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イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【インプレッション】フィアット・セイチェントに感激する。

2014-08-05 | インプレッション。


【インプレッション】
希少・貴重なイタフラ車を数多く扱う藤沢のガッティーナさんより、
フィアット セイチェント(Seicento)1100(本国仕様、2005年式)」
を運転する機会をいただきました。

 

モータリゼーションの発展が始まった東欧向け市場をメインに、
ポーランドの安い労働力を用いて製造されていたフィアット126の
「事実上の後継(実際には併売期間がほとんどかぶっていたため純粋な後継車とは言いがたい)」
とでもいうべき存在で、
1991~1998年まで製造されたのが「Cinquecento」
(500のイタリア語読みだが、車名は「500」ではない)です。



四角いチンクェチエント



セイチェントはそのモデルチェンジ版として1998年に登場。
以降2010年まで製造されたフィアットの小型大衆車です。
600の読みを車名化したクルマですが、前身の「Cinquecento」同様、
「Seicento」もエンジンは600ccではありません。
欧州市場では900ccと1100ccが用意されていました。



これはRHDの英国仕様だね



スポーティに装った「Sporting」

なお、ポジション的にはパンダよりも下に位置するクルマです。

  

それにしても、セイチェント。乗ったらほんとうにいいクルマでした。
フィアットってつくづく小型車づくりに長けている会社だなと感動!



このセイチェントの装備は、PW、PS、AC。
現代の時代的水準における「快適の最小限」です。
寸法は、全長3.34m×全幅1.51mというこれまた最小限のサイズ。
軽の規格に近いのですが、全長は3.4mのそれに対して6cmも短いのですから、
なんて小さいクルマなんでしょう!



こうしてみるとほんとに短い



素っ気ないソリッドレッドの赤、ボディに比しても小さくない面積で迫る未塗装の黒バンパー、
素ガラスの外装も、欧州の最廉価レベルの大衆車としてとても味わいのある雰囲気を発散しています。




バックドアには取手すらない。開けるときはハッチ下部の「すきま」に
指を引っかけるだけ。でもこれで充分。




グローブボックスのフタさえない、初代パンダと同じく
「巨大空間へ放り込み型(しかもパンダの布製ハンモックよりもさらにシンプルな
「ダッシュボードのくぼみ」)」のインパネ。
もちろん、高級感を出そうなんて思ってはおらず、プラスチック感は迷うこと無く全開。
ドア内側にもリアのホイールアーチ部もボディカラーが露出しています。
こんな感じで、内装もこれまた最小限です。



こういう「放り込み系」のダッシュボードがたまらない。
もちろん、ショルダーバッグはダッシュにポン!


  
小さく、装備もついていないセイチェントの車重は780kg。
それをパンダなどでおなじみのFIREエンジン(1108cc)で走らせるのですから思いのほか速く、
街中でも、高速道路でも実に軽快に、過不足なく走らせることが出来ます。

  

そして素晴らしいのは、直進安定性、安物感のまったくないステアリングとブレーキのフィール、
そして何の工夫もされていないようでいて座っていて
腰に違和感を感じさせることの無い実に良く出来たシートです。

これらの「感覚的性能」の高さによって、
ロングドライブもまったく(音以外は、ほんとうに!)苦にならないのです。
このあたりのレベルの高さに、欧州車の底力を見る気がします。疲れないクルマというのは、
「クルマとしての基本性能」が高い証拠だと思うのです。



何もついてないが、でもそれを恥じたりしない。上を見ていないのだ。潔い。

  
それにしてもセイチェントのようなクルマは、
ある意味、「価値観」のジャッジになるクルマです。

 
見た目はちょっと前の安いグレードの軽自動車のようです。
前述の通り内装はプラスチッッキーだし高級に見せようとか上級車になろうなんてことは、
一切、ほんとに100%考えていません。なんて潔い!
内装を見てあまりの素っ気なさに驚く人がいるかもしれないです。

 
メカニズム的にもただの8バルブOHCエンジンで
スペック的にも馬力額面的にも見るところは無いのに、しっかり走る。
そして、走れば驚くほどちゃんとしている。長距離もバッチリこなせるし、大人も4人、なんとか乗れる。
それはフィアットの小型車全般に共通している魅力ですね。燃費も相当にいいです。



リアシート足持ちは狭いが、シート自体の出来は良好。「これは座りたくないな」という類いではない。




一方では...装備は満艦飾なのに足回りがふにゃふにゃだったり、
まっすぐ走らなかったり、視界が悪かったり、
100km...いや50kmも運転すれば腰が悲鳴をあげるようなシートを持つ
小型車も残念ながら実際にはあった(る)わけで、
果たしてセイチェントをはじめとする
「素っ気なくてシンプルの極み、でも乗ったら疲れない」というクルマと、
前者のどっちが「乗っていて快適なのか」「幸せなのか」
という価値観を試されるクルマの一台だなって感じました。

ひとことで言ったら、「これでじゅうぶん」。
足るを知る、という言い方も出来るかもしれません。

  
もしこの「価値感」を共有出来たなら、
フィアット製小型車の魅力にどっぷりはまってしまうことでしょう。



シンプルきわまりないメーター。速度と燃料だけ。これでいいのだ^^

 
さらには、日本で数台(だけど世界では130万台以上というベストセラー!)という希少性、
こんなに珍しいクルマなのに
街中では誰一人からも振り返ったり注目してもらえないステルス性...と、
このクルマをわかる人が見たら
「あーーー!セイチェントだ!どひゃー!」って思ってもらえるという快感、
昨今の正規輸入車ではなかなか望めないイタリアや東欧・ギリシャの街からそのまま持って来たような
現地のクルマっぽい限りなくチープな雰囲気、
いかにもフィアット!という乗り味ながら、
パンダともウーノとも少し違う骨太な乗り味も持っているこのセイチェント、
初代パンダも好きだけどもう少し突き詰めてみたい!という方や、
純粋にこの小ささで実用性がありアシとしてちょうどいい!という方、
欧州で走っているそのものの姿に萌えてしまうアナタ(ぼくか!w)におすすめしたいクルマです。

このクルマで街を走れば、気分はもうローマの住人です(^^



フィアット500との比較。なお、セイチェントはほとんど軽と同じサイズだ。





>>それにしてもさすが2005年式だけあってトラブルが起きなさそうな安心感があります。
そしてとてもよく効くエアコンはやはりほんとうに有り難いもの!
このクルマなら、どこかしら心の中に漂う「あるぼんやりとした不安」無しで、
無理しないで気にせずにどんどん転がせるのも嬉しいですね。

  
>>ガッティーナさん、ありがとうございます!


>>セイチェントの詳細情報はコチラです!ぜひご覧ください。
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