書名 サーカス放浪記
著者 宇根元由紀 出版社 岩波書店(岩波新書) 出版年 1988
40年ぶりぐらいに読んだのではないかと思う。著者がキグレにクラウンとして入団したということで、当時のことが知りたくて再読したのだが、自分のクラウンの仕事とか、クラウン的なものについてはほとんど記述がなく、ちょっとがっかり。ほとんどがキグレサーカスで生きる人間模様スケッチであった。久田恵子の「サーカス村裏通り」もそうだが、こうした知られざるサーカスの世界の裏側というものに関心があったということなのだろう。
懐かしかったのは清水章次郎君の名前が出ていたこと。この時はまだ子供だった。彼をテレビ番組のためにモスクワのサーカス学校に体験入学させるのに手伝ったことがあった。あの時は20歳前後だったのではないかと思う。キグレとはいろいろと縁があってこの後も彼のことは見ていたが、カンスーの他にも若い芸人さんたちの中心的存在になり、結婚して子供ができるぐらいまでは見ていたのではないかと思う。いまは40とか50ぐらいになるのだろうか。どうしているんだろう。自分は仕事で矢野サーカスにチェコの熊のショーを入れていたとき、何度か場越しの時に矢野サーカスに通ったことがある。テント裏のなにか不思議な共同体に惹かれつつ、入れないそんな気持ちの悪い思いを行くたびに感じていたことを思い出した。
ピエロのクリちゃんが亡くなって1年後に著者は最初はバイトとしてキグレに入団している。この時彼女は芸大の学生、ブーイサックの「サーカスの記号学」を読んでいたという。そして翌年にはどん亀座の亀田さんが入団している。そしてのちのキグレサーカスの社長となる小野さんも同期の仲間。この時のキグレは外から入りやすかったのかもしれない。それが当時の団長の水野さんの方針だったのかもしれない。
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