元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「リオ・ブラボー」

2024-08-19 06:40:40 | 映画の感想(ら行)

 (原題:RIO BRAVO )1959年作品。名匠と言われたハワード・ホークス監督が、フレッド・ジンネマン監督の「真昼の決闘」(1952年)に描かれた保安官像に不満を持ち、ジョン・ウェインを主役に据えて撮り上げた、ジンネマン作品へのアンチ・テーゼと言われる西部劇らしい。しかし「真昼の決闘」の革新性は今でも際立っているのに対し、本作は影が薄いように思う。とはいえ公開当時は大評判になったらしく、娯楽作品としては成功したと認めて良いだろう。

 テキサス州南部のメキシコ国境に近い町リオ・ブラボーの酒場で、客同士のトラブルが発生。そこに介入したならず者のジョーが、堅気の者を射殺する。保安官のジョン・T・チャンスはジョーを投獄するが、ジョーの兄ネイサンは多くの殺し屋を雇い入れ、町を封鎖してしまう。孤立したチャンスは連邦保安官が到着するまでの間、数人の仲間と共にネイサンの一味に戦いを挑む。

 設定だけ見ればスリリングなバトルものという印象を受けるが、語り口は緩い。展開は遅く、場面展開は意外なほど少ない。しかも室内のシーンが多いせいか、何やら演芸場の舞台を観ているようだ。結果として2時間20分という、この手のシャシンとしては無駄に長い尺になっている。ならば面白くないのかというと、決してそうではないのが玄妙なところだ。

 ウェイン御大が演じるチャンスをはじめ、以前は凄腕だったが失恋してから酒に溺れてロクに銃も持てない助手のデュード、若くて生意気だが腕の立つコロラド、片足が不自由な御老体ながらオヤジギャグと射撃に長けたスタンピー、そして偶然この地に逗留することになったショーガールのフェザーズら、キャラが異様に“立って”いる面子が勢揃いして持ち味を発揮しているのだから、ほとんど退屈しない。

 しかも、ディミトリ・ティオムキンによる有名なテーマ曲をはじめ、登場人物たちが歌うナンバーが実にチャーミングなのだ。クライマックスはもちろんネイサンの一派との撃ち合いになるのだが、けっこう段取りが考え抜かれていて感心する。まあ、敵方があまり強くないのは難点だが、それでも存分に見せてくれる。

 ディーン・マーティンにリッキー・ネルソン、ウォルター・ブレナン、ジョン・ラッセル、クロード・エイキンスら、役者も揃っている。また、フェザーズを演じる若い頃のアンジー・ディキンソンは本当に素敵だ。なお、石ノ森章太郎の代表作である「秘密戦隊ゴレンジャー」は、この映画をヒントにしているとか。確かに主人公たち5人の設定は、戦隊ものにピッタリかもしれない(笑)。

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