今月17日、ポーランドで行われた試合結果です。
WBOクルーザー級戦:
挑戦者アレくサンデル ウシク(ウクライナ)判定3対0(117-111x2、119-109)王者クジストフ グロワッキー(ポーランド)
*昨年8月にマルコ フック(独)との激戦を制し同王座に就いたグロワッキーと、ここまでの戦績が9戦全勝全KOのウシクの対戦。激しい打撃戦を予想していたのですが、少々違う試合展開に終始しました。
挑戦者ウシクはロンドン五輪の金メダリスト。ウシクと同じくウクライナの出身のオリンピック・金メダリストと言えば1996年に行われたアトランタ五輪スーパーヘビー級のウラジミール クリチコや、2012年ロンドン五輪でのウクシのチームメートであるワシル ロマチェンコがいます。ウシクは4年前にヘビー級で金メダルを獲得し、ここまでのプロでの戦績は9戦全勝全KO。どんな怪物選手かなと期待していたのですが、その期待を裏切る選手を目にすることになりました。
「期待を裏切る」と言ってもウシクは悪い選手ではありません。それどころか今回の試合結果が反映された好選手です。私(Corleone)が勝手に「もしやマイク タイソン型の選手では?」と妄想を抱いていました。
ウシクは190センチの長身の持ち主で、リーチは198センチ(グロワッキーは身長183センチでリーチは191センチ)。クルーザー級では非常に恵まれた体格で、ヘビー級でも十分に通じるでしょう。ウシクのボクシングは、その体格を十分に生かした必要な時には打ち合いも辞さないアウト・ボクサーです。この試合前までのパーフェクトな戦績を見ると、最短勝利が3回1分43秒で、最長勝利が9回2分29秒。決して即効型ではないようです。
その恵まれた体格を駆使し、リングを目いっぱい使いながらグロワッキーに戦いを挑んだウシク。非常に長いリーチからポンポンとパンチを出し続け、スムーズなフットワークを披露していきます。驚くことにその活発な手足はフルラウンドを通して衰えることはありませんでした。
(終始主導権を握り続けたウシク)
米国に乗り込んで立て続けに強豪を破ったグロワッキーも黙ってはいません。身長、リーチとも大きく劣りますが、鋭いステップで接近し強打を放っていきます。王者の意地、母国での戦い。グロワッキーがそう簡単に敗れるわけがありません。
(反撃を試みるグロワッキー)
しかしそのポーランド人の抵抗も中盤戦まで。7回以降は疲れてしまったのか、パンチの数が激減。それに反してウシクの動きは上向くばかり。「10対9.5」のような競った内容のラウンドもありましたが、結局は挑戦者が大差の判定で勝利を収めることに成功。プロ僅か10戦目、敵地のど真ん中で堂々の世界王座奪取を果たしています。
(今後、クルーザー級の中心になるであろう新王者)
クリチコ兄弟のサポートを受ける29歳の新王者。今後どのような路線を歩んでいくのか非常に楽しみです。