元・副会長のCinema Days

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“ポタフェス”に行ってきた。

2019-05-19 06:31:17 | プア・オーディオへの招待
 去る5月11日(土)、福岡市中央区天神の福岡天神センタービルにあるTKPガーデンシティにて開催された“ポータブルオーディオフェスティバル(通称:ポタフェス)2019福岡”に行ってみた。このイベントはDAPやパソコン、スマートホン等に繋ぐ小型の音響デバイスの展示会である。とはいえ、会場にいたのは1時間あまりで、各ブースは入場者でほぼ満席だったので試聴出来た機器はほんの数点だ。それでも出品されているアイテムには面白いものがあったので、いくつかリポートしたい。

 最も興味を惹いたのは、CROSSZONE社の頭外定位ヘッドフォンだ。通常、ヘッドフォンでの音楽鑑賞は音像が両チャンネルの間、つまりは“頭の中”に形成される。もちろんそれは音の輪郭が鮮明になるという点では有利だが、音場がリスニングルーム内に広がるスピーカーでのリスニングや、もちろん実際のライブ会場等とは別物である。しかしこの頭外定位ヘッドフォンは、文字通り音像が“頭の外”に形作られ、まるでスピーカーで聴くような自然なパフォーマンスを実現しているという。



 実際に聴いてみると、明らかに従来のヘッドフォンとは違う。音像が“頭の中”ではなく“頭の真ん前”に現出するのだ。スピーカーでの鑑賞とは異なるかもしれないが、長時間の音楽鑑賞でも疲れないナチュラルな展開は、独自の存在感を発揮している。話によると、これは3つのドライバーユニットを巧みに配置することによって実現しているらしい。価格は高いが、それだけの価値はあると思う。

 ミキサーの作り手として知られる米国MACKIE社がリリースした密閉型ヘッドフォンのMC-150とMC-250は、安価ながら高性能だ。とにかく音が良い。エントリークラスの製品にありがちな、特定周波数帯域を持ち上げたような、ハデだけど聴き疲れするような展開には決してなっていない。業務用だからということもあり、聴きやすいフラットなテイストを持っている。しかも、情報量や解像度は及第点に達しており、不満を感じることはない。正直、衝動買いするところだった(まあ、ヘッドフォンはすでに保有しているので思い留まったが ^^;)。

 米国Skullcandy社のヘッドフォンCrusher360は、実に楽しい製品である。何とサブウーファーが付属しており、ヘッドフォンから独自に振動が響くのだ。しかも、通常の5.1chのAVシステムのようにサブウーファーが1台ではなく2個搭載されているため、低音部もステレオで出てくる。そのため臨場感が大きい。

 タブレット端末で映画などのソフトを再生しながらCrusher360を併用すると、これがなかなかイケるのだ。また、左側のイヤーカップを指先で上下にスライドすることによって低域をコントロールするというアイデアは優れもので、インターフェースの面でよく考えられている。パッドなどの部材は上質で、掛け心地も悪くない。



 さて、この催し物に足を運んだのは一昨年(2017年)に続いて2度目だが、今回も入場者の大半が若年層である(しかも、若い女子の姿も散見された)。加齢臭が充満する(笑)ピュア・オーディオのフェアとは大違いだ。考えてみれば当たり前で、今時の若い衆は“デカいシステムで音楽を聴くこと”に縁がない。それどころか“デカいシステム”の存在自体も知らない。たとえ知っていたとしても、金銭面及び居住環境面で導入する余地がないというのが実情だろう。

 ましてや“ポタフェス”に展示されているようなコンパクトで面白味のあるデバイスが市場に流通している現状では、昔のような“デカいシステムで聴くと、音が良い”というような御題目で若い層が動くはずがない。

 ピュア・オーディオの作り手が若者に振り向いてもらおうと考えるならば、ポータブルオーディオの発展形として提案するしかないと思う。もちろん、マニア向けの重厚長大モデルではなく、生活空間を圧迫しないサイズでセンスの良いエクステリアを備えたものが望ましい。

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