『みち』 目次
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『みち』 ~道~ 第128回
更紗の言葉に続いて野瀬が
「こちらに来る途中、偶然正道さんにお逢いしたんですよ。 それで少し話しこんでしまって。 帰られる前に更紗さんに逢っていただこうと思ってお連れしたんです」
(この人・・・) 琴音が温かい何かを感じた。
「いや、更紗さんすみませんな。 長々と野瀬君をお借りしてしまって」
「あら、いやだわ。 野瀬君もっと早く言ってよ」 更紗の言葉に口もとを少し上げ、琴音を紹介しだした。
「正道さん、こちらは織倉琴音さんと仰って 今、更紗さんが夢中になっている方です」
「ほぅ、そうですか。 織倉琴音さん。 初めまして正道と申します」
「初めまして」 お辞儀をした琴音を見た正道が
「ほほぅー。 そうですか。 更紗さんが夢中になるのも分かりますな」 更紗が優しい笑みで琴音を見た。
「正道さんもそう思われますか?」 野瀬が言うと正道が頷き
「織倉琴音さん。 ご縁がありましたら又お逢いしたいですな。 ・・・きっとお逢いできますね」
「え?」 目を丸くしている琴音を見て
「そんなにすぐ帰る様な事を仰らないで ご一緒に少しお話しませんか?」
「いや、残念ながら今日はすぐに京都に帰らないといけないもので、更紗さんのお元気そうなお顔を見られただけで充分です」
「そうなんですか? 残念ですわ」
「今度こちらに来る時には必ず連絡を入れますからその時にゆっくりお話しませんか?」
「是非ともお待ちしておりますわ」
「それじゃあ、今日の所はこれで」 軽く会釈をした。
「お気をつけて」 見送る更紗。
「正道さん。 駅までお送りします」
「ああ、いいです。 タクシーで行きますから。 じゃ、あの話お願いします」 正道はサッサと歩いて行った。
正道を見送ったあと
「野瀬君 あの話って何のことなの?」
「マネージメントをしてくれる人を探されているようなんです」
「正道さんが?」
「はい。 もしいい人がいたら紹介して欲しいといわれまして」 ウエイターにウーロン茶を頼んだ。
「またどうしてマネージメントなんか必要になったのかしら?」
「今までと方向を変えられるようなんです」 二人の会話を聞いていていいのかどうか分からず 辺りをキョロキョロしていた琴音だったが
「ねぇ、琴音さん今の・・・正道さんね、どう思う?」
「え? どうと聞かれましても」
「何か感じたはずよね」
「柔らかい細かなものを感じました。 それがすごく温かくて、でもそれ以外は・・・」
「ふふふ、正道さんと波長が合うみたいね」
「え? それは分かりません」
「正道さんも仰ってたでしょ。 また逢いましょう、きっと逢えますね って」
「織倉さん、正道さんは社交辞令でそこまで言う人じゃないですよ」 運ばれてきたウーロン茶を一口飲んだ。
「あの方はいったい・・・」 そこまで言いかけて聞いていいものかどうか迷って口をつぐんだ。
「正道さんはね そうね、言ってみればヒーラーなのよ」
「ヒーラーですか?」
「そう」
「確か和尚の時にもそう仰ってましたよね」
「ええ。 和尚も正道さんもヒーラー。 でも根源は違うみたいなんだけどそこのところの詳しい事は私には分からないの」 そして野瀬の方を見て
「ねぇ、ねぇ 野瀬君聞いてよ。 琴音さんって鍛えれば結構いけるみたいなのよ」
「え? 織倉さん、腹筋でも割れてるんですか?」 野瀬の冗談だ。
「ヤダ、何言ってるのよ」 話は琴音のことで花が咲き この日は琴音にとって珍しい話の一日となった
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更紗の言葉に続いて野瀬が
「こちらに来る途中、偶然正道さんにお逢いしたんですよ。 それで少し話しこんでしまって。 帰られる前に更紗さんに逢っていただこうと思ってお連れしたんです」
(この人・・・) 琴音が温かい何かを感じた。
「いや、更紗さんすみませんな。 長々と野瀬君をお借りしてしまって」
「あら、いやだわ。 野瀬君もっと早く言ってよ」 更紗の言葉に口もとを少し上げ、琴音を紹介しだした。
「正道さん、こちらは織倉琴音さんと仰って 今、更紗さんが夢中になっている方です」
「ほぅ、そうですか。 織倉琴音さん。 初めまして正道と申します」
「初めまして」 お辞儀をした琴音を見た正道が
「ほほぅー。 そうですか。 更紗さんが夢中になるのも分かりますな」 更紗が優しい笑みで琴音を見た。
「正道さんもそう思われますか?」 野瀬が言うと正道が頷き
「織倉琴音さん。 ご縁がありましたら又お逢いしたいですな。 ・・・きっとお逢いできますね」
「え?」 目を丸くしている琴音を見て
「そんなにすぐ帰る様な事を仰らないで ご一緒に少しお話しませんか?」
「いや、残念ながら今日はすぐに京都に帰らないといけないもので、更紗さんのお元気そうなお顔を見られただけで充分です」
「そうなんですか? 残念ですわ」
「今度こちらに来る時には必ず連絡を入れますからその時にゆっくりお話しませんか?」
「是非ともお待ちしておりますわ」
「それじゃあ、今日の所はこれで」 軽く会釈をした。
「お気をつけて」 見送る更紗。
「正道さん。 駅までお送りします」
「ああ、いいです。 タクシーで行きますから。 じゃ、あの話お願いします」 正道はサッサと歩いて行った。
正道を見送ったあと
「野瀬君 あの話って何のことなの?」
「マネージメントをしてくれる人を探されているようなんです」
「正道さんが?」
「はい。 もしいい人がいたら紹介して欲しいといわれまして」 ウエイターにウーロン茶を頼んだ。
「またどうしてマネージメントなんか必要になったのかしら?」
「今までと方向を変えられるようなんです」 二人の会話を聞いていていいのかどうか分からず 辺りをキョロキョロしていた琴音だったが
「ねぇ、琴音さん今の・・・正道さんね、どう思う?」
「え? どうと聞かれましても」
「何か感じたはずよね」
「柔らかい細かなものを感じました。 それがすごく温かくて、でもそれ以外は・・・」
「ふふふ、正道さんと波長が合うみたいね」
「え? それは分かりません」
「正道さんも仰ってたでしょ。 また逢いましょう、きっと逢えますね って」
「織倉さん、正道さんは社交辞令でそこまで言う人じゃないですよ」 運ばれてきたウーロン茶を一口飲んだ。
「あの方はいったい・・・」 そこまで言いかけて聞いていいものかどうか迷って口をつぐんだ。
「正道さんはね そうね、言ってみればヒーラーなのよ」
「ヒーラーですか?」
「そう」
「確か和尚の時にもそう仰ってましたよね」
「ええ。 和尚も正道さんもヒーラー。 でも根源は違うみたいなんだけどそこのところの詳しい事は私には分からないの」 そして野瀬の方を見て
「ねぇ、ねぇ 野瀬君聞いてよ。 琴音さんって鍛えれば結構いけるみたいなのよ」
「え? 織倉さん、腹筋でも割れてるんですか?」 野瀬の冗談だ。
「ヤダ、何言ってるのよ」 話は琴音のことで花が咲き この日は琴音にとって珍しい話の一日となった