元・副会長のCinema Days

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「シャン・チー テン・リングスの伝説」

2021-10-01 06:24:11 | 映画の感想(さ行)
 (原題:SHANG-CHI AND THE LEGEND OF THE TEN RINGS )まず、主人公を演じるシム・リウとかいう俳優がダメだ。どう見てもヒーロー物の主役とは思えない、かなり難のある御面相。このキャスティングだけで鑑賞意欲が9割ほど減退した(笑)。しかも彼の父親として出演しているのはトニー・レオンという、中華圏きっての二枚目だ。いったいどこでどう間違えば、トニー・レオンの息子がこんなにパッとしない野郎になるのか、まるで意味不明である。

 ミラクルなパワーを秘めた“テン・リングス”を手に入れた中世の武人ウェンウーは、不老不死の肉体を得ると共に現代に至るまで歴史の裏で暗躍する犯罪組織を作り上げる。その息子シャン・チーは幼い頃から最強の暗殺者になるため激しい訓練を受けていたが、父の態度に疑問を感じた彼は家出し、サンフランシスコで平凡なホテルマンのショーンとして暮らしていた。ところがある日、ウェンウーの放った殺し屋たちが襲い掛かってくる。何とか難を逃れたシャン・チーだったが、やがて父親の“ある企み”を知り、友人のケイティと連れ立って中国に渡る。

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新展開と位置付けられる一作だ。シム・リウは見た目がアレだが運動能力は高く、格闘シーンはソツなくこなす。前半の、サンフランシスコの市街地で展開するバスの中での大立ち回りとカーアクションは、かなり盛り上がる。過去に幾度も映画のカーチェイスの舞台になったこの町がバックになっているのも感慨深い。

 しかし、中盤以降は完全に失速。どこかで観たような場面が続き、中国奥地の謎の村が前面に出てくるようになるパートは、過去のファンタジー映画の焼き直しのようだ。クライマックスに至っては怪獣映画に移行し、MCUの中にあっては場違いである。そもそも、人里離れた中国の辺境の地でいくら大々的なバトルが巻き起ころうとも、(映画の中での)一般ピープルにとっては関係の無い話で、インパクト皆無の絵空事だ。デスティン・ダニエル・クレットンの演出は、単に“脚本通りにやりました”というレベルでしかない。

 トニー・レオンはさすがに存在感はあったが、東アジアの男前役者はハリウッドでは悪役を担当することが多いのかもしれない。困ったのはケイティに扮するオークワフィナで、シム・リウを上回る残念な容姿。さらには主人公の妹を演じるメンガー・チャンも、ちっとも美人ではない。どう考えても“不細工でなければならない役柄”ではないのに、ヒーロー物の賑々しさとは対極にあるような人選だ。こういう面々が今後MCUに継続出演することを考えると、思わずタメ息が出てくる。

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