デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

未解決ファイル 「波にさらわれた魂」

2020-12-17 22:15:42 | 観覧雑記帳
ジャンル TV番組(ネットフリックスオリジナル)

ネットフリックスのオリジナルドキュメンタリー番組で、舞台は石巻、東日本大震災のあとに、幽霊を見た、あるいは霊がとりついてしまった人たちの証言を集め、映像化したものである。このシリーズで扱われているものでは異色のものかもしれない。ただいわゆる神秘体験ものにはせずに、幽霊が出てくる必然性のようなものまで伝えようとしている。津波と幽霊に関する話は私も直接ではないが、いろいろ聞かされていた。本にもなっているものがいくつかあるが、テレビでドキュメンタリーとして描こうというところは日本ではないのではないかと思う。映像のもつリアリティーがきついような気もする。実際この番組のはじめのほうは津波の実際のシーンが流れる。この作品は海外でつくられているが、海外だからこそ可能だったのではないかと思う。栗原のお寺の住職さんの実際にあった霊にとりつかれたひとから霊をとりはらったという話と東北学院大学で津波のあとの幽霊の話を調査した先生の話を中心に組み立てているが、視点としては良かったのではないかと思う。最後の結論の部分で、東北人のメンタリティーが幽霊の話と繋がっていくというのにも説得力はあったように思える。津波と幽霊といえば柳田国男の『遠野物語』の99話に収められている話しを思い出す。明治の三陸沖地震の津波で妻子を失い、1年後に亡くなった妻の亡霊に遭遇した話だ。ただあの話しは亡くなった妻が結婚する前につきあっていた男と一緒に現れるというちょっと辛い話しになっているのだが。
これから震災津波後10年ということでいろいろまた取り上げられるのだろうが、死者からの視点というのも大事にしなければならないと思わさせてくれた作品であった。
いまから5年前に見た文化座の「幽霊さん」という芝居のことも思い出された。
この感想のリンクも貼っておく。
https://blog.goo.ne.jp/deracine/m/201507

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