今から30年前の昨日となる1995年4月29日、米国メリーランド州で行われた試合結果です。
IBFジュニアミドル級戦(スーパーウェルター級):
王者ビンセント ペットウェイ(米)KO6回2分7秒 サイモン ブラウン(ジャマイカ/米)
*前年1994年9月に、長期政権を築いていたジャンフランコ ロッシ(伊)を破り世界王座を獲得したペットウェイ。初防衛戦に、ウェルター級とスーパーウェルター級で都合3つの世界タイトルを獲得してきた強打のブラウンを迎える事になりました。強打者同士によるこの戦いは、稀に見る大激戦となりました。
(初防衛戦に臨んだペットウェイ)/ Photo: SoundCloud
初回終了間際、ブラウンの右フックからの連打で王者が糸が切れた人形のようにダウン。ペットウェイはもう少し時間があれば、この回で試合は終わっていたほどの大ダメージを被ってしまいました。3回、今度はペットウェイがお返しのダウンを奪っています。ブラウンの左ジャブの打ち終わりに見事な右を重ね元王者をフロアに送る事に成功。ブラウンが被ったダメージは、初回にペットウェイが受けたものより甚大でした。
(強打者同士による対戦は、ダウン応酬の大激戦に)/ Photo: Youtube
5回、明らかな低打(反則打)でペットウェイがダウン。レフィリーはローブロー(低打)と気づかなかったため、公式なダウンとして数えられてしまいました。しかもブラウンはペットウェイが膝を付いているにもかかわらず、2発のパンチを放つ暴挙を行っています。これは明らかな反則行為ですが、それに対し主審は注意すら与えませんでした。ラウンド終了後にも打ち合う両者。レフィリーはそれを制止することも出来ずにブラウン陣営の抗議の的となっていました。
荒れた試合の流れは続く6回にも継続されます。今度はアクシデント・ヘッドバットで試合が一時中断。再開後、ペットウェイの見事な左フック一発でブラウンをKO。驚くことにフロアに倒れたブラウンは、意識を失いながらもパンチを放ち続けていました。3度のダウンはいずれも凄いものでしたが、ダウン後のブラウンの無意識ながらも戦い続ける姿勢は、驚き以外の何物でもありません。
(崩れ落ちていくブラウン)/ Photo: Facebook
(無意識状態でもパンチを放ち続けるブラウン)/ Photo: TikTok
強豪相手に衝撃的な勝利を収めたペットウェイ。不安定なボクシングを展開しますが、提供する試合は常にエキサイティングでした。
前日お届けしたバーナード ホプキンス(米)の戴冠劇、そしてこのジュニアミドル級戦に加え、元IBFライト級王者フレディ ペンドルトン(米)、後のWBAミドル級王者ウィリアム ジョッピー(米)、ジュニアミドル級とミドル級で世界獲得したジョン デビット ジャクソン(米)等も出場した今回の興行。この時期のドン キング氏は、継続的に贅沢な興行を提供し続けていました。