元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ワーキング・ガール」

2018-04-13 06:29:59 | 映画の感想(わ行)

 (原題:Working Girl)88年作品。軽妙なコメディなから、働く女性を主人公にした映画では上質の部類である。一つ間違えば昔のトレンディ・ドラマのような底の浅さを露呈するような物語の構図だが、キャストの敢闘と名人芸的な演出により、幅広い観客にアピールする内容に仕上がった。また、時代を感じさせるエクステリアも興味深い。

 ニューヨークの投資銀行に勤務するテスは、仕事熱心で努力家だが、低学歴なので会社からはなかなか認めてもらえない。それどころか日々受けるセクハラに悩まされていた。そんな彼女の新しい上司キャサリンは、テスと同世代ながら有名大学卒で幹部候補生だった。一見テスにフランクに接するキャサリンだが、その実テスを軽く扱っていた。

 そんな中、キャサリンがスキーで骨折し、その間テスは彼女の留守を守ることになる。テスがキャサリンの仕事のファイルをチェックしていると、以前自分が提案したアイデアが流用されていることが分かる。不愉快な気分になる一方で大いに発奮したテスは、取引先の関係者ジャックと接触し、M&A事業を独自に進めていく。

 テスとジャックは、一緒に仕事をするうちに急接近するという筋書きは予想通り。ジャックは元々キャサリンと付き合っていたが、とっくの昔に彼は熱が冷めていて別れを切り出すばかりだったという設定も含め、ラブコメの王道路線が展開する。ただしそれらが全然あざとく見えないのは、各キャラクターに愛嬌があるからだ。

 頑張り屋のテスは応援したくなる。演じるメラニー・グリフィスは快調で、したたかな女をチャーミングに見せる。特に半裸で部屋の掃除をする場面は最高だ(笑)。キャサリンに扮するのはシガニー・ウィーバーだが、アグレッシヴでどこか抜けているキャリアウーマンを楽しそうに演じる。ジャック役のハリソン・フォードが珍しく“二枚目キャラ”に徹しているのも面白い。ケヴィン・スペイシーやジョーン・キューザック、アレック・ボールドウィンといった脇の面子も万全だ。

 マイク・ニコルズの演出はスムーズで淀みが無く、カーリー・サイモンによる有名な主題歌も効果的だ。女性陣の80年代らしい厳ついファッションには笑ってしまうが、予定調和ながら屈託のない作劇とエンディングが罷り通ってしまうのもこの時代らしい。本当にあの頃は良かったなァ(・・・・と、心ならずも年よりじみたコメントを残してしまった ^^;)。
コメント
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