朝からアカデミー賞受賞が行われているようだ。メイクアップ賞をとったカズ・ヒロが「日本の文化が嫌になってしまい、夢をかなえるのが難しいからだ」というスピーチが秀抜だった。賞とかとるとすぐに日本人という枠だけで紹介しようという島国根性をぎゃんふんと言わせた。そして午後にはついに「パラサイト」が作品賞、監督賞、脚本賞を獲得というビックニュース。あの映画はほんとうにすごかった。ポン・ジュノの映画術の確かさは他の映画でも明らかだが、今回の作品はまさにすべての意味で本領を発揮したものと言っていいだろう。韓国社会の格差社会云々という評が朝日夕刊の一面にでかでかと出ていたが、その点からしかこの映画を見れない人は何もわかっていない。彼がすごいのはそういうところに着岸して、そこから自在に映画としての物語を120分以上まったく息つくひまもなく、フルに圧倒してしまう映画術である。黒沢明の「七人の侍」とか「羅生門」と同じように映画として見ている人たちを圧倒するその力量である。この映画をすでに二回見ている妻はこの受賞にかなり興奮していた。それはそうだろう。
連載の原稿5回分なんとか見えてきた。
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