Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

冬の言葉

2005-01-13 | 思うこと。
冬が又来て天と地とを清楚にする。
冬が洗ひ出すのは万物の木地。

天はやつぱり高く遠く
樹木は思い切つて潔らかだ。

虫は生殖を終へて平気で死に、
霜がおりれば草が枯れる。

この世の少しばかりの擬勢とおめかしとを
冬はいきなり蹂躙する。

冬は凩(こがらし)の喇叭(らっぱ)を吹いて宣言する。
人間手製の価値をすてよと。

君等のいぢらしい誇をすてよ、
君等が唯君等たる仕事に猛進せよと。

冬がまた来て天と地とを清楚にする。
冬が求めるのは万物の木地。

冬は鉄しき(かなしき)を打って又叫ぶ、
一生を棒にふって人生に関与せよと。
(高村光太郎)

>>僕は冬が好きです。
冴える薄明。
寒さを溶かす朝日。
張りつめた透明な空気。
高い空。
美しい夕焼け。
満天の星。

>>でもそんな悠長なことを言っていられるのは、
雪など滅多に降らない地域に住む者の
戯れ言、なのかもしれません...
コメント (14)
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