キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

ピメカヴァへの旅 ⅩⅠ

2007年10月03日 | Weblog
9月19日(木)この日が実質的なこのたびの最終日です。20日は朝早く起きてバルセロナからパリ経由で成田へ帰るだけです。10時にボイーガスのジョルディにホテルへ来てもらい、中庭で再度ブリュット・ナチュレ・レゼルヴァとグラン・レゼルヴァ、スモイ・ロゼを試飲いたしました。レゼルヴァはデコルジュマンしたばかりの新ヴィンテージでしたので、前に試飲したものより清涼感あふれ並みのカヴァに感じました。グラン・レゼルヴァはコルク臭があり駄目でした。デコルジュマンしたばかりでありえないとか言っておりましたが、ね、王冠を真剣に考慮すべきでしょ。スモイはあらためて不思議な味わいでした。12時前にアン・マリーがホテルへ迎えに来てくれていたので、顔なじみのジョルディーが彼女を中庭へ呼び、スモイを一緒に試飲いたしました。が、はたして感想はムムム。こうは書いてはおますが、熟成感と厚み旨味のあるジョルディーのカヴァはとても優れたものです。誤解無きよう。

カステル・デイジの畑までは高速を使って40分程、途中サント・サルドゥルニ・ダノイアの街を経由いたしましたので、コドルニューの正門まで車をつけて、大会社を外から一瞥する機会を作ってくれました。カヴァの品質が云々という事は、アン・マリーの言葉の端々にも感じられましたが、大きな会社は風情と威厳があり中々良いものです。

カステル・デイジの畑は思いのほか広く、標高450メートルから600メートルのところ各所に広がっており、有機栽培の認定を受けるために周りは森で、民家も無く、生活廃水なども無い、静でのどかな畑が多かったですね。有機認定のための環境が求められるので、開墾した畑が多く、標高、日照、傾度、土壌などを考慮した素晴らしい畑ばかりでした。

有機肥料をつくる場所も厳しく管理されていて、動物の糞尿を野ざらしにして醗酵させているところも見せていただきました。日本でも昔の農家は糞尿をとても大切にしておりましたが、最近は有用な資源である人糞をどの様に処理利用しているのだろうかとふと思ったりいたしました。

標高600メートルのピノ・ノワールの畑は、土壌がピサーラでプリオラートと同じとの説明を車中で受けており、軽佻浮薄な頭にはピザが思い浮かんだくらいでしたが、降り立って見たところピサーラとはスレートでした。またもや浅学非才な頭で考えても独逸国でのリースリングとの相性は思い立つもの、ピサーラがピノ・ノワールに果たしてどの様な個性をもたらすものやら見当もつきません。ここのスティル・ワインを飲ませてくれないかとアン・マリーにお願いをいたしましたが、残念ながらここの畑のブドウは全て大手のワインメーカーに売却しており、一口として試飲が出来ないとの事でした。一体どんな味わいなんでしょうねえ。

カステル・デイジの畑をアン・マリーさんと一緒に回ってみて、ひじょうに良い土地を選んでブドウ畑を作っており、土壌、標高、日照角度、傾斜が多様で、あらゆる品種の可能性を試す事が出来、その上自社ブランドの瓶詰めワインには、広大な自社畑から厳選したブドウを使う事が出来る大きなアドヴァンテージを持っていることが分かりました。加えて彼女は全財産をブドウ畑につぎ込んでいて、ダイヤモンドや金銀鞄ドレス靴には興味が無いとの本人申告、ワイン造りにとって一番大切な、良いワインを造ろうというオーナーの情熱がひしひしと感じられました。良い畑を見せられるとつい嬉しくなってしまう私は、ひどくアン・マリーのカステル・デイジに魅せられました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ピメカヴァへの旅 Ⅹ | トップ | ピメカヴァへの旅 ⅩⅡ »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事