元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「スター・トレックIV 故郷への長い道」

2014-03-18 06:39:50 | 映画の感想(さ行)
 (原題:Star Trek IV:The Voyage Home)86年作品。私が観た映画版(旧シリーズおよび新シリーズも含めて)の中では、一番面白い。米国では公開されてからシリーズ最高のヒットとなったらしいが、それも十分頷ける。

 パート3でのジェネシス装置をめぐるクリンゴン人との戦闘でエンタープライズ号は破壊されてしまったが、代わりにカーク提督たちはクリンゴンの宇宙船を分捕り、勝手に“バウンティ号”と名付け、地球へ帰還することにした。ところがその頃地球には、怪電波を発して地上の全システムを停止させる謎の宇宙船が接近していた。カーク提督たちはその異星人の目的がザトウクジラの探査であることを突き止める。

 彼らはなぜか大昔から地球のザトウクジラと交信していたのだが、最近(ここ数百年)になってその交信が途絶えたため、わざわざ様子を見に来たらしい。それもそのはずで、ザトウクジラは21世紀の時点ですでに絶滅してしまったのだ。彼らにザトウクジラの“無事”を確認させないと地球が危機に直面するため、お馴染みのクルー達は、20世紀末にタイムワープして絶滅前のザトウクジラを23世紀に連れ帰ろうとする。



 エイリアンとザトウクジラとの関係性は何なのかとか、どうしてバウンティ号はいとも簡単にタイムトラベルが出来るのかとかいった突っ込みは、今回は辞めておきたい。これはハードSFではなく、コメディなのだ。小難しいことは抜きにして、寸劇を楽しんでくださいといった御膳立てが効いている。

 主人公たちが踏み込んだのは、1986年のサンフランシスコである。当時の世相と、スタトレ軍団とのカルチャー・ギャップが笑いを呼ぶ。バスの車内で無礼な若者どもにお灸を据えたり、ドクター・マッコイが病院で難病患者をワンタッチで治してしまったり、パソコンに“話しかけて”起動させようとしたりと、美味しいネタが満載だ。

 主な舞台が宇宙ではなく陽光まぶしいカリフォルニアであるせいか、レギュラーメンバーたちもリラックスモードで、飛び交うジョークも好調である(笑)。監督はスポック役でもあるレナード・ニモイだが、手慣れた出来で安心して観ていられる。ウィリアム・シャトナーやディフォレスト・ケリー等のいつもの面子も好調だ。

 終盤、カーク一行が捕鯨のジャマをする漁船は日本の船ではなく、ノルウェーあたりのものであるのは御愛敬か。派手なドンパチも大仰なSFX場面も無く、エンタープライズ号だってほんの少ししか出てこないシリーズ中の異色作ながら、幅広い観客にアピールする内容だと思う。進行中の新シリーズにも、こういう肩の力を抜いたようなシャシンがあっても良いと思った。

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