DAISPO WORLD BOXING EXPRESS

今年もやってるやってる~

この階級、この選手(ジェームス トニー:スーパーミドル級①)

2019年03月22日 00時09分18秒 | ボクシングネタ、その他雑談
1990年代初頭からこれまでの約四半世紀、それぞれの階級で印象に残った選手を各階級3人ずつ挙げていっています。記載上のルールは各選手、登場するのは1階級のみ。また、選んだ選手がその階級の実力№1とは限りません。個人的に思い入れのある選手、または印象に残った選手が中心となります。

今回からスーパーミドル級になります。その一番手となるのは問題児ジェームス トニー(米)。同級ではIBF王座を獲得しています。


(今回の主人公、ジェームス トニー)

1988年10月26日にミドル級でプロデビューを果たしているトニー。最後の試合は何と2017年5月17日、ヘビー級の体重で戦っています。そのキャリアは30年ですか、凄いですね。30年というと赤ん坊がそれなりの経験を積んだ社会人に成長するまでの年数ですよ。終身戦績は77勝(47KO)10敗(ゼロKO負け)3引き分け。キャリア後半の20戦はヘビー級で戦ったトニーですが、体の大きな相手と互角以上に戦い、KO/TKO負けがないというのは凄いですよね、ほんとに。


(トニーを含めた1990年代初頭の代表選手たち。懐かしい‼‼)

30年間戦い続け、実戦に臨むこと90回。焦点を当てる時期によってその印象は当然の如く違ってくるでしょう。ミドル級時代は減量苦、調整不良からそのパフォーマンスの出来に非常に大きな幅がありました。ライトヘビー級時代はそれなりのパフォーマンスを見せていましたが、苦手としたモンテル グリフィン(米)に足元を2度すくわれたため、肝心のメジャータイトル獲得もなければ、挑戦すらありませんでした。

しかしクルーザー級時代には見事に復活。同級の2000年初頭を代表するバシリ ジロフ(カザフスタン)からダウンを奪うなどして大差判定勝利。IBF同級王座の奪取に成功すると共に、世界3階級制覇達成にも成功しています。

ヘビー級時代には何とイベンダー ホリフィールド(米)をストップする大金星を演じています。そしてジョン ルイス(米)を破りWBAヘビー級王座を獲得するも、試合後のドーピングに引っかかり王座は無効に。その後ハシム ラクマン(米)の持つWBC王座に挑戦するも引き分け。その後フレス オケンド(プエルトリコ)に勝利を収めるなど常にヘビー級の最前線で活躍しましたが、結局はメジャー団体のベルトには手が届きませんでした。


(幻のWBAヘビー級王者トニー)

日本のボクシングマニアからも高い支持を得ていたトニー。ジロフ戦、ホリフィールド戦、左フック一発でマイケル ナン(米)をKOし(実際はその後の連打中にストップ)、IBFミドル級王座を獲得した戦い。1980年代を代表する実力者マイク マッカラム(ジャマイカ)と演じた大激戦(両者による第一戦:結果は引き分け)。トニーのの好パフォーマンスを挙げたらきりがありません。しかしかれのベスト・パフォーマンスを選ぶのは比較的容易ではないでしょうか。

トニーの最高傑作と言えばこの一戦、1993年2月13日にIBFスーパーミドル級王者アイラン バークレー(米)に挑戦し、ワンサイドの9回終了TKO勝利を収めた一戦になります。バークレーは伝説のヒットマン・トーマス ハーンズ(米)に2勝した突貫ファイター。その荒武者を相手に、トニーはそのボクシングを支えた防御力を存分に発揮。ラウンドを重ねていくごとにバークレーのフラストレーションは増していくばかり。それに加えトニーのカウンターを貰い続けたバークレーの顔はドンドンと腫れていきました。強靭な肉体、精神力の持ち主であるバークレーでしたが、強打を兼ね備えた老獪なトニーの前にはお手上げ。結局は9回終了と同時に試合はストップし、ワンサイドマッチに幕が下ろされました。

   
(トニーの最高パフォーマンス、対バークレー戦)

その長いキャリアの後半、トニーは常に体格で不利の立場で戦ってきました。しかしそんなハンディもものともせずに戦い続け、白星を重ねていったトニー。そのトニーを支えたのが常日頃の練習と生まれ持った才能が融合された防御技術だったのではないでしょうか。

ナチュラルな防御と揶揄されたそのディフェンス。常に上体を動かし、絶妙なフットワークで位置も変え続けます。防御は両腕、肩を最大限に利用。時には体を斜めまでにし相手のダメージを最小限に留めました。トニーのディフェンスはフロイド メイウェザーのそれに通じるものがあります。そういえば両者とも、米国・ミシガン州のグランドラピッド出身。メイウェザーが先輩の影響を受けたのは当然かもしれませんね。


トニーが獲得した王座(獲得した順):
米国・ミシガン州ミドル級:1990年3月1日獲得(防衛回数0)
IBCミドル級:1990年6月27日(1)
IBFミドル級:1991年5月10日(6)
IBFスーパーミドル級:1993年2月13日(3)
USBAライトヘビー級:1995年4月30日(0)
WBU(初代)ライトヘビー級:1995年6月18日(3)
WBU大陸間クルーザー級:1995年12月8日(0)
WBU(初代)クルーザー級:1997年2月22日(0)
IBOクルーザー級:1997年6月14日(0)
IBAスーパークルーザー級:2001年3月29日(0)
IBFクルーザー級:2003年4月26日(0)
IBA/WBC米大陸ヘビー級:2004年9月23日(0)
IBA/NABOヘビー級:2008年12月13日(0)
IBUヘビー級:2012年4月7日(0)
WBFヘビー級:2017年5月13日(0)


トニーが獲得した王座を載せてみましたが、彼が凄まじいタイトル・コレクターという事がよくわかります。中にはIBUやWBUの大陸間王座という存在が疑問視される超マイナー王座、そしてスーパークルーザー級なる18番目の階級のタイトルまであります。


(超マイナー団体、IBUのベルトと初代WBUのベルト)


トニーは特に試合前、相手を小ばかにするパフォーマンスで人気(?)を買っていました。そしてキャリアを積み重ねるごとにその体格は横へ横へと広がり、そしてブヨブヨになってきました。しかしこれだけ長い現役生活を送ったんです。普段の練習も欠かさず行っていたんでしょうね。


(どちらもトニーです)

キャリア30年を通し、大きなブランクを作らなかったトニー。その知名度と実力に割には獲得した王座(あくまでメジャー王座)が少なかったように感じます。WBAヘビー級王座獲得は幻ではなく、現実であってほしかったですね。それと重量級の玄人好みなカード、トニーと同じく米国・ミシガン州出身の元WBOとIBFヘビー級王者クリス バードとの対戦や、あのバーナード ホプキンス(米)との対戦を実現させて欲しかったです。


(見たかったですね、トニー対ホプキンス戦を)
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意見番(03‐21‐19)

2019年03月21日 00時11分02秒 | ボクシングネタ、その他雑談
*今年の注目の一つとして挙げられることは。拓真が尚弥にどこまで追いつけるか。まずは尚弥の2団体王座統一に成功を、そして拓真にはWBC王座内でのタイトル併合に期待が寄せられますね。



まあ次号の表紙は既に、WBOフライ級戦に決定していることでしょう。
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日本関連色々(色々:03‐20‐19)

2019年03月20日 01時03分51秒 | 世界ボクシング
最近(2019年3月20日ごろ)のニュースです。

1)WBOライトフライ級王者アンヘル アコスタ(プエルトリコ)が今月30日、日本でもお馴染みの元WBC王者ガニガン ロペス(メキシコ)を相手に、保持する王座の3度目の防衛戦を行う予定です。試合を行いたくても中々対戦相手が見つからないアコスタ。それはそうでしょう。19勝して全ての試合をKO、またはTKOで終わらせている超強打や何ですから。

アコスタはこれまでに20戦行い、19度の白星を積み重ねてきました。唯一の敗北は2017年5月に現WBOフライ級王者田中 恒成(畑中)に喫したもの。田中は先日に行った田口 良一(ワタナベ)との一戦を含め13戦しか行っていませんが、非常に内容の濃いキャリアを積んでいますね。しかしこのアコスタにすら勝利を収めているんですから、凄いですよね田中って。

2)田口との激戦を制し、フライ級王座の初防衛に成功した田中。今後の路線が大いに気になるところですが、次の試合は普通の防衛戦になるようです。ちなみに現在のWBOフライ級1位にはアコスタの同胞ジョナサン ゴンザレスが、2位には元WBO/IBFミニマム級王者のフランシスコ ロドリゲス(メキシコ)がランクインしています。

3)暫定ながらもスーパーウェルター級王座を獲得し、日本王座の2階級制覇を達成していた渡部 あきのり(角海老宝石)。日本王座は返上し、来月14日に韓国に乗り込んで同級OPBF(東洋太平洋)王座保持者であるリー ジュンキュンに挑戦するようです。もし渡部が勝利した場合、日本王座同様OPBF王座でも2階級制覇達成となる渡部。偉業達成に期待が寄せられます。リーは1月に同王座に就いたばかりの選手ですが、その試合は6年ぶりに韓国で行われたOPBF戦でした。

4)リーは井上 岳志(ワールドスポーツ)が世界挑戦のために返上した王座の後釜争いに出場し、王座獲得に成功しています。井上が世界に初挑戦したのは1月26日、米国・テキサス州のリング。その日井上はWBOスーパーウェルター級王者ハイメ ムンギア(メキシコ)と対戦。強打者相手にフルラウンド戦い抜いた井上ですが、大差の判定負けを喫しています。

井上を退けたムンギアは来月13日、地元のリングで指名挑戦者デニス ホーガン(豪)の挑戦を受けることが決定しています。

5)ムンギア同様に日本人選手との対戦経験を持つホーガン。彼は2017年10月、野中 悠樹(井岡弘樹)と拳を交え、大差の判定勝利を収めています。この野中はホーガン戦の後に井上と対戦。12回、僅差の判定負けを喫してしまいました。しかし先月、ミドル級に上げOPBFとWBOアジア太平洋王者細川 チャーリー 忍(金子)を破り見事に復活。それと同時に2つの王座も獲得することに成功しています。

6)WBAスーパーフライ級王者カリ ヤファイ(英)が6月1日、米国・ニューヨーク州のリングに登場。指名挑戦者ノルベルト ヒメネス(ドミニカ)を相手に保持する王座の5度目の防衛戦を行います。このヤファイはご存知の通り2度、日本人挑戦者を退けています。
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ファーマー、接戦を制しV3(IBFスーパーフェザー級)

2019年03月19日 00時22分00秒 | 世界ボクシング
先日15日・金曜日、米国・ペンシルバニア州で行われた試合結果です。
IBFスーパーフェザー級戦:
王者デビン ファーマー(米)判定3対0(117-111x2、117-110)ジョノ キャロル(アイルランド)

*両選手がフルラウンドを通じ、激しくパンチを交換したこの戦い。パンチの的確さで上回ったファーマーが、手数で勝るキャロルを下し判定勝利。ファーマが昨年8月に獲得した王座の3度目の防衛に成功しました。

ファーマーの勝利に不服を唱える声はあまり聞かれないようですが、採点自体はもう少し接近したものでは?という反応が多々出ているようです。しかしベルト奪取から7ヵ月で3度の防衛成功とは。他の世界王者たちも、ファーマーの精力的に防衛戦を行っていく姿勢を見習うべきでしょう。
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マイキー、予想通り?の完敗(IBFウェルター級)

2019年03月18日 01時29分14秒 | 世界ボクシング
現地時間の昨夜(16日・土曜日)、米国・テキサス州で行われた試合結果です。
IBFウェルター級戦:
王者エロール スペンス 判定3対0(120-108x2、120-107)挑戦者ミゲル アンヘル ガルシア(共に米)

*試合前のスペンスの戦績は24戦全勝(21KO)。ガルシアの戦績は39戦全勝(30KO)。両者の戦績だけをみると、まさにファン待望の一戦。しかし試合前から指摘されていたのは両選手の対格差。スペンスはウェルター級はおろか、一階級上のスーパーウェルター級でも十分通じる体格の持ち主。それに対しマイキー(ガルシアのニックネーム)はフェザー級から徐々に体重を上げてきた選手。しかもスペンスはただのウェルター級選手ではなく、同級ナンバーワンの実力者と呼び声高い選手でした。

試合前の掛け率も、これまでの両者の実績云々より対格差が大いに反映され、4対1で王者が圧倒的に有利。試合前の掛け率は、かなりの確実で当たるもの。残念ながら注目選手同士の一戦は、戦前の予想通りに王者のワンサイドの試合となってしまいました。「予想通り」と書きましたが、ここまでワンサイドになるとは。マイキー陣営からすれば、倒されなかった事が唯一の収穫だったのではないでしょうか。

全勝記録を25に伸ばし、保持する王座の3度目の防衛に成功したスペンス。2019年3月18日現在の世界ウェルター級王者の顔ぶれは次のようになりますが、今後は是非、これらの選手たちとの王座統一戦に向け歩みだして欲しいものです。

WBA(スーパー):キース サーマン(米/防衛回数8)
WBA(レギュラー):マニー パッキャオ(比/1)
WBC:ショーン ポーター(米/1)
IBF:エロール スペンス(3)
WBO:テレンス クロフォード(米/1)
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田中、平成最後の大一番を制す(WBOフライ級)

2019年03月17日 03時33分33秒 | 世界ボクシング
現地時間の数時間前(16日・土曜日)、岐阜メモリアルセンターで愛ドームで行われた試合結果です。
WBOフライ級戦:
王者田中 恒成(畑中)判定3対0(117-111x2、119-109)挑戦者田口 良一(ワタナベ)

*ライトフライ級王者時代だった頃から対戦を熱望していた両者。一昨年の師走になりますが、WBO王者田中と、WBA王者田口による2団体ライトフライ級王座統一戦実現へ向け両陣営が歩み寄っていました。しかしその一戦は田中の負傷により流れてしまいます。しかしその後、田中は減量苦からフライ級に転向し3階級制覇に成功。田口はIBF王座を吸収するも、その後損失。今回が再起戦+フライ級転向第一戦となっています。

王者同士の対戦ではなく、王者対挑戦者という形式で行われた因縁の戦い。中盤戦からボディーと左ジャブを中心としたテンポのいい攻撃と、絶妙なポジショニングでライバルとの差を広げていった田中。挑戦者も頑張るんですが、常に王者がその上をいく形に。結果は大差の判定で田中が勝利を収め、昨年9月に獲得した3階級目の王座の初防衛に成功しました。

この試合が平成に行われる最後の日本人選手が出場する世界戦。それでは平成に行われた日本人が出場した世界戦はというと、1989年(昭和64年/平成元年)に小宮山 カツミ(ハラダ)が韓国に乗り込み、柳 明佑の持つWBAジュニアフライ級(現ライトフライ)王座に挑戦した試合となります。そして日本国内で行われた平成初の世界戦は、レパード玉熊(国際)が3月5日、地元青森のリングでWBCフライ級王者金 容江(韓国)に挑戦した試合となります。この年、日本人選手が出場した世界戦は10試合。そのすべての試合で日本人選手は敗戦を喫しています。日本ボクシング界にとって平成は暗い幕開けとなっていました。

予想通りの好試合を演じた両選手。しかし田中と田口、何とも紛らわしい苗字です。両者の外見、ボクシングスタイルは一目瞭然なのが救いと言えば救いでしょうかね。
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今週末の試合予定

2019年03月16日 00時34分00秒 | 世界ボクシング
2019年3月第三週末の試合予定です。

16日 土曜日
岐阜メモリアルセンターで愛ドーム
WBOフライ級戦:
王者田中 恒成(畑中) 対 挑戦者田口 良一(ワタナベ)




米国・テキサス州
IBFウェルター級戦:
王者エロール スペンス 対 挑戦者ミゲル アンヘル ガルシア(共に米)




*今週末に予定される世界戦は上記の2試合のみですが、どちらも非常に楽しみなカードです。

WBOフライ級戦は、日本国内で行われる世界戦で、久しぶりに「待ち遠しい!」と思った一戦。IBFウェルター級戦は、両者の対格差が勝敗を分けそうですが、それでも挑戦者には頑張ってほしい戦い。スペンスの強打を外せれば、ガルシアの勝利も十分あるでしょう。
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この階級、この選手(セルジオ マルティネス:ミドル級③)

2019年03月15日 00時16分14秒 | ボクシングネタ、その他雑談
1990年代初頭からこれまでの約四半世紀、それぞれの階級で印象に残った選手を各階級3人ずつ挙げていっています。記載上のルールは各選手、登場するのは1階級のみ。また、選んだ選手がその階級の実力№1とは限りません。個人的に思い入れのある選手、または印象に残った選手が中心となります。

これまで登場してきた選手は、どうしても1990年代にそのピークを迎えた選手が中心となっていました。しかし今回登場するのは、21世紀、しかも2010年前後にその全盛期を迎えた選手です。

竹原 慎二(沖)、ジェラルド マクラレン(米)と続いたミドル級。同級の最終回を飾るのは、スーパーウェルター級でWBC王座を獲得し、この階級ではWBCとWBOの2冠王に輝いたセルジオ マルティネス(亜)になります。


(今回の主人公、セルジオ マルティネス)

日本のボクシングファンからも高い評価を得ていたマルティネス。彼の好パフォーマンスはいくつか挙げることが出来ます。強豪ケリー パブリック(米)を逆転で下し、WBCとWBOの2つのミドル級王座を獲得した一戦。ライバル、ポール ウィリアムス(米)を一発KOで葬り、雪辱を果たした戦い。フリオ セサール チャベス2世(メキシコ)に何もさせず、予想外の大差判定を収めた一戦。どの勝利をマルティネスの名声を大いに挙げたものでした。しかしそれらの一戦は激しい打撃戦の末にマルティネスが打ち勝ったもの。果たしてそれがマルティネスのボクシングを表現した戦いだったのでしょうか。 

   
(マルティネスの名前を不動のものにしたパブリック、チャベスとの戦い)


私(Corleone)が挙げるマルティネスのベストバウトは、2011年3月12日に行ったセルゲイ ジンジルク(ウクライナ/Dzinziruk)とのWBCミドル級王座の防衛戦。ジンジルクは2000年代後半、WBOスーパーウェルター級王者として君臨。サウスポー・スタイルからの右ジャブを主武器とした手堅いボクシングを身上とし、少々地味な存在でしたが実力を高く評価されていた選手です。マルティネスと対戦するまでの34戦、全ての試合で白星を収めていたウクライナ人。それと同時にダウン経験もゼロ。マルティネスはそんな選手を相手に、パワーは勿論、同じくサウスポースタイルからの右ジャブで圧勝しました。

その右ジャブは試合を通じ冴えわたり、それに続くコンビネーションもお見事。パンチのスピードは勿論、マルティネスの激しい動きにも全くついていけなかった東欧の実力者。最終的には5度のダウンを奪った末、8回で試合は終了。試合はアルゼンチン人の圧勝劇で幕を閉じています。この試合の解説を務めていたロイ ジョーンズ(米)も、この日のマルティネスのボクシングを大絶賛していました。


(東欧の技師ジンジルクを技術で圧倒)

忙しい(激しい?)ボクシング・スタイルの持ち主だったマルティネス。右ジャブから始まる攻撃は、テンポのいい左右のコンビネーションの前触れに過ぎません。また、時折左から入り、対戦相手を困惑させる試合巧者ぶりも披露。当時のミドル級第一人者だったパブリックも、結局はそのボクシングに逆転負けを許してしまいました。

パンチだけではなくそのフットワークも抜きんでていたマルティネス。その早いフットワークは現WBA/WBOライト級王者ワシル ロマチェンコ(ウクライナ)を彷彿させてくれました。

マルティネスがスーパースターの地位に到達できたのは、その技術だけでなく精神面でも優れていたため。特に前半戦にダウンをする試合が多く、大きな試合でも面白いようにキャンバスに送られています。しかしそこから挽回、逆転勝利を収めるケースがこれまた多く、このエキサイティングな試合展開が人気を呼んだのではないでしょうか。そういえばウェルター級からミドル級までの3階級を制覇したフェリックス トリニダード(プエルトリコ)も逆転劇を演じる名選手でしたね。


(ダウンが好きな(?)マルティネス)


マルティネスが獲得した王座(獲得した順):
WBOラテン・ウェルター級:2000年6月16日獲得(防衛回数0)
アルゼンチン・ウェルター級:2001年9月8日(1)
IBOスーパーウェルター級:2003年6月21日(2)
WBCラテン・スーパーウェルター級:2005年3月4日(2)
WBC暫定スーパーウェルター級:2008年10月4日(1)
(*たしか正規王者に昇格したと思います)
WBC/WBOミドル級:2010年4月17日(6)
(*防衛回数はダイヤモンド王者時代も含めて。WBO王座は防衛せず返上)


(マイナー団体IBO王者時代のマルティネス)


2008年10月に暫定ながらも初の世界王座(WBCスーパーウェルター級)を獲得したマルティネス。しかしプロデビューは1997年の師走まで遡ります。マルティネスのデビュー当初、母国アルゼンチンは経済不況に見舞われており、しかもキャリア後半までマルティネスは同国のボクシング協会との関係が良好ではなかったそうです。

最初の17戦は16勝1引き分けと素晴らしいキャリアのスタートを切ります。2000年2月に初の国外試合、米国で後に3度ウェルター級王座に就くアントニオ マルガリート(メキシコ)と対戦しますが7回TKO負け。初黒星に挫けることなく連勝街道を再び歩み始めたマルティネス。しかしアルゼンチン国内王座や南米の地域王座を獲得していくも中々注目度が上がりません。業を煮やしたマルティネスは渡欧を決意。ボクシング後進国スペインを拠点に、同国と英国のリングで戦っていきます。ヨーロッパではそれまで戦ったきたウェルター級からスーパーウェルター級に階級アップ。その過程でマイナー団体IBO王座を獲得し防衛も重ねていきます。それと同時に、徐々に知名度も上げていきました。

2007年からは米国のリングを主戦場としていき、2008年10月に初のメジャータイトルを獲得(WBCスーパーウェルター級暫定王座)。この勝利後、ウィリアムス、パブリック、チャベス等強豪選手たちと拳を交えていく事になりました。


(ライバル・ウィリアムスを一発でKO!)


試合ごとに注目度を上げていったマルティネスですが、その激しい動き(フットワーク)についに右膝が降参してしまいました。2012年9月に行ったチャベス戦以降何度もその箇所の手術を行い、それと同時に試合間隔が開くようになってしまいます。2014年6月、プエルトリコの英雄ミゲル コット(プエルトリコ)と拳を交えますが、コットの強打を初回に食らってしまうと同時に、その膝は以前の様に機能しなくなってしまいました。結局、コット戦を最後に現役からの引退を表明したマルティネス。再起戦を計画しているという声も最近よく耳にしますが、膝の事を考えるとリング復帰は無しと考えるのが賢明でしょう。

51勝(28KO)3敗(2KO負け)2引き分けという素晴らしい終身戦績の持ち主マルティネス。彼が輝きまくっていた時期、同級のWBA暫定王座を獲得し、レギュラー王者に昇進後その評価をドンドンと高めていったのがゲナディー ゴロフキン(カザフスタン)。見たかったですね、「マルティネス対ゴロフキン」という夢のようなカードを。


(実現してほしかった一戦、「マルティネス対ゴロフキン」)
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ポーター、何とか生き残る(WBCウェルター級)

2019年03月14日 00時20分34秒 | 世界ボクシング
先週末9日、米国・カリフォルニア州で行われた試合結果です。
WBCウェルター級戦:
王者ショーン ポーター(米)判定2対1(116-112、115-113.111-117)挑戦者ヨルデニス ウガス(キューバ)

*常にファンを沸かせる試合を演じるポーター。昨年9月に4年ぶりに世界王座へ返り咲き、今年は他団体王者との統一戦に動き出そうという矢先、中堅と思われていた挑戦者に思わぬ苦戦を強いられてしまいました。

今回ポーターを苦しめたウガスは、23勝(11KO)3敗という戦績の持ち主。層が非常に厚いウェルター級では、そこそこの戦績の持ち主、といった選手。しかしその戦績より、ボクシングの相性でポーターを大いにてこずらせました。身長170センチのポーターに対し、ウガスのそれは175センチ。しかし実際にリング上で向き合ってみると、両者の身長差はそれ以上に感じられました。

長身から繰り出されるシャープなパンチと、堅いガードが持ち味のウガス。そしてウガスは必要とあれば打ち合い、ポーターに打ち勝る場面が試合を通じ何度もありました。12回が終わった時、リングサイドでは「新王者誕生か?」という声もチラホラ聞こえましたが、割れた判定は王者の防衛を支持。ポーターが苦しみながらも2度目の王座の初防衛に成功しています。


ポーターが活躍する世界ウェルター級王者の顔ぶれは次のようになります(2019年3月14日)。

WBA(スーパー):キース サーマン(米/防衛回数8)
WBA(レギュラー):マニー パッキャオ(比/1)
WBC:ポーター(1)
IBF:エロール スペンス(米/2)
WBO:テレンス クロフォード(米/1)

*う~ん、ポーターもいい選手なんですがね、この顔ぶれを見てしまうとちょっと...。
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次なるステップへ向け(色々:03‐13‐19)

2019年03月13日 00時20分21秒 | 世界ボクシング
最近(2019年3月13日ごろ)のニュースです。

1)元スーパーライト級統一王者コンスタンチン チュー(露/豪)の実子で、現在スーパーウェルター級を主戦場にしているティム。ここまでのプロでの戦績は全勝記録を12(10KO)と、順調に世界へ続く階段を上り続けています。チュー2世は現在、アメリカで名伯楽フレディー ローチ氏の指導の下、練習に励んでいます。近い将来、世界ランカーとの対戦もあるようです。

2)昨年9月にWBOフライ級王座から転落している木村 翔(青木)。今月30日に、第二の本拠地である中国で再起戦を行います。空位のOPBF(東洋太平洋)シルバー王座か争われる一戦。木村はミニマム級で2度の世界挑戦経験を持つウィチャー プライカオ(タイ)と対戦します。

3)同日、米国・ペンシルバニア州のリングに日本ウェルター級の第一人者小原 圭太(三迫)が登場。マレーシアやシンガポールを本拠地にしているウズベキスタン人クドラティーリョ アブドカクロフとIBFウェルター級王座への挑戦権を賭け対戦します。私(Corleone)はこの試合、小原の勝利を予想します。

4)現在、クルーザー級主要4団体の全てのベルトを保持しているアレクサンデル ウシク(ウクライナ)。5月18日に米国・イリノイ州シカゴで次戦を予定しています。この試合がヘビー級でのデビュー戦になる可能性があるようで、対戦相手候補には元WBA王者アレクサンデル ポベトキン(露)の名前が挙がっているようです。

5)昨年師走に対戦したエマヌエル ナバレッテ(メキシコ)とアイザック ドビ(ガーナ)。その時は予想に反してナバレッテが勝利を収め、ドビが保持していたWBOスーパーバンタム級王座を獲得しています。この両者が5月11日に立場を変えて直再戦を行うことが決定しています。

6)昨年10月にWBOミドル級王座を獲得し、去る1月に初防衛に成功したばかりのデメトリアス アンドラーデ(米)。6月22日に対戦相手は未定ながらも2度目の防衛戦を予定しています。ちなみに現在のWBOミドル級1位はゲネディー ゴロフキン(カザフスタン)となっています。
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