DAISPO WORLD BOXING EXPRESS

今年もやってるやってる~

この階級、この選手(ジェームス トニー:スーパーミドル級①)

2019年03月22日 00時09分18秒 | ボクシングネタ、その他雑談
1990年代初頭からこれまでの約四半世紀、それぞれの階級で印象に残った選手を各階級3人ずつ挙げていっています。記載上のルールは各選手、登場するのは1階級のみ。また、選んだ選手がその階級の実力№1とは限りません。個人的に思い入れのある選手、または印象に残った選手が中心となります。

今回からスーパーミドル級になります。その一番手となるのは問題児ジェームス トニー(米)。同級ではIBF王座を獲得しています。


(今回の主人公、ジェームス トニー)

1988年10月26日にミドル級でプロデビューを果たしているトニー。最後の試合は何と2017年5月17日、ヘビー級の体重で戦っています。そのキャリアは30年ですか、凄いですね。30年というと赤ん坊がそれなりの経験を積んだ社会人に成長するまでの年数ですよ。終身戦績は77勝(47KO)10敗(ゼロKO負け)3引き分け。キャリア後半の20戦はヘビー級で戦ったトニーですが、体の大きな相手と互角以上に戦い、KO/TKO負けがないというのは凄いですよね、ほんとに。


(トニーを含めた1990年代初頭の代表選手たち。懐かしい‼‼)

30年間戦い続け、実戦に臨むこと90回。焦点を当てる時期によってその印象は当然の如く違ってくるでしょう。ミドル級時代は減量苦、調整不良からそのパフォーマンスの出来に非常に大きな幅がありました。ライトヘビー級時代はそれなりのパフォーマンスを見せていましたが、苦手としたモンテル グリフィン(米)に足元を2度すくわれたため、肝心のメジャータイトル獲得もなければ、挑戦すらありませんでした。

しかしクルーザー級時代には見事に復活。同級の2000年初頭を代表するバシリ ジロフ(カザフスタン)からダウンを奪うなどして大差判定勝利。IBF同級王座の奪取に成功すると共に、世界3階級制覇達成にも成功しています。

ヘビー級時代には何とイベンダー ホリフィールド(米)をストップする大金星を演じています。そしてジョン ルイス(米)を破りWBAヘビー級王座を獲得するも、試合後のドーピングに引っかかり王座は無効に。その後ハシム ラクマン(米)の持つWBC王座に挑戦するも引き分け。その後フレス オケンド(プエルトリコ)に勝利を収めるなど常にヘビー級の最前線で活躍しましたが、結局はメジャー団体のベルトには手が届きませんでした。


(幻のWBAヘビー級王者トニー)

日本のボクシングマニアからも高い支持を得ていたトニー。ジロフ戦、ホリフィールド戦、左フック一発でマイケル ナン(米)をKOし(実際はその後の連打中にストップ)、IBFミドル級王座を獲得した戦い。1980年代を代表する実力者マイク マッカラム(ジャマイカ)と演じた大激戦(両者による第一戦:結果は引き分け)。トニーのの好パフォーマンスを挙げたらきりがありません。しかしかれのベスト・パフォーマンスを選ぶのは比較的容易ではないでしょうか。

トニーの最高傑作と言えばこの一戦、1993年2月13日にIBFスーパーミドル級王者アイラン バークレー(米)に挑戦し、ワンサイドの9回終了TKO勝利を収めた一戦になります。バークレーは伝説のヒットマン・トーマス ハーンズ(米)に2勝した突貫ファイター。その荒武者を相手に、トニーはそのボクシングを支えた防御力を存分に発揮。ラウンドを重ねていくごとにバークレーのフラストレーションは増していくばかり。それに加えトニーのカウンターを貰い続けたバークレーの顔はドンドンと腫れていきました。強靭な肉体、精神力の持ち主であるバークレーでしたが、強打を兼ね備えた老獪なトニーの前にはお手上げ。結局は9回終了と同時に試合はストップし、ワンサイドマッチに幕が下ろされました。

   
(トニーの最高パフォーマンス、対バークレー戦)

その長いキャリアの後半、トニーは常に体格で不利の立場で戦ってきました。しかしそんなハンディもものともせずに戦い続け、白星を重ねていったトニー。そのトニーを支えたのが常日頃の練習と生まれ持った才能が融合された防御技術だったのではないでしょうか。

ナチュラルな防御と揶揄されたそのディフェンス。常に上体を動かし、絶妙なフットワークで位置も変え続けます。防御は両腕、肩を最大限に利用。時には体を斜めまでにし相手のダメージを最小限に留めました。トニーのディフェンスはフロイド メイウェザーのそれに通じるものがあります。そういえば両者とも、米国・ミシガン州のグランドラピッド出身。メイウェザーが先輩の影響を受けたのは当然かもしれませんね。


トニーが獲得した王座(獲得した順):
米国・ミシガン州ミドル級:1990年3月1日獲得(防衛回数0)
IBCミドル級:1990年6月27日(1)
IBFミドル級:1991年5月10日(6)
IBFスーパーミドル級:1993年2月13日(3)
USBAライトヘビー級:1995年4月30日(0)
WBU(初代)ライトヘビー級:1995年6月18日(3)
WBU大陸間クルーザー級:1995年12月8日(0)
WBU(初代)クルーザー級:1997年2月22日(0)
IBOクルーザー級:1997年6月14日(0)
IBAスーパークルーザー級:2001年3月29日(0)
IBFクルーザー級:2003年4月26日(0)
IBA/WBC米大陸ヘビー級:2004年9月23日(0)
IBA/NABOヘビー級:2008年12月13日(0)
IBUヘビー級:2012年4月7日(0)
WBFヘビー級:2017年5月13日(0)


トニーが獲得した王座を載せてみましたが、彼が凄まじいタイトル・コレクターという事がよくわかります。中にはIBUやWBUの大陸間王座という存在が疑問視される超マイナー王座、そしてスーパークルーザー級なる18番目の階級のタイトルまであります。


(超マイナー団体、IBUのベルトと初代WBUのベルト)


トニーは特に試合前、相手を小ばかにするパフォーマンスで人気(?)を買っていました。そしてキャリアを積み重ねるごとにその体格は横へ横へと広がり、そしてブヨブヨになってきました。しかしこれだけ長い現役生活を送ったんです。普段の練習も欠かさず行っていたんでしょうね。


(どちらもトニーです)

キャリア30年を通し、大きなブランクを作らなかったトニー。その知名度と実力に割には獲得した王座(あくまでメジャー王座)が少なかったように感じます。WBAヘビー級王座獲得は幻ではなく、現実であってほしかったですね。それと重量級の玄人好みなカード、トニーと同じく米国・ミシガン州出身の元WBOとIBFヘビー級王者クリス バードとの対戦や、あのバーナード ホプキンス(米)との対戦を実現させて欲しかったです。


(見たかったですね、トニー対ホプキンス戦を)
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