デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

キメラ-満洲国の肖像

2007-04-04 15:12:22 | 買った本・読んだ本
書名 『キメラ-満洲国の肖像』
著者 山室信一 出版社 中央公論社(中公新書) 出版年 1993 定価 840円(税込み)

このところ満洲ものをよく読んでいる。いま追いかけている長谷川濬の関係なのだが、満洲関係の本は山ほどあることに驚かされる。そしてこのところ満洲ものの本が多く出されているような気もする。日本の侵略戦争を正当化し、憲法を改悪する道をひた走っている感がする安倍晋三の祖父岸信介あたりを再評価するものもあるから驚きである。この本は新書にもかかわらず、ていねいに満洲国の成立の背景を追ってくれる。石原莞爾の思惑、関東軍の暴走の背景がよく理解できる。『王道楽土』『五族協和』など、いかに高邁な理想を掲げていたとしても、結局は日本の天皇制国家の傀儡でしかなく、他民族を侵略した国家であったことはまちがいない。そうして偽りの実相を、きちんと学術的に解析してみせる。非常に説得力がある本であった。長谷川の絡みでいえば、彼が一期生として入学した大同学院、その前身となった資政局について詳しく知ることができたのは助かった。
新書ではあるが、専門書としても読める、内容の濃い一冊であった。
満足度 4


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