元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第15回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その1)

2018-04-20 06:26:16 | プア・オーディオへの招待
 去る4月13日から15日にかけて、福岡市博多区石城にある福岡国際会議場で開催された「九州ハイエンドオーディオフェア」に行ってきた。今回は前回のように期日が多忙な年度末ではなかったこともあり、比較的ゆっくりと見ることが出来た。

 展示物の中でまず目を引いたのは、KORGのアンプである。同社は電子楽器類を手掛ける国内の有名メーカーだが、ポータブル型のアンプは以前からリリースしていた。今回は(おそらくは試作品と思われる)フルサイズのオーディオ用アンプの出品。とにかく、採用されている部材が斬新だ。ノリタケ伊勢電子との共同開発によるNutubeと呼ばれる素子は、蛍光表示技術を応用した真空管である。しかも、従来からの管球式アンプに使われている真空管とは似ても似つかない形状で、びっくりするほど小型だ。



 展示されていたアンプはセパレート型だが、プリアンプ部に相当するフォノ・イコライザーを搭載したユニットには、電源ケーブルが付いていない。スタッフに話を聞くと、何と市販の電池で動作するのだという。よく見れば、筐体内に電池が並んでいるのが確認出来る。これは省電力化を達成したNutubeだからこそ可能な仕様であることは間違いなく、当然のことながらコンセントからの電源ノイズからは完全に無縁だ。

 肝心の音だが・・・・正直言って、周囲がうるさくてよく分からなかった(笑)。だが、この構造は実に興味深い。場合によっては、オーディオ用アンプの現状に一石を投じるような製品に結実するかもしれない。将来的には期待が持てる。

 さて、2015年の同イベントでも招かれていた地元ラジオのDJであるTOGGY(トギー)と、フェアの主宰元であるマックスオーディオの社長とのアナログレコードに関する対談がおこなわれた。このイベントでの個人的に大きな収穫は、蓄音機の音を初めて聴けたことだ。確かにレンジの狭い古い音だが、ヴォーカルは鮮明に再生されている。そして全域に渡って独特の生々しさが感じられる。それもそのはずで、蓄音機の音は電気的プロセスを経ていない。ダイレクトな音の出方は、今でもこれにハマってしまう人がいるらしいという事実も頷ける。



 もちろん最新のアナログプレーヤーも実装されていたが、目玉はTechnicsのSL-1000Rだろう。160万円というハイ・プライスな商品だが、かなりの物量が投入され、質感は高い。また、数百万円という海外製のプレーヤーが多数展示されている中にあっては、ある意味コストパフォーマンスは高いとも言えるのだ。

 同ブランドが2015年に“復活”した時点ではアナログプレーヤーのラインナップが無くて不満だったが、それから数年のうちにプレーヤーを揃えてきているのは、やっぱり頼もしい。今後はカートリッジ類のリリースも望みたいところだ。

(この項つづく)
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