元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「紅い鞄 チベット、秘境モォトゥオへ」

2014-07-01 06:17:16 | 映画の感想(あ行)
 (原題:心跳墨脱)2003年作品。「世界の果ての通学路」を観て思い出したのがこの映画。一般公開されているかは不明(ビデオ化はされている)。私は2004年のアジアフォーカス福岡映画祭で鑑賞している。

 中国の奥地で自費で小学校を建てた老人を訪ねるべく、チベット自治区のモォトゥオ(墨脱)県に向かった雑誌記者とその一行が遭遇する苦難を描くロードムービー。内蒙古電影制作所に所属するモンゴル族のハスチョローが演出を担当している。



 道なき道を一週間かけて踏破しないと辿り着けない超過疎地が放置されている中国の国内問題はもとより、修羅場をくぐるたびに結束を高めてゆく主人公達や、僻地の教育に命を賭けた老人の気高い意志を描く人間ドラマの側面、そして「インディ・ジョーンズ」ばりに配置される危機また危機の活劇場面も含め、あらゆる映画の面白さが一本に凝縮されているという意味で、これは驚くべき作品だ。

 そして何よりチベットの雄大な風景に圧倒される。この映像だけで十分入場料のモトは取れるだろう。家族を失ったジャーナリストや、都会人っぽさが抜けきらない女医など、各キャラクターも実に良く“立って”おり、現地人を中心としたキャストも皆本当にいい顔をしている。“拾いもの”とも思える秀作だ。
コメント
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