キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

鮨屋

2009年08月04日 | Weblog
山口瞳さんも随分と引越しをなさったようですが、新しい町では先ず、適当な蕎麦屋と鮨屋と鰻屋がある事を確認すると随筆に書いておられたように思います。鰻屋は無いにしても、蕎麦屋と鮨屋の適当なのが歩いて10分以内にあれば、その引越しは成功です。

鮨屋についてですが、勝見洋一さんも同様なことを「ラーメン屋の行列を横目にまぼろしの味を求めて歩く」の中で書いておられます。ちょっと友達が来て小腹塞ぎをしに摘みながら飲みに出かけるんでも、納得できる味の鮨屋が近所にあれば便利です。これが電車に乗って二駅三駅行ってなんて事になると、その用に足りません。蕎麦屋でもいいのですが選択肢が二つあると贅沢な気分になれます。

もう30年以上前になりますが、昼に平塚の駅前を歩いていて、父方の伯父に出会い、家に連れられて行き、近所の鮨屋からちらしの出前を取って、二人して上に載っているネタを剥ぎながらビールを飲んだ事があり、いまだに忘れられません。鮨そのものは最高級品ではなく、漁師町の須加の人達が認めたもので、それなりに美味いもんでした。

鮨にしろ蕎麦にしろそういうもんではないかと思いますし、大間の鮪でなくても手打ちでなくても良いんです。夫婦で小商いをするような店が、私が住んでいるような東海道線の田舎町でも各駅にワンペアずつでいいからあって欲しいなと思います。二宮はかつて地引網が五箇所、定置網も二箇所あった漁師町です。鮨屋も末廣、ゆたか、奴、玉川と駅の近所だけで4軒もあったのに今では二年前の奴を最後に全部廃業してしまいました。住人の魚食のレヴェルが下がったのと同時に、この街の食文化も地に堕ちました。


コメント
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