今から30年前の昨日にあたる1993年10月23日、米国フロリダ州で行われた試合結果です。
IBFウェルター級戦:
王者フェリックス トリニダード(プエルトリコ)KO10回3分9秒 挑戦者アンソニー スティーブンス(米)
*この年の6月に古豪モーリス ブロッカー(米)に衝撃的な勝利を収め、若干二十歳にして世界の頂点に立ったトリニダード。その試合から僅か1ヶ月半後には、指名挑戦者で3度目の世界挑戦となったルイス ガルシア(ベネズエラ)をも撃退。僅か4ヶ月の間に3度目の世界戦に出場となりました。
この今回のスティーブンス戦では、トリニダードのうなぎ登りだった評価が若干スピードが緩やかになる事になりました。それまでの戦績が19勝(10KO)5敗2引き分けのスティーブンスは、そのレコードに反映されるような平均的な選手。試合前の注目は、トリニダードが何ラウンドで挑戦者を仕留めるかに絞られていました。
(上昇気流に乗りまくっていた当時のトリニダード)/ Photo: YouTube
前半戦、それなりの抵抗を見せたスティーブンス。動きの固いトリニダードに、右の強打を何発かクリーンヒットさせます。3回、見事なワン・ツーでトリニダードの腰を落とさせたスティーブンス。王者は膝と手をキャンバスにつけたため明らかなダウン。しかし驚くことにレフィリーは、それを見逃してしまいました。しかしトリニダードが大きなダメージを被った事に変わりなく、その回の残り時間、足がガクガク状態とピンチにさらされ続けました。
3回は何とか終了のゴングにまで逃げ込んだトリニダードでしたが、続く4回から怒涛の反撃を開始します。シャープで伸びるパンチを放ちながら一気に攻勢を強めていきます。その後も奮戦を続けるスティーブンスでしたが10回終了間際、それまでのダメージと疲労のために根負け。ついにカウントテンを聞くことになっています。
(スティーブンスに攻勢をかけるトリニダード)/ Photo: YouTube
予想外の苦戦を強いられたトリニダード。後のスーパースターはまだまだ二十歳という若者でした。この試合後、少しずつ階段を登っていきました。敗れたとはいえ決して評価を下げなかったスティーブンス。その後二度の世界挑戦や後の世界王者たちと対戦を重ねていく事になりました。
今まで知らなかったのですが、この試合にはある試みがありました。もし最終12回まで終了し、出された判定が引き分けだった場合、第13ラウンドというものが設けられる予定だったようです。そして結果は、その13番目のランドのみの判定結果で下される事になったとか。結局その試みは行われませんでしたが、もしこの試合が12ラウンド終了のゴングを聞いていたらどのような事になっていたのでしょうか。非常に興味深いですね。