元・副会長のCinema Days

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「第6回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その1)

2009-04-21 19:01:17 | プア・オーディオへの招待

 去る4月17日(金)より19日(日)まで福岡市博多区石城町の福岡国際会議場で、昨年に引き続き開催された第6回の九州ハイエンドオーディオフェアに行ってきたのでリポートしたい。今回の売り物の一つは、オーディオ評論家の福田雅光による講演会である。

 その内容は、普段なかなかお目にかかれない“電源ケーブルの聴き比べ大会”である。アンプやCDプレーヤーの電源ケーブルを交換すると音が変わることは、オーディオファンにとってすでに“常識”である。一部に“科学的な裏付けがないので音は変わらない”と主張する向きがあるようだが、すでに数多くの市販電源ケーブルが出回っている状態でそんなことを今さら言っても無駄だ。ちなみに、かく言う私も電源ケーブル交換による音の変化を大いに実感した一人である。

 アンプとプレーヤーとスピーカーの機種を固定し、ヴォリューム位置も変えずに同じソフトで次々と電源ケーブルを付け替えて聴かせてくれた。当然の事ながら、それぞれ音は変わってくる。中にはまるでアンプを入れ替えたような大きな音の変化を見せたケーブルもあった。また、やはり価格が高くなると解像度や情報量は上昇する。10万円を優に超えるFURUTECHAETの製品はさすがに質が高い。しかし、たかが電線にそんな大枚を叩く必要があるのかどうかは意見が分かれるところだろう。

 近頃は安価な部類でも使い物になる製品も出てきたということで、OYAIDEREAL CABLEPS AUDIOなどの3万円台の電源ケーブルも紹介された。なるほど、けっこうサマにはなっている。ただ、私が持っている1万円未満のネット通販業者謹製のケーブルより特段優れているとは思わない(まあ、実際聴き比べたわけではないので断言はできないのだが ^^;)。市販電源ケーブルは最低5万円は出さないと店頭で買う価値はない(それ以下の価格だとネット通販業者が作っているケーブルの方がコストパフォーマンスは高い)・・・・という私の独断的な持論は大きくは揺らがなかった。

 そもそもこの企画でまず実行すべきことは、アンプ類に最初から付属している電源ケーブルと市販の電源ケーブルとの聴き比べである。電源ケーブルで音が変わることは認識していても、スピーカーケーブルや(プレーヤーとアンプとを繋ぐ)RCAケーブルほどの重要性はないと考えているユーザーもまだまだ多いと思う。そのあたりから攻めていった方がより説得力のあるレクチャーになったはずだ。

 福田の意見も諸手を挙げて賛成できるものではなかった。電源の大切さを力説すること自体にはまったく異論はないが、彼はどうやら“電源周りで音を作っていこう”という考えの持ち主のようだ。彼は“電源の段階で音に色が付くようでは困る”と口では言っていたが、実際にはオーディオ・グレードの製品を熱心に奨めているあたり、ちょっと矛盾している。オーディオ・グレードとはオーディオ用に“音が良くなる”ような仕様の電源部品(壁コンセント等)のことだ。具体的にはロジウムなどの高価な金属によるメッキや、クライオ処理と呼ばれる低温加工を施したものである。しかし、メッキ自体が音に色を付けてしまうのだ。一度知人宅でロジウムメッキで電源部品を固めた際の音を聴かせてもらったが、耳障りで硬くてどうしようもなかった(もちろん、その後電源関係は総入れ替え)。私自身もプラグをメッキ加工した電源ケーブルの色付けの濃さに閉口したことがある。

 だいたい、試聴用に“最も色付けが濃いアンプ”のひとつであるDENONの製品を使っていたのも愉快になれない。もっと透明度の高いアンプを起用すべきではなかったか。同じ会場にESOTERICとかPRIMAREのような色付け希薄なナチュラル路線の製品もあっただけに、福田の姿勢には納得できないところがある。

 しかしながら、講演会の主旨自体は評価する。ケーブルは“試聴”が出来ないだけに、こういう聴き比べは実に有意義だ。今後も(講師は替えても良いので)継続して欲しい。それにしても、会場には数多くのアンプ類が並べられていながら、付属品の電源ケーブルを使って駆動していたものなんか一台たりともなかったのには苦笑するばかりである。メーカー側も“付属品ケーブルなんてオマケに過ぎない”と分かっているのだ。にもかかわらず質の悪い電源ケーブルを漫然と付属させていることは、ユーザーに対する一種の背任行為ではないかとさえ思ってしまう。エントリークラスの製品ならばともかく、中級品以上ならば電源ケーブルは付属させずに“PSEマークの付いている電源ケーブルを別途調達して下さい”ぐらいの但し書きを付けてしかるべきだろう。

(この項つづく)

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