[用例研究 257] 〈不定詞 1 不定詞とは〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 1991 King Features Syndicate Inc.)
1 Then you’ll help me with my catering business?
2 Of course! Best friends always stick together.
2 I’m glad to hear you say that.
3 I’ll expect you to back me up when I break the news to Dagwood.
4 But there comes a time when best friends must part.
不定詞とは:
2コマめのto hear / say、3コマめのto backは不定詞と呼ばれます。これらは、主語の數や人稱などによつて形が變はる定形動詞と異なり、主語によつて形を定められないので不定詞と呼ばれます。不定詞は、歴史的には動詞を名詞に使ふ用法から始まり、それが次第に多樣な使はれかたをするやうになつたものと思はれます。
文中に現はれるかたちでいへば、
・to-不定詞 <to+動詞の原形>
・原形不定詞 <動詞の原形のみ>
・代不定詞 <toのみ>
・完了形の不定詞 <to have+過去分詞>
・進行形の不定詞 <to be+現在分詞>
・受動態の不定詞 <to be+過去分詞>
などがあります。
不定詞は、文中でさまざまな位置に置かれ、さまざまなはたらきをします。便利なので多用されますが、動詞との紛はしさや意味の曖昧さ・多樣さで困ることがあります。不定詞に對應するには、
・「不足してゐる情報・説明を補ふ」ものと受けとめる
・話し手・書き手の言はんとするところを文脈・前後關係から察する
のが有效かと思ひます。
toはもともとは「~へ」といふ方向を表はす前置詞に由來してをり、方向性や到達點を指し示すことがあります。そのため、不定詞には
・「これからすること」や目標・目的を(漠然と、また一般論として)示す
といつた一面があります(※ 不定詞ではtoが本來の意味を失ひ記號化してゐる場合もあります)。
大學入試での不定詞對策としては、上記の性質を念頭に、
・基本例文を暗記する
のが有效だと思ひます。基本的な出現パターンは30通り内外にをさまります。出會つた英文を、基本例文に還元して解するとわかりやすく、また發信(英作文など)も容易になるのではないかと思ひます。
(※拙ブログの「用例研究」では、しばらくの間、不定詞の用例を紹介し、解説をしてゆく豫定です。)
[解説]
2
・stick together: 「互ひに協力する」「仲がよい」
・I’m glad to hear you say that : 「うれしい」と言ひ、續く不定詞句がその「感情の原因」を説明してゐます。「あなたがさう言ふのを聞いて嬉しく思ふ」といふわけです。この用法については後日 [用例研究271] で解説いたします。
hear you say~は知覺動詞のあとに目的語と原形不定詞が續くかたちです。この用法については後日 [用例研究269] で解説いたします。
3
・I’ll expect you to back me up~: I’ll expect youと言ひ、そのあとに不定詞句が置かれてゐます。「あなたが私を支へてくれるのを期待するわ」と述べてゐます。このかたちについては、後日 [用例研究267] で解説いたします。
・back~up / back up~: 「~を支へる」。代名詞のmeが中に入つて強・弱・強のリズムを形成してゐます。
・break~: ここでは「~を知らせる」「~を打ち明ける」の意味で使はれてゐます。何かまづい出來事について知らせるニュアンスを含んでゐます。
4
・when: whenは關係副詞でwhen~が前のa timeを説明してゐます。
[意味把握チェック]
1 「それぢや私の配食の仕事を手傳つてくれるのね」
2 「もちろんよ。親友はいつだつて團結(/協力)するものだわ」
2 「あなたがさう言ふのを聞いてうれしいわ」
3 「Dagwoodに打ち明けるときあなたが私を支へて(/支持して)くれるのを期待するわね」
4 「でもね、親友も別れなくてはならない時が來る(も)のよ」
[笑ひのポイント]
・Tootsieの御都合主義が笑ひを誘ひます。Blondie は得意な料理の腕前をいかしてパーティなどへの配食事業を始めようとしてゐますが、その意嚮を夫のDagwoodに打ち明けるに際して難しさを感じてゐるやうです。