去る11月1日(日)~3日(火)に北九州市小倉北区のKMMビルでオーディオ&ヴィジュアルフェアが開催されていたので、足を運んでみた。主催者は春に福岡市で行われている九州ハイエンドオーディオフェアと同じであり、いわば姉妹企画である。とはいっても、歴史はこちらの方がずっと古い。なぜなら、主催しているオーディオショップの本店が北九州市にあるからだ。
とはいえ、九州ハイエンドオーディオフェアと比べれば規模は小さい。私も北九州市に用事があったのでそのついでに寄っただけであり、実際会場にいたのは3時間足らずである。だからあまり詳細なリポートは書けないが、いくつか印象に残った箇所を述べてみたい。
一番の収穫は、ドイツのハイエンドメーカーであるAVANTGARDE ACOUSTIC社のスピーカーDUO OMEGAをじっくり聴けたことだ。この機種には過去に何回か接してはいるが、いずれも駆け足での試聴であり、落ち着いて音質をチェックする余裕がなかった。今回は輸入代理店のTEACの担当者による詳しい説明を交えて、当モデルの魅力を堪能することが出来た。
明るく伸び伸びとした音色、余裕のある音場表現と、さすが欧州ブランドの高級機だけはあるパフォーマンスを示した。とはいえ、超高価格機なので一般ピープルの購入対象にはまずならない。それを承知の上で私がこの機種に興味を持ったのは、低音部のユニットだけパワーアンプが内蔵されているという、一種のアクティヴスピーカーの形式を取っていることだ。このモデルの低域の瞬発力は、アンプを内蔵していることが大きいのだという。
アンプを備えたアクティヴスピーカーといえば、パソコンに繋げる安価なものを誰でも思い浮かべるだろう。あるいはAVシステムのサブ・ウーファーぐらいか。オーディオ用といえば、通常は駆動アンプに繋げるパッシヴ型スピーカーであることがほとんどだ。ただし、オーディオシステムで気を遣う項目の一つにスピーカーとアンプとの相性がある。特に駆動力の問題だ。あるスピーカーを過不足なく鳴らすのに、どの程度の出力とドライヴ能力を持ったアンプが必要なのか、マニアならずとも頭を悩ませる。
ところがパワーアンプ内蔵のスピーカーならば問題は一挙解決だ。あとはヴォリュームと入力切り替えを装備したコントロールアンプだけを用意すればいい。もちろんコントロールアンプとスピーカーとの相性はあるが、プリメイン型アンプとパッシヴ型スピーカーとの相性ほどに神経質になる必要はないだろう。
さらにアクティヴスピーカーならば、RCAケーブルやXLRケーブルでアンプとのワンタッチ接続が可能だ。スピーカーケーブルの皮膜を剥いて芯線を出し、端子にネジ止めするという初心者には荷の重い作業が不要になる。もちろん、システムを起動させるにはスピーカー側の電源も入れなければならない煩雑さもあるが、そこは工夫次第で何とかなるのではないだろうか。いずれにしても、オーディオの復権に有用な形式だと思う。各メーカーも考えて欲しい。 (この項つづく)