[用例研究 258] 〈不定詞 2 主語 / 形式主語として〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 1997 King Features Syndicate Inc.)
1 I’m in the mood for something light and not too filling.
1 Try the fruit salad platter.
2 Great call! That was a nice, light lunch.
2 See how easy it is to eat sensibly?
3 You want another one?
3 Yeah, but make it quick! My lunch hour is nearly over.
[解説]
1
・in the mood for~: 「~を望むこころ持ち(/氣分)で」
・filling: 形容詞で「お腹をいつぱいにする」「滿腹にする」
2
・call: ここでは「決斷」「選擇」の意味で使つてゐます。
・See how easy it is to eat sensibly?: It is easy to eat sensibly.(「賢く食べることは容易である」)から變化させた文です。「賢く食べることがどんなに易しいかわかりますよね」と理解を求め、念を押してゐるやうに見えます。
下線部の文では、主語をit(preparatory subject)で始めてまづ「容易である」と言明し、あとから不定詞句で何が容易であるかを説明してゐます。(※文法書ではitを「形式主語」「假主語」、不定詞句を「眞主語」と説明し、かうした不定詞の用法を「名詞的用法」と分類してゐます。)
一般論として述べるやうな場合に不定詞句を主語にすることがありますが(やや古めかしい印象がある)、現代の英語ではit(preparatory subject)で始めることが多いやうです。
□參考例文: 不定詞句を主語として一般論として述べる例です。
To practise regularly is important.
It is important to practise reguarly.
きちんと(/定期的に)練習することが重要である。
(Michael Swan, Practical English Usage. 3rd ed. [Oxford: Oxford University Press, 2005], p.265 .)
1958年頃The Teddy BearsやThe Springfieldsが歌つたTo know him(,) is to love himといふ曲のタイトルでは不定詞句が主語と補語のはたらきをしてゐます。「彼を知ることは彼を愛すること」→「彼を知ると好きになつてしまふ」。邦題はたしか「会ったとたんに一目ぼれ」でした(/「つのる想い」とも)。
歌詞の中でもJust to see him smile makes my life worthwhile (「彼がほほゑむのをただ見ることがわたしの人生を意義あるものにする」→「彼がほほゑむのを目にするだけで私に生きてゐる甲斐が生まれる」)とあり、不定詞句が主語の位置に置かれてゐます。
3
・make it quick: 「急いで」「はやくしてくれ」
[意味把握チェック]
1 「何か輕いもの、あまりお腹がいっぱいにならないものが食べたい氣分なんだ」
1 「大皿盛りのフルーツ・サラダを食べてみては」
2 「すばらしい選擇だつたよ(/大正解だつたよ)。美味しくて輕いランチだつたな」
2 「適切に食べる(/分別ある食事)つてどんなに簡單かわかりますよね」
3 「もうひとつ欲しいんですか」
3 「ああ、でも急いでくれよ。ランチの時間が終りさうなんだ」
[笑ひのポイント]
・Dagwoodにとつて「分別ある食事」は容易ではないやうです。
[参考]: 下線部をクリックすると關聯記事が出ます。
・用例研究220 2020.6.15: it is ~ to-不定詞(…)
・用例研究223 2020.7.6: it takes ~ to-不定詞(…)
・用例研究224 2020.7.13: it costs ~ to-不定詞(…)