カッパのロードスター

幌を開ければFeelin`good。カッパーレッドの
路渡☆くんとの楽しいドライブ日誌。

第十九番札所 霊ゆう山 行願寺(革堂)

2012-07-31 23:50:54 | 西国三十三所巡礼
『霊ゆう山 行願寺(ぎょうがんじ)』、通称「革堂(こうどう)」です。
霊ゆう山の「ゆう」の字は変換できないようです。鹿の下に「匕」が付きます。
かなり特殊な字のようで、この漢字のことを調べようとしても
このお寺のことしか出てきませんでした・・・



京都市中京区寺町通竹屋町上ル、ここも街中にあります。
17番 六波羅蜜寺、18番 頂法寺(六角堂)と同じ日、バイクで移動三連チャン。










このお寺の開基、行円上人は、もともと猟師だった。ある時に山中で雌鹿を
射止めたのですが、お腹には仔鹿がいて、死に際に仔鹿が生まれてくるのを
見た上人は、殺生の罪深さを知って仏門に入ったと伝えられています。
その牝鹿の皮で法衣をつくり、常に身につけていたことから革聖(かわひじり、
革上人と呼ばれ庶民に命の尊さを説いて回られたとか・・・

創建の地は京都御所の西、現在の京都市上京区小川通一条辺り。
その名残か、山門前の石碑には「一条かうだう」と刻まれています。これは
かつて一条にあったことなのか、一条天皇の勅願寺なのでか諸説あります。
逆に創建の地付近には革堂町、革堂仲之町、革堂西町の町名が残っています。








寺は1590年、豊臣秀吉によって寺町通荒神口に移され、さらに1708年の
宝永の大火後、現在地に移り、新たな逸話を生むことになります。

時は江戸後期。寺近くの質屋に、江州からお文という娘が子守の奉公に来ていた。
熱心な法華信者であった質屋の主人は、お文が寺に日参し、自然とお堂から聞こえてくる
御詠歌「花を見て 今は望みも 革堂の 庭の千草も 盛りなるらん」をそらんじ、
子にうたい聞かせるのが気に入らず、せっかんして死なせてしまった。
主人は彼女の両親には男と失踪したと知らぬ顔を決め込んだ。
その話に納得できない両親は、革堂の千手観音像に娘の無事を祈ります。
すると、お文の亡霊が現れ、
「主人に殺され庭に埋められています、鏡を一緒に埋めてください」と告げました。
鏡は奉公に行く際に母親からもらった大切な手鏡のことです。事実を知った両親は
娘を不憫に思い、お文の子守りをしている姿を絵馬に描き、手鏡と一緒に奉納しました。
この手鏡は絵馬の裏側にあり、まるで悲話を語り継いでいるかのようです。

これがこの寺に残されている「幽霊絵馬」の伝説。ちなみに悪行を犯した主人は
処刑されたとのこと。現存する「幽霊絵馬」は縦1m、横30cmの板に手鏡がはまり、
子守をするお文の姿が描かれているそうです。
8月22日~24日の3日間に行われる幽霊絵馬供養の際には絵馬を拝観することができます。



「延命地蔵菩薩堂」と「手水舎」



「本堂」
大きなお堂ではありませんが、なかなか重厚です。


鬼瓦さんも立派。


ここの賓頭盧尊者さん、
前掛け?に隠れてほとんど姿が見えません・・・

ちなみにこのお寺、現在は西国三十三ヶ所の中で唯一の尼寺となっています。


「行円上人真影」石碑
皮聖(かわのひじり)と呼ばれた行円上人の姿が描かれています。
そう言えば六波羅蜜寺の空也上人も鹿の皮ころもを身につけていたと・・・
30年ほどの年代差はあるようですが、この頃の流行ファッション?(^_^ゞ
鹿皮の衣というのは当時かなり奇抜で、世に存在を知らしめることに。
空也上人は好きだった鹿が猟師に殺されたものを。行円上人は猟師であった時、
自分が殺生した鹿の皮を、両者とも生涯身に着けたと言いますから、
似ているようで異なる?でも共通点を感じてしまいます。


「灯籠」

行願寺は西国札所だけではなく、『京都七福神巡り』の一つでもあります。







行願寺には寿老人が祀られています。鹿つながりでしょうか?
※寿老人…人の寿命を支配する星の化身で三千年の長寿を保つ玄鹿を従え、
人々の難を払う団扇を持っていることから、福財・子宝・諸病平癒・長寿の
功徳ありといわれています。


「愛染堂」と「寿老人神堂」


「寿老人神堂」の中を覗くと寿老人が・・・♪



「鐘楼」と「鎮宅霊符神堂」が並んでいます。



こうして見ると、こぢんまりですが凝縮されているような。
ここもまた街中のオアシスのようなお寺でした。

さて、境内のさらに奥には


「宝篋印塔」と「百体地蔵尊」





「加茂大明神五輪塔」
五輪塔の水輪がくり抜かれており、その穴の中に「加茂大明神」が祀られている。




2012.5/27、革堂(行願寺)にて。



○宗派:天台宗 ○開基:行円上人
○御本尊:千手観世音菩薩 ○創建:寛弘元(1004)年

御詠歌「花を見て いまは望みも 革堂の 庭の千草も 盛りなるらん」