド、オズワルドを射殺したジャック・ルビーが二人ともユダヤ人だったこと。これまで二人は無関係だったとされているが実は知り合いだったこと。さらには当時副大統領でJFK暗殺後に大統領になるリンドン・ジョンソンは、熱烈なイスラエル支持者シオニストであった。彼らの背後にイスラエル情報機関モサドやイスラエルの影がうかがえる。JFKはイスラエルの核開発計画を中止させた経緯があった。さらにはなぜCIA暗殺説が登場したかのいきさつにもあきらかにされている。
3)当時のソ連は暗殺情報を事前に把握しておりアメリカに警告していた。
現時点で暗殺犯は特定できないが、解明に向かうキーワード・コンテクストがいくつも登場している。今後の研究と図書の発刊を待ちたいし、映画にもされるだろう。
JFK暗殺の第一報は、日米衛星テレビ放送が開設された初日に飛び込んできたニュースであった。私は小学校の校内放送で事件をしった。以来四半世紀論拠のないまま放置されていた事件である。資料の膨大さには圧倒される。研究者達の結果をまちたい。
(記:2025年3月20日フィリピンにて)
記録のダウンロード
アメリカ合衆国国立公文書館(NARA)
検索項目:https://www.archives.gov/research/jfk 2,168報告書