Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【インプレッション】シトロエンDS3カブリオは、意外性という魅力の玉手箱。

2014-06-05 | インプレッション。



シトロエンが2009年以降展開する上位シリーズ、DSライン。

シトロエンの「CRÉATIVE TECHNOLOGIE」を体現し、
同社の伝統を、これ以上ないほどにシンボライズしたクルマ、
と定義づけられています。

発売以降世界規模で好評を持って迎え入れられ、
いまやPSA(プジョー・シトロエン)内のブランドの一翼を担うまでに成長しました。



このDSラインの最初のクルマが、C3をベースに作られたプレミアムコンパクト「DS3」。
実用車的な3ドアハッチバックというボディ形状でありながらも、
独特の形状をもったBピラーや、
ボディカラーとは異なるミラーやルーフカラー(仕様によって何色か選択が出来る)を持ち、
凝った各部のデザインと高い質感の内装を誇ります。



シトロエンDS3


3ドアハッチバックという形式を見事にパーソナル感に昇華させていて、
小ささはこのクルマにとって単なるボディサイズの数値に過ぎず、
DS3の存在自体はこれよりも高価格なほかのプレミアムカーにひけを取りません。

まずこの「小さいのにプレミアム」というキャラの意外性がいいのです。
サンクバカラ、バンデンプラスプリンセスなど、「小さな高級車」は
いずれもとても素敵でしたものね。



DS3というクルマはとてもシックなのですが、
ターボエンジン+マニュアルの高性能版「スポーツシック」というグレードが用意されています。
4mを切る小さなハッチバックに156馬力を発揮するツインスクロールターボエンジンを搭載し
6速マニュアルで運転を楽しむことが出来るこのクルマ、
性格的には【ホットハッチ】であると言ってもいいでしょう。


DS3 sport Chic



ですが、DS3スポーツシックが面白いのは、本気で飛ばすとかなーり速い【ホットハッチ】なのに
外観からはその雰囲気はほとんどしないというそのギャップ、意外性です。
ホットハッチは基本的には通常版との差別化をする必要もあるため、
内外装にホットハッチとしてわかりやすいシンボライズをすることが多いのですが、
ことDS3に関しては少し大きいホイール以外は、その気配がない。

大きなパワーや実力を内包しているのに
それを外に見せないというのは、なんだかとてもオトナっぽいのです。

シックな装いを旨とする人が、実はとても強靭なアスリートだったりする。
この意外性って、とても魅力的ですよね。




そんなオトナのハッチバックDS3に、昨年からルーフ部分を開閉出来る「カブリオ」が追加されました。
カブリオといってもフロントウインドウ以外が開くオープンカースタイルではなく、
かつての2CVのように、もしくはC3プルリエルのようにルーフ部のみが開閉するタイプです。
欧州ではハイエンドモデルには屋根が開くクルマが多いので、上級レイヤーのDSラインには
オープンモデルの存在はまさにぴったり。
でもさすがはシトロエン、さすがはDSライン、だと思うのが、
カブリオに組み合わされるエンジンとミッションが「スポーツシック」と同じ
156馬力のターボエンジン+6速マニュアルだということです。





のんびりまったりなイメージあるオープンモデルなのに、
あえて組み合わせてくるのはスポーツバージョン、というこの意外性。


実際に乗ってみても、ノーマルルーフのDS3からは20kgしか増えていない車重(1210kg)
ということもあって、いざアクセルを踏み込むと3000回転くらいから
マイルドにどーん!とターボが利き始めます。
このパワーの出方は156馬力という数値以上のものを感じさせるほどに強く、
そこは【馬力を出すためのターボ】らしさがあって嬉しいところ。
同じエンジンのミニクーパーS(184馬力)ほどの速さはさすがにありませんが、
じゃじゃ馬的な性格もある、かなり痛快なエンジンです。


BMW製1.6L DOHCツインスクロールターボ。156馬力!



シトロエンが作ったクルマ、となると気になるのはシートと乗り心地ですが、
シートはいにしえのモデルよりは硬いのだけれど、
それでも座った瞬間のアタリの良さと、背もたれ・座面の硬軟バランスの良さ、
根本的な形状の良さはさすがのシトロエン!気持ちが良いシートになっています。
右ハンドル化によって起こる「右腿が浮いて体が不均衡になって体のどこかしらに疲れがたまる」
ということも、だいぶ少なくないです
(右腿が浮いて体が不均衡に...は残念なことに右ハンドル化した小型の欧州車に多い傾向)。



C3と同じインパネだが、その質感/デザインともにとても上質。



乗り心地も、ふんわりではないのですがしなやか。
街中など低速域での乗り味はソフトです。
逆に速度をあげていくと、高速道路などでは硬めのサスのため段差を乗り越えた際は
揺すられる感はありますが全体的には「よい締め具合」。
タイヤもドタバタしません。17インチホイルを抱いているとは思えないです。

性能的にはホットハッチではありますが、脚周りはガチガチではないのは、
プジョー・シトロエンの高性能車のよき伝統かと思います。


ハンドリングの良さはプジョー・シトロエン各車はお墨付き。
絶妙な重さと反力、感触が素晴らしいパワステもさすがです。
スポーツシックゆえの締まった脚周りで、ロールも少なく
俊敏にコーナーを抜けていくことが出来ます。




そして最大のトピックはやはり、屋根が開くこと。
サイドから見ると一見ノーマルのDS3に見えるので、
DS3のアイデンティティともいえる特徴的な「シャークフィン」のBピラーや、
ボディと違うルーフカラーはそのまま残されているのが嬉しいですね。


ルーフはソフトトップではありますが、その材質はとてもしっかりしていて、
耐久性もかなり高そうです。
3種類選べる屋根布の中から、このクルマはDS3モノグラムという模様が入ったタイプが
選択されていました。


モノグラム模様がカッコイイ。開放感の高さがわかるでしょうか。



ルーフの開閉は電動。
スイッチはサンバイザーの間、室内灯等があるゾーンにあり、すぐに手が届きます。
なんと120km/hまで走行中に開閉操作が出来るのですが、これがたいへんに有り難く、
ああ、いま屋根を開けたら気持ちが良さそうだ!と思うや否や、高速道路上でさえ
屋根を開放出来るのですから、これはとっても嬉しい。



スイッチひとつで高速走行中でもここまで開きます。らくちん!


スイッチをオープン側に押せば、リアウインドウから後ろが見える全開状態まで自動で開きます。
でも実はここが全開ではなく、スイッチをもう一度押すと、ここからさらに
ルーフがうしろに降りて行き、より高い開放感を得ることが出来るのです。
このときリアウインドウは格納されるという凝りっぷり。
たたまれたルーフのために後方はドアミラー以外では確認出来なくなりますが
この開きっぷりは2CVを思い出させるほどに広大!



そしてこれが全部後ろまで開いた状態。開放感抜群。
もちろん120km/hまでは走行中でもセット可能。



風の巻き込みは前席は100km/hで走ってもほとんどなく、
屋根のみが開くセミオープンの良さを感じます。
屋根だけでは開放感はどうなの?とも思いますが、
Aピラーの傾斜が緩く前席にいてもちょっと見上げれば空が視界に入るので、
そこはまったくもって充分でした。

後席はさすがに走行中には風が入りますが、
それでもこれもまたボディサイドが残るセミオープンゆえ、
フルに開くクルマよりは風にあおられてさあ大変!
という状況にはなりません。


後席住人のほうが空をたくさん楽しめるかも^^


屋根が大きく開くクルマなのですが、トランクスペースは
この手のクルマにしては大きく、ベースのDS3同様後席の背もたれは
倒すことが出来るので、使い勝手も良好。
そうそう。しかもちゃんと5人乗りなんです!このクルマ。



リアシートは必要充分の空間。トランクスルーもできる




上に跳ね上がるトランクハッチが面白い

トランクハッチはこんな風に複雑なリンクで予想外の開き方をします。
こういった部分にシトロエン、そしてフランス車を感じちゃうのだ!
なお、ルーフが完全に後ろまでさがっているときにハッチを開けようとすると、
自動でルーフが「リアガラスが格納される前」の状態に戻ります。
よく出来てるなあ。



お借りしてる間、炎天下以外はほとんど屋根を開けていました。
まだ夕方は涼しいということもあって、日が暮れてからはまさにこのクルマの時間でした。
気軽に走行中に開けられるのと、風の巻き込みや風切り音がほとんどない、
というのはとても大きいですね。
気軽に空をつかまえることが、いつでもどこでも出来るのですから!


コンパクトな車体なのに装備は充実、質感はとても高く、
6速マニュアルでどんな運転も自由自在、
いざアクセルを踏み込めばどこからでも加速するパワー、
素晴らしいハンドリング、どこまでも突き進む直進性、
何時間座っても疲れないシート...
これだけでも充分に魅力的なクルマなのに、
さらに開放感抜群のルーフ・オープンまで出来ちゃうんですから、
DS3カブリオって、ほんとに死角が無いんです!






屋根があくことによる不便さが何も無いのですから、
価格は通常のスポーツシックよりも高いですけれど
「その差額で空が手に入る」のでしたら、
ぼくなら迷わずにカブリオを選びたくなります。


ほんとうにDS3カブリオは爽快で素敵な一台。
シトロエンの深みのある設計力が
プレミアムカーを作るとこうなるのですね。
さすがです!

そして、このクルマには数多くの魅力的な「意外性」があります。
意外性のあるものは、魅力的なものが多いのです。

小さいのに高級。
高級なのにホットハッチ。
ホットハッチには見えないのにめっぽう速い。
それでいてオープンカーなのですから!

まるで意外性の玉手箱のようなクルマなのです!


Tシャツにジーンズというカジュアルな服装でも、フォーマルでも、
若い世代でも、人生をこれから楽しもう!という世代の方々にも
すべて似合うのもいいなあ!



合わせ鏡の中をのぞいたような、果てしない奥行きを感じさせるテールレンズ。



ところで。ここから先は古くからシトロエンが好きな方にぜひ、
読んでいただけると嬉しいです。


シトロエンの上位レイヤー「DSライン」に対して、
一応、長年、シトロエンを新旧各種7台も乗り継いだぼくには、
いろいろ思うところがありました。


DSラインは今までのシトロエンとは違うのではないか、と。
「シトロエンというメーカーのクルマは、こうでなくてはいけない」
という先入観や思い入れがあったことを否定出来ないのです。



シトロエンのクルマを簡単に説明する場合、
唯我独尊や個性的、前衛的(アヴァンギャルド)といった言葉が良く用いられます。
たしかに前衛的な設計やデザインが多く、とある目標を達成するにしても
直球勝負ではなくてどこかしらウイットに富んだ変化球でそれを解決するような印象もあります。




ですが実際は、
戦後のフランスの復興の一助となった醜いアヒルの子、2CV、
全身をオイルが血液のように張り巡らされたシトロエンDS、
奇妙なスタイルでいまだに見るものを仰天させるアミ、
1Lの大衆車にもハイドロニューマチックを用意しモダンな内外装を誇るGS、
説明を受けないと操作方法すらわからない前衛的なダッシュボードを持つCX
(をはじめとしたサテライトスイッチ【PRNサテライト】を持つ一連のクルマたち)、
近年ではステアリングのセンターを固定してしまった初代C4などなど...
これらのクルマの奇抜な設計を見るに触るにつけ、
「機能を実現しようと思って合理的に設計したらこうなった」
という【必然の理由】が奇抜さを生み出して来たのではないか。



これを奇抜と言わないでなんという、GSAのサテライトスイッチ。
でもこれが驚くほど合理的かつ使いやすいな設計なのだ!



もちろん優れたデザイナーという存在が、
そのアイデアを見事に具現化しているのに間違いがありませんが。

※PRNサテライトについての詳細はこちらを。

それが結果として「唯我独尊」に、「個性的」に見えるのではないかと。
奇をてらってクルマを作ってやろう、という気持ちだけで奇抜なものを作っても、
あれほどまでに使い勝手に優れたものにはならないのではないでしょうか。


つまり、シトロエンらしさとは、「デザインありき」でななく、「機能がクルマの設計を決定してきたこと」、
でもあるように感じるのです。



元祖、シトロエンDS。すべての形態に理由がある。
その「必然から生まれた形態」をフラミニオ・ベルトーニという彫刻家出身のデザイナーが、アートに変えたのだ。



いっぽうDSラインは、シトロエン自身が
「シトロエンの伝統を、これ以上ないほどにシンボライズしたクルマ」と説明をしています。
でも、その「シンボライズ」の方法に対して、いにしえのシトロエンとの比較をどうしても、してしまった。

この気持ちは多くの古くからのシトロエンファンに、少なからず共通する部分かもしれません。


そんな中。
DS5とDS3に、それぞれ数日、数百キロにわたり共に出来ました。
この幸運の中、いろいろ考えたのです。

その結果は、DSライン...このクルマたちは間違いなくシトロエンが作ったクルマだ、ということでした。






「DSライン」はシトロエンの既存のクルマとは違う「プレミアムライン」。
つまり。
シトロエンだけど、シトロエンではないのかもしれない。あくまでも、
シトロエンのヘリテイジを新しい価値として具体化したプレミアムカーが、DSラインなのではないか、と。
これはシトロエンが作ったプレムアムカー、「DSライン」というクルマなのだ。


そうやって考えると、ぼくの頭の中にあった
「シトロエンかくあるべき」という気持ちが綺麗さっぱりに瓦解しました。



前衛をデザインと質感と存在感で表現したDS5に乗ったときにそう思ったのですが、
その気持ちに、やはり間違いはありませんでした。

たしかに、DSラインの乗り心地に、
いまなおC3などに脈々と受け継がれるシトロエン特有のふんわり感はないかもしれません。
でも、そこだけがシトロエンらしさ、ではないのではないか。
シトロエンのフィロソフィである「独創と革新」、
そしていにしえのモデルが持っていた「機能がデザインを決定したプロセス」を、
DSラインでは【デザインや存在感、いろいろ散りばめられたアイデアで具現化】しているのですね!





DS5。まさにDSラインの象徴的存在。たしかに、シトロエン以外からは出ることはないクルマ。
(DS5のイラストレポはオートックワンに掲載して戴きましたのでぜひご覧ください)



なるほど!
ぼくは勝手に心の中で膝を叩きました。
今も昔もシトロエンは、少しも変わっていない。
「独創と革新」の表現を、DSラインではヘリテイジのシンボライズという方法にしただけのことなのだ!



消え行く国立競技場をバックに。
長いフロントオーバーハング、短いリアオーバーハング、長いホイールベース、
そして猫背のルーフ。シトロエンの「スタイル言語」は受け継がれていることに気がつくのです



そう考えると、シトロエンらしさのシンボライズという意味では、DSラインが採る戦略やデザインは、
とても正しいものだったのです。

DSラインは、長い歴史を持つシトロエンがこれからの未来を考えに考え、
決心の上で新たに展開するブランドですから、そこには妥協があるはずがないんですね。

既存のシトロエンブランドとの差別化も、よく練られている。
どうCシリーズと差別化を図るか。それでいて、シトロエンらしさをどう盛り込むか。
シトロエンをシンボライズするにはどうしたらいいか。

この命題を実現するのは、どれほど困難なことだったでしょうか。
それを高い次元でまとめあげたシトロエン。さすがだな、って思うのです。

だって、ヘリテイジデザインを採用してしまえば解決してしまうのに、
それをしなかったのですから。




先日の「CITROËN "DS Day" Holiday Morning Meeting in 増上寺」用に描きおろしたシトロエンDS3カブリオ。


シトロエンは伝統をとても大事にしつつも、やはり過去には振り返らないメーカーなんですね。

そう、シトロエンは、前へ進むのです!

En avant CITROËN!





>>プジョー・シトロエン・ジャポンさま、いつもありがとうございます。
ほんとうに良く出来た素晴らしいクルマでした!
シトロエンの伝統は、たしかに新しい価値観に変わっていました。

>>ルーフは任意の場所で止めることも出来ますし、閉めるときは自動でいったんここまで閉じます。
頭上だけ少し開けるのなんて、2CVの屋根の「パタンコ」みたいで嬉しい!




>>メーターも凝ってます。それでいて視認性抜群でした。
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【おしごと】寝台車(ハネ)のイラストエッセイ描きました@鉄道デザインEX 08号

2014-06-04 | おしごと。



このたび、イカロス出版さまより、
鉄道をデザインから考察する異色かつ斬新なムック、
「鉄道デザインEX」(Rail Design Explorer)通巻08号にて、
寝台列車についてのイラスト&エッセイのご依頼を戴きました。

誠にありがとうございます。


日頃より懇意にしていただいております、イカロス出版 S編集長との打ち合わせで、
寝台車にまつわるエピソードを、とのお話を頂戴しましたので、
「ハネ(普通寝台)」にテーマを絞り、
歴史、乗ったときの思い出、知恵のデパート個室寝台について
まとめさせていただくこととしました。


ところで。
そういえば思い出すと「B寝台」って最近乗ってないです。

最後に乗ったのは、まだ無くなる前のブームが来ていない581/583系「きたぐに」。
その前は、ちょっとお見送りが増えて
駅が大変なことになりつつあった14系「北陸」でしょうか。
285系サンライズも数年前に乗った記憶も...。



大阪にて発車を待つ「きたぐに」。まだ別れを惜しむファンはまばら。



ピンぼけしちゃってるけど、581/583系の車内。
このときは上段だったので、そのベッドの位置の高いこと!




581/583系は、上段でもまったく外が見えない訳ではないのです。この小窓も旅情のひとつ。








それからわずか数年。
きたぐにが消え、あけぼのが消え、日本海が消えました。
寝台列車のクイーンともいえるトワイライトエクスプレスでさえ、廃止が決定しました。
北斗星も、廃止の危機。
車両が新しいカシオペアやサンライズも存続が検討されているほどです。


子供のころ「あたりまえ」だった寝台列車が消える。
そのインパクトは、計り知れませんよね。


この消え行く「庶民のための寝台」、【ハネ】への懐かしさを込めて
描かせていただきました。

絵のタッチはイラストエッセイらしく丸く、優しく、かわいらしく。
文字も、絵も最大限詰め込んでみました。



「開放ハネの思い出」と、「個室寝台さまざま」。



これが「上段の特権」、荷物置き。



少しでもお読みくださったみなさんが
「懐かしい!」
「面白い!」
「乗ってみたい!」
って思ってくださり誌面を手に取っていただけたら、
これ以上嬉しいことはありません。



>>ご近所の書店以外でも、Amazonにて購入することが出来ます。
今回の特集は「個性派車両のもてなしデザイン」。

・JR九州に登場した「ななつ星」の登場により、
鉄道車両が与えてくれる「おもてなし」や「サービス」が大きくクローズアップされるようになってきた。
そこで今回は、「もてなしデザイン」と題して、
さまざまな時代に鉄道車両が与えてくれた、乗る人のためのデザインを考えてみる。

・第1章・現代の最新もてなし分析
・第2章・1980年代のジョイフルトレイン
・第3章・私鉄車両のもてなしへの挑戦
・第4章・終焉近し?夜汽車が提供する極上のもてなし
・第5章・フリースペースの進化論

>>鉄道に詳しくない方も、デザインに興味がある方にも楽しんでいただける内用になっています。
ぜひ、お手に取ってご覧いただけましたら幸いです。


>>開放B寝台客車の醍醐味、通路側の折り畳み椅子。
ひとつひとつのアイテムが旅情を誘います。
お、Tさん、奇遇ですね(笑



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【おしごと】フォード・V4エンジン搭載車を描く@カー・マガジン

2014-06-03 | おしごと。


日本では「フォード」っていうと、どうしてもムスタング(マスタング?)や
トーラスなどの大きなアメリカ車が想像されますよね。

でも実はフォードって、世界企業。
1911年にはすでに欧州に販売網を拡げんとイギリス・フォードが設立され
モデルTの英国生産をスタート。
そして1931年にはドイツでもドイツ・フォードの工場が稼働を開始、
同じくモデルTの製造に着手しました。

つまりヨーロッパ・フォードも、すでに100年を超える歴史を持っているのです。


だけど日本では販売戦略上か、知名度の問題で「ヨーロッパ・フォード」という
存在を全面的に押し出してきませんでした。
そのため、それだけの歴史を持ちながらも、欧州の他のメーカーに比べて知名度があまり無く、
車種も日本ではレースやラリーで活躍した車種以外は、
あまり知られていないものが多いのではないかと思います。


イギリス・フォードとドイツ・フォードは当初は前述のように
アメリカ・フォードのモデルTをノックダウンで製造していましたが、
1932年にまずドイツ・フォードがドイツ専用モデルの「ケルン」を発売開始。
一方のイギリス・フォードも同じく1932年、モデルYという
イギリス独自のモデルをラインオフします。
こうして、ドイツ/イギリスぞれぞれのフォードは、
同じ社名を持ちつつも独自のカラーを出して行くことになっていきます。


そして両国フォードは、1960年代後半にヨーロッパ・フォードとして事実上統括化。
これ以降は同一モデルを両国で製造するスタイルに変わり、それは現在でも続いています。


ところで、ずっとお仕事をさせていただているカー・マガジンさん。
最新号となる2014年7月号(5/26発売)の巻頭特集は、
その「ヨーロッパ・フォード大特集」だったのです。
実にカー・マガジンさんらしい特集ですよね。シビれます!





そんな素敵な今号の特集で、
僕も寄稿をさせていただきました。
それが、1970年代にヨーロッパ・フォードではメジャーだった
「V4エンジン搭載車」のイラスト&エッセイです。

ブ、V4エンジン!?


V4エンジンはバイクではホンダのVFRやRVF、ヤマハのYZR、VMAXが真っ先に思い浮かびますし、
クルマでもいにしえのランチアが狭角V4エンジンをフルビアなどに搭載し、
ラリー・フィールドで活躍しましたのはご存知の通りかと思います。

とはいえ、ぱっと思い出しても、そのくらいしかないんですよね、採用例が。


だけど、実は一時期のヨーロッパ・フォードでは、ドイツ/イギリスともに、
V4エンジンは極めてメジャーな存在だったのです。


最初にV4エンジンが登場したのは1962年に登場したドイツ・フォードの「タウヌス12M」
俗にP4と呼ばれるこのモデルは、小さいタウヌスとしては三代めにあたるモデルです。
1.2L/1.5LのV4エンジンで前輪を駆動する、画期的なファミリーカーでした。
アメリカでの製造販売も予定されていたのですが、それは計画だけに終わってしまいました。

タウヌスP4は1967年にスクエアなボディを持つ「P6」型にモデルチェンジ。
車名も「タウヌス15M」となります。
エンジンはそれまでの1.2L/1.5Lのほかに1.7Lも用意されました。


絵には描いてないけど、タウヌスP6。なかなかのグッドデザイン。



P4とP6は「小さいタウヌス(勝手に小タウヌスと命名)」なのですが、
「大きいタウヌス(大タウヌス)」もラインナップされていました。
ややこしいことに、
1952年から1968年のあいだにドイツ・フォードで製造された乗用車は
サイズの大小に関わらずぜんぶ「タウヌス」(涙)

なので、「P4」「P5」などの数字も、
たとえば小タウヌスはP4→P6、大タウヌスはP3→P5→P7だったりと、
数字の順番を見ても車種の大小がわからないんです(涙


大タウヌスでは三代めにあたるタウヌス17M(P5)がV4を搭載していました。
タウヌス17M、20Mがラインナップされ、後者ではV4エンジンに2気筒追加したV6エンジンを搭載。
リーズナブルな価格もあって、高級車市場では健闘しました。
駆動方式はコンベンショナルな後輪駆動です。
V4エンジンはその後P7(四代め大タウヌス)まで使用されました。


タウヌス17M。笑っているような個性的な顔以外は実はとってもコンサバなデザイン。


いっぽう前述のようにドイツとはまた違った英国流に彩られていたイギリス・フォードでも、
ドイツ・フォードにならってV4エンジンを開発。
前者がケルン製のため、イギリス・フォードのV4は製造地の名前をとって
「エセックスV4」と呼ばれました。

イギリス・フォードではこのエンジンをそれまで直4を積んでいた
コルセア」に1965年以降搭載しています。
排気量は1.7L(1.66L)、と2Lだったので、その数値でケルン製かどうかを見分けられました。


このほかV4エンジンは、ドイツとイギリス両フォードが統括されたのち
両国での生産を考慮して1969年に登場したスペシャリティカー「カプリ」にも積まれています。
V4はケルン製が1.3L/1.5L/1.7L、エセックス製が2Lでしたが、ドイツ製には
前者が、イギリス製には後者が搭載されました。
カプリといえばV6エンジンを搭載したRSが欧州のレースシーンを席巻したことで知られますが、
最初のころはV4エンジンだったのは意外ですよね。


また、共通設計により両国で製造され同じくV4エンジンを載せたクルマに、
商用バンの「トランジット」があります。1.7Lはケルン製、2Lはエセックス製で、
まさにドイツ/イギリス・フォードの統一を象徴するような
ラインナップとなったのが特徴です。


マッチボックス製かな?子供のときミニカー持ってたなー。



そしてこのコンパクトなV4エンジンは、
フォード以外の「エンジン搭載に関して制約のある車種」にも供給されました。

それがサーブ96とそれをベースにしたスポーツカー、「ソネット」、
フランスのマトラのスポーツカー「M530」です。

欧州ではメジャーブランドだったフォードのV4エンジンは彼の地では部品供給等にも
問題が無かったこと、また、前輪駆動用のコンポーネンツもあったことが、
このエンジンが選ばれた理由であるはずです。


いかにもヒコーキ屋が作りました!という奇抜な設計が特徴のサーブ96には、
当初2ストロークの3気筒エンジン(!)が積まれていたのですが、
時代が移り変わり排ガス規制に対する対応に迫られた際に
2ストロークエンジンでは限界が出てしまいました。
その小さなエンジンを置き換えるには、フォードV4エンジンはまさに最適でした。
サーブ96には1.5L(ケルン製)が1980年の製造中止まで供給され続けています。

サーブでは「ソネット」というアメリカ市場向けに開発された2座スポーツカーにも
V4エンジンが積まれました。
ソネットはソネット2で市販化に成功していますが、
もとは96をベースにしたクルマですので、
96が「96 V4」に移行したのに伴い、ソネット2も96と同じ1.5Lを積むことになります。

ソネット2は1970年にボディをスキンチェンジしてソネット3に進化しますが、
エンジンは同じく、1.5LのV4のままでした。


これがソネット3。カクカクしててかっこいい!


マトラM530は、世界初の量産型2+2ミッドシップカーという栄誉を持つ、
フランスの小型スポーツカーですが、このクルマにもフォードV4が選択されています。
純然たるスポーツカーというよりは
2+2のスポーティカーのイメージをもって開発されたM530なのですが、
小さいボディで2+2ミッドシップを実現するためには、フォードV4の存在は必須だったのでした。
M530にはケルン製の1.7Lが用意されています。

フランス以外からは絶対に登場しない不思議なデザインのM530ですが、
一時期はアルピーヌよりも売れそこそこの成功を収めることになりますが、
1969年、マトラがクライスラー系の一企業になったことにより、
「ライバル会社フォードのエンジンを使うなぞまかりならん!」ということになり
数年後の1973年に惜しくも製造を中止することとなりました。

M530の後継が、比較的我が国でも前席3座で有名な「マトラ・シムカ・バゲーラ」になります。
エンジンは、もちろんシムカ(クライスラー系)でした。


霧の中のマトラ・シムカ・バゲーラ。
ああ、こういうシチュエーションたまらないです。もやもやした風景が好き(汗



今回はそんなクルマたちを集めて、描いてみました。この投稿の赤い車名が描いたクルマです。
カー・マガジン副編集長Uさんの「スポッターズガイド」風にしてみては?という
アイデアを戴いたことで(ありがとうございます!)、
あえてクルマの下の影を取り、
クラシカルな感じを出すためにフチを淡く、べた塗り気味で描いています。
ちょっと新しいでしょ?^^


スポッターズガイドってこれです!見たことある方も多いかも!


WEBの画面よりも本誌のほうが綺麗に掲載されています(*^^*)ので、
カー・マガジン最新号2014年7月号(5/26発売)を
書店/通販などにてぜひぜひお手にとってご覧くださいませ(≧∇≦)






>>小林旭の「自動車ショー歌」にも「タウヌス(タウナス)」が出てきますし、
ドラマ「ザ・ガードマン」にもタウナスが劇中車として印象的に登場しています。
当時は正規輸入もニューエンパイヤモータースなどで行われていて、
比較的よく売れていた外国車だったようです。

>>楕円ライトが特長のタウヌス17M(P3。大タウヌスの二代め)。ザ・ガードマンで活躍。
タウヌスといえばこの顔、というイメージがありますね。




>>そして宮城のとある中古車屋さんには...
当時の正規もののタウヌス17M(P5)が売っているのです...
ううう、見に行きたいーーー!
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