今から30年前の昨日となる1995年8月26日、米国ネバダ州で行われた試合結果です。
スーパーバンタム級戦(10回戦):
辰吉 丈一郎(大阪帝拳)TKO9回2分59秒 ノエ サンティジャナ(メキシコ)
*前年(1994年)師走に、名古屋決戦で薬師寺 保栄(松田)に敗れWBCバンタム級王座統一成らなかった辰吉。当時の日本ボクシング界のルールでは、網膜剥離に罹った選手は即引退。しかしスーパースター辰吉と、大阪帝拳スタッフの努力により、薬師寺との一戦は「負ければ即引退」という条件付きで許可が下りました。
その特例処置の恩恵に報いる事が出来ず、日本のリングでの活動が出来なくなった辰吉。再起戦を網膜剥離を含め、様々な疾患の先進国である米国に移し行うことになりました。
本場ラスベガスのリングに初登場となった辰吉。コンディションは良さそうでしたが、「倒そう、倒そう」という気が先だった感があり、いつも通りというのでしょうか、対戦相手のパンチを不用意に貰う場面もしばしばありました。
約9ヶ月ぶりの実戦に臨んだ辰吉の相手を務めたのは、15勝12敗という散々な戦績の持ち主サンティジャナ。しかし層の厚いボクシング大国メキシコで揉まれてきた選手なだけに、戦績以上の中々の曲者でした。
4回になると左ジャブを丹念につき始め、リズムが出てきた辰吉。しかし打たれ方が悪すぎるため、試合の流れを完全に把握するまでには至りません。5回になるとガードを下げたり、挑発したりと余裕を見せてはいまたものの、ズルズルと回を重ねている印象は否めません。
(左ジャブを丁寧に突き、ペース把握を狙った辰吉)/ Photo: ニコニコ
対するサンティジャナは勝敗ではなく、あくまで「倒されまい」というボクシングを展開。しかし辰吉のパンチを吸収(威力を殺す)ディフェンス力は異様と言っていいほど老獪。パフォーマンスも決行なのですが、辰吉はその辺を見習うべきでしょう。
試合も終盤に差し掛かり、「このまま判定まで勝敗が持ち込まれるのでは?」と思われた8回、辰吉はくせ者から2度のダウンを奪うことに成功。続く9回、メキシカンは必死に抵抗を見せますが、最後の最後に辰吉に捕まりゲームセット。主審を務めたリチャード スチール氏が両者の間に入り試合を止めています。
(終盤8回にようやくダウンを奪った辰吉)/ Photo: ニコニコ
辰吉の良い面も悪い面も随所に出た一戦。再起戦としては合格ラインを越えましたが、同時に課題点が浮き彫りになった試合でもありました。天性の攻撃力(特にコンビネーション)を持った辰吉でしたが、ディフェンスの悪さもまた天性のモノ。まるで相手のパンチに吸い寄せられるが如く、被弾率の高い選手でした。