元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ダイバージェント」

2014-07-28 06:06:00 | 映画の感想(た行)

 (原題:DIVERGENT )何より、主演女優のシャイリーン・ウッドリーの劣化ぶりに唖然とした(爆)。顔が下ぶくれで締まりが無くなり、表情が乏しくなって肌のキメも粗くなっている。「ファミリー・ツリー」でジョージ・クルーニー扮する主人公の娘を演じた時は、とても可愛く演技も達者で好感を持ったが、あれからわずか3年でこうもオバサン臭くなってしまうのだから、世の中分からない。母親役のアシュレイ・ジャッドの方がよっぽど魅力的だ。

 さて、主役の弱体化は別にしても、本作は低調なSFアクション編であり、ハッキリ言って観る価値は無い。最終戦争から約100年経った未来。人類は国家や人種、宗教というカテゴライズこそが諸悪の根源であると勝手に決め付け、その代わりに全員を対象に一生に一度性格診断テストを実施して、キャラクター傾向別に5つの共同体に分類し、役割を明確化して世の中を上手く回そうと考えた。

 主人公のベアトリスは16歳になりテストを受けるが、結果は5つのどれにも当てはまらない“異端者(ダイバージェント)”と判定される。ダイバージェントは反社会的な分子と見なされ、世の中から排除されてしまうのだ。素性を隠して戦闘的な共同体に加入する彼女だが、やがて政権をめぐって特定共同体によるクーデターが勃発。それと同時にダイバージェントを抹殺しようという計画が明るみに出て、ベアトリスは否応も無くこの紛争に巻き込まれていく。

 まず、5つの共同体に分けるだけで全てを丸く収めようという小児的発想に脱力する。しかも、映画の序盤で“診断テストは一回のみ”と謳ってあるにも関わらず、後に共同体を異動した者も存在するといういい加減な設定。

 そもそも、どうしてダイバージェントがこの未来社会の維持に不都合なのか、そこがほとんど描かれていない(せいぜいが洗脳しにくいというモチーフしか出てこない)。本作は三部作の第一作であり、ダイバージェントの何たるかは自作以降に示されるとは思うのだが、少なくともその“正体”を暗示するような描き方をしないとこの映画自体の存在価値は無いだろう。

 主人公が受ける訓練や共同体内での色恋沙汰は、扱い方として稚拙と言うしかなく、まるで“ママゴト”のようだ。アクションシーンも緊張感や高揚感は皆無。マーシャルアーツ方面のトレーナーは不在だったのかと思うほど、弛緩したような格闘場面が延々と続くのみ。それらに追い打ちを掛けるように、無駄に長い上映時間が作品のレベルを大幅に引き下げる。

 ベロニカ・ロスによる原作は本国では大ヒットしたらしいが、たぶんお子様向けのケータイ小説と似たようなものなのだろう。ニール・バーガー監督の腕前は三流で、映画を盛り上げる術も知らないようだ。キャストわずかに印象に残ったのは、珍しく悪役を嬉々として演じているケイト・ウィンスレットのみ。とっとと忘れてしまいたいシャシンである。
コメント
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