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鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代半ばのオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその888~原色日本蝶類図鑑④

2014-04-11 07:28:15 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「原色日本蝶類図鑑」です。

久しぶりに横山光夫著「原色日本蝶類図鑑」について書きます。
この図鑑について書くのは4回目です。
他の図鑑にはない詩情溢れる解説文がお気に入りで、ときどき本棚から取り出しては拾い読みしています。

解説文には著者の思い出や思い入れがたくさんつづられています。
それは素人の私が読んでも蝶の同定には役に立たないだろうな、と思う記述です。
当然、関係者からは賛否両論があったことでしょう。
その後、別の著者による全改訂新版に変わりました。
でもこんな著者の思い入れたっぷりの図鑑がたまにはあっても良いはず。
そう思う容認派は私だけでしょうか?

横山版の図鑑の容認派ってどれくらいいるのでしょう?
インターネットで「横山光夫」「原色日本蝶類図鑑」という2つのキーワードで検索すると、容認派は結構いるようです。

いまだにボロボロになった横山版を大切に読んでいるロマン派。
横山版と全改訂新版の2冊があれば今でも同定できると豪語する人。
子どもの頃の入門書は本書だったという郷愁派。

みんな「思い入れたっぷりに書かれた本書」が大好きだった、その心が伝わってきます。
横山版を読んで蝶を追うロマンにはまり、専門家になった人もいるでしょうね。
ファーブル昆虫記を読んで専門家になった人がいるように・・・。

図鑑には正確さと分かりやすさが必要ですが、その字数を削ってでも著者の感動を伝えることも必要だと思います。
それが研究の夢とロマンを如実に伝え、次代の専門家を生み育てる道だと思います。

さて前置きが長くなりました。
久しぶりに本書について書くことにしたのには理由があります。

先日、あるブログに本書の解説文が引用されており、相変わらず詩情あふれる記述が素晴らしいなぁと感心していました。
他の解説文も読みたくなり本棚から出してきて手始めに該当項目を読むと、ブログの文章と微妙に違います。
そういえば手元の本は若林守男氏による増補改訂。
どうやらブログの解説文は元本からの引用であり、手元の解説文は一部が削られたり、言い回しが簡略化されているようです。
元本と増補改訂の違いを改めて実感しました。
以前読んだ時に後半1/3に詩情あふれる解説文がほとんど無く、飛ばし飛ばし読んだことを思い出しました。
そのため後半だけを「増補」したと勝手に思い込んでいました。
実際は「増補」だけでなく「改訂」もしたので、前半部の詩情あふれる解説文にも手が加えられていたのです。

これまで横山光夫が書いたと思ってありがたく読んでいた解説文のほとんどが、実は若林守男の改訂が加えられたのかもしれない・・・。
そう思うと横山ファンとしては結構ショックでした。
それと同時にオリジナルの解説文を何としても読みたい!という強い衝動に駆られ、すぐさま「1954年初版」を入手しました。
これこそオリジナル。
こうして横山氏の詩情あふれる解説文を堪能しました。

ここで心に残った解説文をひとつだけご紹介します。
チョウセンシロチョウの解説文です。
横山氏の息子さんが満州の戦場から最期に送ってくれた手紙でこの蝶について触れていたため、特別な思い入れがあるという記述が解説文に織り込まれていたのです。
本書には詩情だけでなくそんな悲しい思い出まで込められていたことを知りました。
著者が自身の分身として本書を書き上げたことを強く感じ、だからこそ読者は強く惹かれるのだと思いました。

これからも時々大切に読みたいと思います。

さて今回このようなことがあった関係で、本書にどのような種類があるかを改めて調べました。
そうすると、増補や改訂などで少なくとも4種類あることが判りました。
それは次の通りです。

①元版
 江崎悌三 校閲、横山光夫 著
 1954年発行、初版
 A5判、本文125ページ+原色図版63ページ+和名索引6ページ

②増補版
 江崎悌三 校閲、横山光夫 著
 1961年発行、増補版
 B6判、本文153ページ+原色図版71ページ

③増補改訂版
 横山光夫 著、若林守男 増補改訂
 1965年発行、増補改訂版
 A5判、本文178ページ+原色図版74ページ

④全改訂新版
 白水隆 監修、川副昭人・若林守男 共著
 1976年発行、全改訂新版
 A5判、本文422ページ+原色図版72ページ

私が先に読んだのは③増補改訂版でした。
増補改訂版の冒頭で若林氏は、横山氏が1957年に亡くなったためやむなく出版社の依頼を受けたことや、奄美諸島が返還されて蝶の種類が増えたことで増補したこと、同定に混乱を招くおそれがある解説文を改訂したことを書いています。

また④全改訂新版の冒頭では川副氏が、沖縄や小笠原が返還されて蝶の種類が格段に増えたため全改訂したと書いています。

最後に。
今回本書の種類を調べるのに頼りにしたのは、南陽堂書店さんのHP。
北海道大学に隣接する古書店・南陽堂書店さんは2階が昆虫の専門コーナーで、昆虫好きにとっては宝の山です。
HPで昆虫関連古書の文献リストを公開しており、今回参考にさせていただきました。
同じ市内に住んでいるのに「日本の古本屋さん」という通販サイトを通して書籍を購入してばかりです。
駐車場がないのがその理由ですが、今年は自転車で行って、あふれんばかりの昆虫本の中で時間を過ごしたいと思います。


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