鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2348~桜木紫乃

2024-07-26 12:10:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、桜木紫乃です。

久しぶりに桜木紫乃を読みました。
新刊「谷から来た女」です。
著者はアイヌ文様デザイナー貝澤珠美さんと知り合い、彼女をモデルにして小説を書くことの了承をもらったそうですが、桜木流では大人の恋愛シーンが多いことは知っていたのでしょうか?
モデルになった貝沢さんが本書を読んで驚いている姿が目に浮かびました。

本書を読んで、シサム(和人)にはなかなか思いが及ばぬアイヌの思いというものを強く考えさせられました。
私自身札幌で生まれ育ちましたが、幼い頃は幼馴染、同級生など周りにたくさんアイヌの方がいました。
差別される場面を見たことはありませんが、何となく風貌が違うと感じていました。
今考えると、彼らの家庭は熊を彫っていたり、工務店を営んでいたりと自営されている方ばかりだったように思います。
彼らはアイヌに生まれたばかりにシサムと同じ職に就けない苦しみを背負っていたのかもしれません。
アイヌ差別は意外と身近なところにあったのかもしれません。

本書の主題からは外れますが、桜木さんの小説を久しぶりに読んで感じたのは、前よりかなり洗練されたこと。
格好良い表現があちこちに見受けられるため、久しぶりに小説らしい小説を読んでいると実感しました。
いつも読んでいる実用書・絵本・図鑑などとは全く違うアートな文章って良いものですね。
ストックしている小説を何冊か読もうかな。

おまけとして内容紹介を引用します。
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「わたしの背中、こわいですか」気高く生きる女との邂逅を描いた大人の物語
アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワ。
彼女といると、人は自分の「無意識」に気づいてしまう。
自分の気持ちに、傷ついてしまう――。
そして、彼女は去ってゆく。忘れられない言葉を残して。
桜木紫乃の真骨頂、
静かに刺してくる大人の物語。
(収録作)
「谷から来た女」…2021年。大学教授の滝沢は、テレビ局の番組審議会でミワと出会う。大人の恋愛を楽しむ二人だったが…。
「ひとり、そしてひとり」…2004年。アクセサリーショップとセクシーパブで働く千紗は、夜のすすきのでデザイン学校の同期・ミワと再会する。
「誘う花」…1999年。教育通信の記者・譲司は、取材で出会ったミワの弟・トクシがいじめられていることに気づく。
「無事に、行きなさい」…2015年。レストランシェフの倫彦は、ミワとの将来を信じながらも、どこか遠さを感じている。
「谷へゆく女」…1982年。母を亡くした中川時江は、高校卒業と同時に、文通相手の赤城礼良を頼って北海道へ向かう。
「谷で生まれた女」…2023年。北海道テレビプロデューサーの久志木は、ミワのドキュメンタリーを撮影するが…。
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コメント
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