今から30年と一日前にあたる1993年7月22日、大阪府立体育会館(現エディオンアリーナ)で行われた試合結果です。
WBCバンタム級戦(暫定王座決定戦):
辰吉 丈一郎(大阪帝拳)判定2対1(116-114、115-114、114-115)ビクトル ラバナレス(メキシコ)
*この試合が行われた前年にあたる1992年9月17日、大阪城ホールで対戦している両雄。その時はWBC暫定王者だったラバナレスが、一年ぶりの実戦となった正規王者辰吉を得意の乱打戦に持ち込みTKO勝利。WBCバンタム級内の王座統一に成功しています。
その後の両者とWBCバンタム級王座を振り返ってみると、次のようになります。
1993年1月25日、ラバナレスがダドイ アンドュハル(比)を判定で下し、WBC王座の4度目の防衛に成功。
1993年2月11日、辰吉がホセ ルイス ベガヒル(メキシコ)を2回で下し再起に成功。
1993年3月28日、ラバナレスが渡韓し、辺 丁一(韓国)の挑戦を受けるもまさかの判定負けを喫し王座から転落。
1993年5月28日、辺がホセフィーノ スアレス(メキシコ)を大差判定で退けV1。
その後、7月22日に大阪のリングで、辰吉が辺に挑戦する事が決定。しかし辺の負傷により、辰吉とラバナレスが暫定王座を賭け再戦を行う事に変更。第一戦から10ヵ月を経て、両者が再び対戦する事になりました。
(大阪のリングで大激戦を演じた辰吉とラバナレス)/ Photo: Amazon.co.jp
30年前の大阪のリングで、まさに激戦、死闘が12回に渡り繰り広げられました。前回の雪辱に燃える辰吉が、見事すぎるスタートダッシュを切り先制。スピードに乗ったコンビネーションとフットワークで、ラバナレスに付け入る隙を与えません。しかし如何せん、飛ばし過ぎの印象。案の定、中盤戦にはラバナレスの執拗なボディー攻撃もありペース大ダウン。「ああ~っ、また辰吉は負けるのか...」と暗雲が漂う中、試合は後半戦に突入します。
ペースを奪った感のあったラバナレスも、前半戦の打たれ疲れと中盤戦の打ち疲れによりペースダウン。ここから辰吉が驚異的な反撃を開始します。中盤の疲れが噓のように軽快な動きが戻った辰吉。苦しいラウンドを乗り切り、猛反撃でライバルに襲い掛かります。しかしここがこのライバル戦の凄い所。ラバナレスも負けじとパンチを打ち返し、どちらかが明白なリードを奪えないまま試合終了。結局は辰吉が僅差の判定で大激戦、大接戦に勝利を収める事に成功。暫定ながらも世界王座に返り咲くと同時に、ラバナレスへのリベンジにも成功。そして辺との王座統一戦に向け大きく前進しました。
1991年9月に世界王座を初めて獲得したグレグ リチャードソン(米)戦、そして、1997年11月に3度目の世界王座を腰に巻いたシリモンコン ナコントンパークビュー(タイ)戦と並んで、このラバナレスとの第2戦目は、辰吉が演じた名試合の一つと言って過言ではないでしょう。