キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

蕎麦は北海道

2007年02月18日 | Weblog
湘南は生憎の雨の日曜日になってしまいました。久しぶりのまとまった雨で、我が家の庭の草木にはありがたい水分補給の機会になっております。春雨の暖かさを持った慈雨です。

昨日札幌の美味いものについて羅列しておきましたが、今回一番心惹かれたものは蕎麦でした。実は数年前からどうも札幌でいただく蕎麦は基本的にレベルが高いと思っておりました。駅の近所にある若い方がやられている蕎麦屋も手打ちで、蕎麦そのもののの味がよく美味いなと思いますし、薄野で酔い覚ましに深夜に入る蕎麦屋も可也な味で、東京近辺で夜遅く酔客をねらってやっている蕎麦屋の蕎麦ではありません。デパートに入っている北海道にチェーン展開している蕎麦屋でもなかなかの味なのです。全てに共通していることは、原料になる蕎麦粉の品質が高く、蕎麦そのものの味が良いことです。長野の蕎麦屋の友人や、蕎麦の製粉業者に聞いても、北海道の蕎麦の評価はとても高いです。それと生産量が多いことが街場の蕎麦屋さんでも当たり前に地粉を使って蕎麦を打てる要因のようです。

さて一昨日お邪魔したのは、札幌から定山渓に行く街道筋の蕎麦屋さん、毎年この時期に定山渓で開かれる会に出席するときに寄らせていただいており、今年で四回目になります。昨年は親父さんから蕎麦掻にと挽きたての蕎麦粉をいただきましたが、その親父さんは小樽の新店に出かけて残念ながらおられませんでした。今年も毎年恒例の鴨南蛮をいただきましたが、葱の焦げた風味(ワインでいうところのロースト香)が最初に漂い、その後に鰹節と昆布醤油の香りが立ち昇ります。一口蕎麦をすすると蕎麦本来の風味が出汁の味わいと渾然となり、幸せな気分にさせられます。笹掻きにした牛蒡は鴨肉の臭い消しの役割だけでなく、その歯応えの良さが、蕎麦、葱などの食材の歯応えとのハーモニーの主導的な役割と、噛んだ時に発する冬を思わせるその風味が、この蕎麦に奥行きの深さをもたらしています。時々鴨肉を食いちぎり、啜る、集める、また啜るの繰り返しの内、瞬く間にどんぶりは空になります。幸福な時間は長続きしないものと決まっております。

この蕎麦屋何時も昼しか寄れませんが、いつの日か夜、腰を落ち着け、蕎麦掻き、焼き味噌、日の菜の漬物などでゆっくり熱燗を飲り、仕舞いにもりを一枚手繰って蕎麦湯なんぞで締めるという悦楽の時間を過ごしてみたいものです。

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