Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【プジョーな話】番外編(また?w) 忘れ去られた高級フランス車、タルボ・タゴーラまつり。

2011-04-14 | プジョーな話。



あーあ...出しちゃったie(笑


はよPSAとルノーのほかの「まつり」せいよ!て声も聞こえる中、強行してしまうタルボまつり(涙)。

しかも、タゴーラまつりをお送りしてしまう次第です(汗





タルボ・タゴーラ...またそんなわけわからんクルマですみません。
でもこれ、あの「世界最悪クルマ大全」に、
ベースになったプジョー604とともにノミネートされているんです!

って、ぜんぜん嬉しくないか(涙


そうなんです。先週の「プジョー604まつり」は、今週の伏線でもあったのだ(汗



ということで、タルボ・タゴーラ(Talbot Tagora)です。


タルボというブランドの説明は長くなるので、「タルボ・サンバまつり」の
記事内を見ていただくとして(手抜きw)、
PSA(プジョー・シトロエン)傘下に入ったタルボは、1980年にこのタルボ・タゴーラを登場させます。


実質的な前身モデルはクライスラーUK(旧ルーツ・グループ)で開発された
欧州クライスラーの旗艦・タルボ・シムカ1610(ややこしいがデビュー時はクライスラー160/180だった)
にあたりますが、モデルチェンジでは車格がひとつあげられ、
ルノー30やシトロエンCXとぶつかる、フランス国内でも最上級クラスで戦うクルマとなりました。






もとはクライスラー時代、「C9」という名前で開発されていたこのクルマ、
クライスラーには直4の2L以上のエンジンが無かったのですが、
PSA傘下に入ったことでPRVのV6を手に入れることが出来た、とのこと。


また、PSA傘下で開発がすすめられて以降は、プジョー604のメカニズムの多くが盛り込まれ、
エンジンは前述のPRV・V6 2664cc、604にも搭載された直4 2304ccターボ・ディーゼル、
604にはない直4ガソリン 2165ccの3種類が用意されました。
また、足回りも前後ともに604、505と共通のものが使用されており、
そのためホイールベースは604とほぼ同じでした。



その一方で、内外装デザインはクライスラーUKで進められたものをそのまま使用したため、
他のタルボ車...オリゾンやソラーラのテイストとよく似た、悪く言えば無国籍、
よく言えば先進的なスタイルを持っていました。

でも、ご覧のようにエッジと直線基調のデザインは、個性的ではあるけど、
高級感があるかどうかは...(涙
604は質素だけど、エレガンスはあるのですね。だけどタゴーラはねえ...。
あ、でも個人的には好きなんです、このカタチもデザイン処理も。


四角い後姿。たしかにフランス車には見えない。デザイン自体は悪くないと思うんだけどね。




内装もちゃっちいと批判された。高級感のなさではルノー30もびっくりだけど、
質感がとても低かったのだそうだ、このクルマ。
あ、でも個人的には好きなんです、この色遣いも造形も。



なんだか80年代のフランス車らしからぬデザインのシート。要するに平凡...。
しかも座り心地もイマイチっぽい感じ。座ってみたいが叶わぬ夢だろう(涙



ライバルは前述のごとくルノー30、シトロエンCX、そして身内ともいえたプジョー604だったのですが、
このタゴーラ、これら特長のあるクルマたちに対するアドバンテージが比較的安い価格くらいしかなく、
仕方なくPSAは、グループ内でタルボに持たせていたスポーティなイメージを、このタゴーラにも
与えることにしています。
それは、PRV V6搭載の「SX」に関して、604よりも高いパワーを与えるということでした。



V6「SX」。くどいようだが顔が四角いw


タゴーラのV6エンジンは、トリプルバレルのウェーバー・キャブレターを2連装。
PRV V6の燃料噴射モデルよりも10HP高い165HPを発揮、最高時速195km/hをこのクルマに与えています。
これ、このクルマ登場時ではフランス車で最速だったのです(涙
こんな地味な高級車が(汗


さらにはこのSXにはスポーティモデルの代名詞のようなタイヤ、ミシュラン「TRX」が装備されましたが、
1800mm超の車体幅に対して505の足回りを流用したがゆえの狭いトレッドによる、
操縦安定性の不足が指摘されたりもしていました。



でも...それでもやはり、個性的なライバルが並ぶフランス車の高級車市場に、
タゴーラは高級感、デザイン、性格、タルボというブランドそのものなど、
すべてにおいて訴求力が無いこと、
さらには、そもそも604を持っていたPSAには、なんの必要もないモデルだった
(あー、それ言っちゃだめだw)こともあって、
1981年には約15000台、翌1982年には約2500台しか売れず、なんと1983年には生産すら行われず(号泣)、
デビューから実質数年で姿を消してしまったのでした。うう、哀しすぎる...。
開発におカネもかかっていただろうに...。



懸命に高級車ぽさをカタログでは演出しているけど...。



うう、BXとかでおなじみのパワーウインドウスイッチだ(萌え
しかしこのナリでターボディーゼルってんだから、変態のieにはたまらんクルマかもしれません(大汗




>>なお...V6搭載のタゴーラの生産台数は、なんと約1000台!!ええー!って数です。

>>しかもV6積んで華々しく登場した時期が第二次石油危機だったり、
なんていうかPSAやルノーのクルマに比べて抜けてる感じがするところとか、
タルボってなーんか哀しい感じがつきまとうんですよね...(涙

>>そんな哀しい感じのタルボのフラッグシップが、これまた哀しすぎるんですよ...嗚呼、タゴーラ。
「世界最悪クルマ大全」では、「何から何までダメ」って書かれてた(号泣


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【プジョーな話】拾った画像でプジョー60...いくつだっけ、なプジョー604まつり。

2011-04-07 | プジョーな話。


あーあie、もうこれ出して来ちゃったか...って声が聞こえてきそうです(汗



今回の「まつり」は、
「世界最悪クルマ大全」にノミネートされた(号泣)記念すべき
1970年代のプジョーのフラッグシップ、
プジョー60...いくつだっけ、ああ、604か(涙)、をお送りしちゃいます。

この本にこう書かれているんです(笑




プジョーは戦後、ラインナップでは最上位でも2L+αのクラスで、
俗に言う「高級車」を持っていませんでした。

1968年登場の504は、当時のプジョーのトップレインジ(フラッグシップ)だったのですが、
メルセデスやBMWといったライバルメーカーに存在した、6気筒以上のエンジンを持つ
「プレステージカー」といった性格までは与えられていなかったのです。


そこで1975年、戦前にあった「601」以来実に41年ぶりに、プジョーは「600」番台のネーミングを
与えた「604」を登場させます。




控え目な高級車。しかし、買ってこういうシチュエーション(謎が多いがw)を再現したいなあ



うーん、リアも控え目なデザインだ...




プジョーにとって、戦後初の6気筒エンジン搭載車となりましたが、
その心臓たる6気筒はV6のOHC、2664cc。これは、プジョー独自一社での開発ではなく、
プジョー・ルノー・ボルボがそれぞれの会社のフラッグシップに搭載すべく共同開発したエンジンで、
1974年にはボルボ264、その後1975年にはルノー30(R30、トラント)、
そして同年に登場したこのプジョー604に順次搭載されました。



ボルボ264。244のボディにV6を押しこんだもの。



高級車にまったく見えないR30(そういうところがたまらない...国営ルノーの萌えポイントw)。



なお、このPRV・V6は、PRVとメーカーの違うランチアテーマV6にも採用されたほか、
ルノーではR30の後継であるR25(ヴァンサンク)、フレンチスポーツたるアルピーヌV6/V6ターボ、
PSAグループではプジョー505、605とシトロエンXMに排気量の拡大などをして搭載され、
1998年まで製造されました。



閑話休題。

でこのPRV V6エンジンを引っ提げて登場した、戦後初のプレステージサルーン604なのですが、
ターゲットは完全にメルセデスのコンパクトやBMW5シリーズの高級車市場でした。

ベースになった504同様、ピニンファリーナが手掛けた外観はご覧の通り素晴らしくシンプルで、
水平基調のデザインは流麗でもあり、でも前後がどっちかわからないような、
プレステージカーとしては個性と押し出しの無いデザインでもありました。
でもその控え目さこそ、フランス車らしさであり、プジョーらしいとも言えました。
なお604は、ライバルであるシトロエンCXやルノー30がFFであったのに対し、
504がベース故、FRです。




どっちが前か後ろかわからん、というほどの水平基調デザイン!



ホイールベース2800mm、全長は4720mmに達するサイズは、当時では大柄なクルマのひとつです。
自分はこれよりもひとつ下、504の後継である505に乗っていましたが、
これがまた、全長は4580mmしかないのに、車内は驚くほど広く、トランクもFRとは思えないほど
広大だったのです。
なので、それよりもさらにひとまわり大きな604の車内の広さは想像に難くない。



いまの時代、4720mm×1770mmというディメンションを持つクルマはいくらでもありますが、
車内は「なんでこんなに狭いんだ」って云うクルマが多いのですけど、
この当時のこのサイズのクルマって、ほんとうに広いです。


604の特長は、404以来504、そして604に受け継がれたNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)
の高いレベルでの遮断による静粛性、
そしてサスペンションは504譲りの4輪独立、フロント/マクファーソンストラット、
リア/セミトレ+コイルの形式を持っていましたが、ラバーブッシュを多く用いることなどによって
乗り心地の良さも際立っていると評されていました。



室内。当時のフランス車としては群を抜く高級感と装備を誇り、
見るからに座り心地の良さそうなシートも高く評価されていました
(でもCGが言うには柔らか過ぎとの評も)。



ダッシュボード。ライバルのCXに比べて凡庸。フランス車らしさは薄い。
でも飽きの来ない、いかにもプジョーなテイスト。



604は当初「SL」というグレードのみが用意され、そのエンジンは
ソレックスのシングルキャブのみで131HPだったのですが、
1977年にはボッシュのインジェクション(Kジェトロニック)版の「TI」と「STI」を追加(144hp)、
さらには1979年にはターボディーゼル
(504Dでおなじみの直4・2304cc+ギャレット・エアリサーチのターボ)を積んだ「604D」、
翌1980年には官公庁むけ(日本で言う黒塗りのクラウン的な使いみち)の「SR」、
そしてユーリエでボディをストレッチした8人のりの「HLZリムジン」を追加しています。



2304ccターボディーゼルの604GRD(フランス以外の輸出仕様)


これはたぶん、604SRD。同じくターボディーゼル。






これがリムジン。生産台数147台だとか。
もとが高級感のないクルマなので、たんに長くなっただけって感じが寂しい(涙



1983年にはV6エンジンが2849ccに拡大し150hpを発揮した「GTI」、
2498ccディーゼルの「GTD」などを追加しバリエーションの拡大を図って行ったものの、
ですがやはり高級車ブランドとしてのイメージ不足、
さらには604自体の訴求力の無さ(涙)などもあって、
いかにフランス車らしいソフトで形状も素晴らしいシートや、
504譲りの乗り心地・ハンドリング、そして絶賛された秀逸なパワーステアリング、
広い室内など高い基本設計を持ってしても、生産台数は製造が終わる1986年までに
15万台にとどまり、決して成功したとは言えないモデルになってしまいました。



GTI。GTIはゴルフのクラスだけにあらず、フランス車ではCXにも505にもあったりします。


これもGTI。やばいすっごくカッコイイー!


604が製造中止になった事を受け、505にこのPRV V6を積んだ505V6がラインに加えることで
605が1989年に登場するまでのしばらくの間、505がプジョーの旗艦となったのでした。



なお、604は日本にも、そして北米にも輸出されていました。
日本仕様はSLのみで、西武自販によって圧縮比を下げられて輸入されていましたが、
外観などはちゃんと欧州仕様で、好ましいものでした。

このころは日本の厳しい排ガス規制をクリアにするために、
同じく規制が厳しいアメリカ仕様をベースに日本導入をはかる欧州車は多かったのですが、
それと引き換えに無骨な5マイルバンパーなどで本来のデザインを台無しにすることも多かったのです。
そんな中、604は504D同様、可能な限り本国に近い仕様で輸入されてました。
触媒を自前で開発したり、専用クーラーをあたえたり。西武自販ってすごかったんですね。



ちなみに北米仕様はこれだぜ...。





もう服装とかポーズがアメリカだw


まるで違う車だし、エレガントさを大幅に欠くよなあ...(泣


604って、オールド・クラシック・プジョーらしく、
上質であり、極めて実用的であり、高い品質を誇り、
504譲りの耐久性を持ち、華美では無い高級感を有し、
実用に徹し切った504ほどではないですが、
これまた知的水準の高いクルマだと思います。


ただたしかに、その控え目さが仇になってしまったのは確かかも。
それなのにプジョーはこのあとも控えめな高級車...605、そして607を出し続け、
いずれもあまり成功したといえないというのが...なんとも。
でもどちらも大型ネコ科クルマとして、あまりにも魅力的です。

今度の旗艦508は、
どの程度市場内でのポジションを確保出来るのでしょうか。
頑張ってほしいものですね!





>>がーん!日本にいま売りものの604がある



>>どひゃあ。100万。走行7万。車検なしかあ...やっべー!これやばいー。

>>タルボ・サンバが来て...タルボ・オリゾンが来て...プジョー604が来たら...
次回のフランス車ネタの展開は...ご想像にお任せしますw
ヒントはまた「【プジョーな話。】の番外編」です。




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【プジョーな話】トラクシオンの陰に隠れる一方の雄、プジョー402まつり。

2011-03-31 | プジョーな話。


アニメの名探偵ホームズが乗っていたような、馬車にタイヤがついたようなクルマではなく、
なんとか現代でも乗れるんじゃないか、というクルマが出始めた1930年代以降、
戦前のフランス車ではトラクシオン・アヴァンがあまりにも有名で、逆に言えば、
ライバルだったプジョーや、ルノーがどんなクルマを作っていたのか、
むしろあまり知られていないように思います。


今日の「まつり」は、一部の方に熱狂的に支持をいただいた2週連続のタルボからいったん脱出し
(汗→でもいったんってことはまだ続くンかw)、
そんな戦前、1930年代のプジョーの1台...アールヌーボ的であり、アールデコ的でもある、
フランス以外からは出得ぬサルーン、「プジョー402」をお送りします。



きゃーすごい寄り目!



え、今度は急に古すぎだって?(汗


メーカーの発足から、402の登場までをおさらいすると誌面があっというまに尽きるほど、
歴史のあるメーカー、プジョー。なにしろ創立は1890年!
元は自転車や歯車などの製造をしていた会社なので、
現在でも、自転車、ペッパーミル等の製品を生産しているのは有名な話です。


発足以来、同族経営、堅実な設計、それでいて実際は進歩的な技術を持っていたこのメーカーは、
戦前から前輪独立懸架、シンクロメッシュ付きのギア、そして自製のダンパーまで備え、
他のメーカーより一歩先んじていたのですが、ルノー、そしてシトロエンのライバル車たちも
追いついてきてしまいました。


とくに、シトロエンは1934年、なんと前輪駆動、モノコックボディを先駆採用した量産乗用車として
あまりにも有名な「トラクシオン・アヴァン」を登場させました。
それに対するプジョーの答えとも言えたのが、この402なのです。



いうまでもなくトラクシオン・アヴァン



現在にも通じる、プジョーの「X0X」という数字車名は、402が登場するのをさかのぼること6年前、
大衆向け大量生産車として登場した1Lクラスの「201」で、最初に採用されました。
その後プジョーは、201のひとつ上の1.5Lクラスをになう「301」、さらにその上、
1.7Lの「401」、そしてハイエンドモデルとして、2.2Lエンジンを積んだ「601」と、
次々と「01」シリーズを生み出して行きます。


そして次の「02」シリーズの最初を飾ったのが、この402。
シャーシ設計こそ401のものを低床化したもので、
トラクシオン・アヴァンとは異なり後輪駆動でしたが、
この車のエポックは、なんと言ってもその流線型のボディ・デザインでした。



402B リムジン



この頃流線型がとても流行しており、
日本でも蒸気機関車に流線型のカバーをつけたC55が、
まさにこの402と同じ頃に登場したりしています。
ですが、自動車(量産車)に流線型を取り入れて販売数を伸ばしたのはプジョー402が始めてでした
(流線型を取り入れたといえば、厳密に言えば、
その直前に出たクライスラー/デ・ソートのエアフローという
クルマ...商業的には失敗...があって、しかも402はこれに似てるんですが...)。



グリルの中のライトがよくわかる



スラント気味のグリルにはなんと中にヘッドランプが仕込まれ、
前後フェンダーの間にはステップもないという、当時では相当に大胆なデザインだったのです!


402には4ドア6ライトのリムジン、ロードスター、
クーペ・デカポタブル(コンバーチブル)、クーペ・トランスフォルマブル(格納式ハードトップ!)、
タクシー、コメルシアルなどなどの、数多くのバリエーションがありました。




いちばん標準的なモデルのリムジンでは、全長は4.85m、全幅1.65m、全高1.58mもある大きなクルマでした。
ホイールベースは3.15mのノルマルと、3.3mのLの2種類が用意され、
後者になると全長は5mを超えていました。



たぶんこれはリアドア以降の窓がちょっと長いのと
サードシートがあるので、リムジンの「L」だと思うんだが。




ちなみにこれもリムジンの「L」だ。
ファミリアールって名前ではなかったのかな?


まあトラクシオン・アヴァンのノルマルも、正直大きなクルマでしたが(^^
しかも、この「L」には、いかにもフランスらしい屋根の開くモデルが用意され、
まだまだ戦前の華やかなりしころの自動車文化の香りを漂わせていました。



その中でも白眉は、「トランスフォルマブル・エレクトリーク」です。
のちの206CCや207CCもびっくりな「電動格納式ルーフ」を持っていたんです!
格納ルーフで有名な1957年のフォード・スカイライナーよりも20年以上も前に!



派手にトランクが開くが剛性は平気なのかw



犬っぽい


実際には前述の601や401でもすでに採用されていたものではあるのですが、
この402がその集大成ともいえるものでしょう。



402のエンジンは1935年から1938年までは2Lでしたが、
1938年途中からマイナーチェンジを行い402Bに進化した際に、2.2Lとなりました。




ところで、プジョーは402の生産をしつつ、ひとまわり小さな1.8Lの「302」を1936年にリリースしています。
トラクシオン・アヴァンでいう「レジェール」に相当するモデルとも取れる302は、
外観こそぱっと見402とそっくりですけど、全長4.5m、ホイールベースも2.88mと、
402に比してだいぶコンパクト。


で、ややこしいのはここから。
1936年、この302に402の2Lエンジンを積んだ「302SS」が登場するのですが、
これが翌1937年、「402レジェール」として402シリーズに編入されるのでした。



402レジェール



402レジェール コーチW3
世界で初に近い、Bピラーのない設計。




さらにさらに、翌1938年には前述のとおり402は402Bになったのですが、その際この
402レジェールも402Bレジェールになり、エンジンも2.2Lになり、
その際、ベルリンの外観も大幅にモディファイされたのです。
窓を大きく、ピラーを細く、ボンネットも長めに見せるなど、
プジョーが「ベルリン・スポール」と呼ぶほどのスポーティなスタイルになりました。



402Bレジェール。


これも402Bレジェール。サンルーフもプジョーの伝統。



402B レジェール コーチ・デカポタブル グランリュクス。
302、402時代からある、5座のコンバーチブル。





しかし、この頃のクルマってのはほんとうに優雅ですね...。
402は、サイズの大きめなふつうの乗用車...
今で言う、407あたりのクルマなのですが、
リアフェンダーにはライオンをモチーフにした飾り、そしてさらには
グリルの上にはマスコットのライオン、402の車名の入れ方...何もかもが、
エレガントです(この車名の入れかたは、402の後期型でもある402Bのもの)。





なお、プジョーにも、ルノーのアルピーヌ的なチューナーがいたのですが、
それが「ダールマ」。
ダールマはこの優れた設計の402を用い、
402レジェールをベースにした「ダールマ・スポール(402DS)」を販売しただけでなく、
レーシングバージョンとしてルマンにも出場した「レーシング・スパイダー」も製作していました。


レーシング・スパイダー
丸い熱気抜き穴が魚っぽい(汗


さいごおまけ。
世界最悪クルマ大全という本で、「プジョーの...あの...なんだっけ
60いくつだっけ?」って言われちゃってた604との2ショット(涙







>>うう、402Bのでっかいリムジンか、402Bレジェールが欲しい。

>>ちなみに402の生産台数は約8万台、402レジェールは2万5千台だそうで、
生産年月が23年にも及び75万台を生産したトラクシオン・アヴァンと比べてしまうと、
だいぶ少なく感じてしまいますね。

>>トヨタ博物館にあるらしいんだよね402。ううむ、見に行きたい。


>>ちなみに402Bの後ろ姿はこんなの。







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【プジョーな話】番外編(またかw) 拾った画像でタルボ・オリゾンまつり。

2011-03-24 | プジョーな話。


うーん、まずい傾向です(笑

この”まつり”シリーズなんですが、メジャーなPSA、ルノーを差し置いて、
まだまだまつらないといけない車種はいっぱいあるというのに、
二回連続でタルボに行ってしまいました(汗


ということで、本日は一部の方々の熱烈なコールにお答えして(いるのかなw)、
タルボ・オリゾンまつりでございます(号泣


タルボ・オリゾンは、クライスラー・ヨーロッパで開発された、
1974年に登場した初代ゴルフに真っ向から勝負を挑んだ世界戦略車でした。
同時に北米向けにはダッジ・オムニ、プリマス・ホライゾンが用意されているあたりにも、
その本気がうかがえるというものです。



でも、どこの国のクルマかわからんwシムカ・タルボ萌えな理由ですw




登場は1977年。開発は北米仕様も含めシムカ(タルボの前身)主導で行われ、
名称もフランスではシムカブランド(英国ではクライスラー)だったのですが、
クライスラーは1978年、欧州部門をPSAに売却したため、
1979年以降は「タルボット・ホライズン」(英)、
「タルボ・オリゾン」(仏)と呼ばれることになりました。



ゴルフっぽい 超意識してるのわかるね!



どこかで見たことのあるようなこのクルマ、そう、デザインは初代ゴルフの影響を
思い切り受けたものになっています。

メカニズム的にはシムカ1307/1308(これまたマイナーなクルマで、ぜひ紹介したいw)
を継いだ、オーソドクスともいえる横置き直4で前輪を駆動する方式を持ちますが、
ここからがオリゾンの面白いところで、
欧州仕様のエンジンは、オリゾンの前身であるシムカ1100と同じ直4 1118cc/1294cc
および1307/1308と共通の1442cc(いずれもOHV)だったのですが、
シムカ主導でクライスラーが開発し、米国生産が行われたダッジ・オムニおよびプリマス・ホライズンのエンジンは、
アメリカ製のゴルフ、フォルクスワーゲン・ラビットと同じエンジンでした。




ちなみにこれがシムカ1307/1308ね


これまた地味ーな車...萌えーw



さらに面白いのは、欧州版と北米版は外観がこんなに似ているというのに、
サスペンション形式も(欧州:トーションバー、北米:マクファーソン・ストラット)違うし、
前述の通りエンジンも違うし、車体パネルも実はまったく違う(笑)ので
互換性が無かったらしいのです。なんでだ(笑


クライスラーが当時傘下だったクライスラーヨーロッパのシムカに開発を導いてもらったのは、
まあ、ご想像どおりなのですが、
クライスラーには小型車、および小排気量エンジンを作るノウハウが少なかったためなのです。



で、このオリゾン。なのですが。

まずは欧州・フランス版(シムカ/タルボ・オリゾン=Simca/Talbot Horizon)。







これが欧州・英国版(クライスラー/タルボット・ホライズン=Chrysler/Talbot Horizon)。


すごい色だなあ



欧州版の内装。


やばいかっこいいぞ。PSAやルノーに見られないデザイン。ドキドキしてくる(変態)





なお、オリゾンはクライスラーヨーロッパがPSAに吸収されたあと、5速MTや
PSA各車に載せられて実績のあったプジョー製の1905ccディーゼルを追加するなど
バリエーションを拡充していったのですが、
プジョーはタルボブランドの廃止を決定、結果としてオリゾンは1985年に製造を中止されてしまいました。
なお、このクルマの後釜が、PSAグループ内的には、
プジョー309(タルボ・アリゾナとして設計された)なのですね。





で、いよいよこれが北米版。
ダッジ・オムニ/プリマス・ホライズン。

まあ見事なアメリカンテイストなんですけどもね(笑
なお、ダッジ・プリマスで初めてのFF車だったりします。


プリマス版。



これもプリマス版だな。




これはオムニか。しかしこの色遣い!カーデザインの学生時代に散々描いた色合いw


で、内装はごらんのとおり、イメージがまったく違う!色といい、ステアリング形状といい、
いかにもアメリカン!


ステアリングがアメ車だなあ!ダッシュボードは欧州版と基本、同じッぽい。



赤いビニールレザーとか、この内装すごすぎるよ...。




なお、クライスラーがシムカをPSAに売却した後も、これら北米版オリゾンは
欧州版よりも長く、1990年まで作られました。
クライスラーはこの小型FF車から得たノウハウを、のちのKカー、
そしてネオン(直接の後継者はこれになる)へとつないで行く事になります。
PSAにとっては価値のない車だったオリゾンなのですが、クライスラーにとっては
とても有益な車だったようです...。




.....で、実は....オムニといえば、これをベースにしたクーペ版、
オムニ024ってのがあるんですよ...(プリムス版はホライズンTC3という)。
いかにクライスラーが、この小型FF車のシャーシを活用していたかがわかります。





がーん
なんだこれー(涙




なんだか三菱のクルマっぽいんですが、実際、このクルマ、細々と日本に
なんと三菱から販売されていたらしい!
そういえばほかにもクライスラー318とか入れてたなあ三菱...
いろんな意味ですごいよ三菱...(汗







>>ちなみに、こんな地味なクルマなのですが、
当時では斬新なデザイン、フランス車らしい広い室内と快適な乗り心地や、
世界戦略車であるという意味を評価されて、
ホライズン/オリゾンは1979年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを取っていたりするんですなあ。中身はしっかりしたいいクルマなのでしょうね。
そう、実際はかなり高い評価を得ていた車だったようなのです。


>>まあ...地味の極みであるあのルノー9(ヌフ)もこの賞貰ってるんですよね...。


>>やべえ、おらすっごくドキドキしてきたゾ(笑
「何に乗ってるんですか?」
「タルボ・オリゾンです」
「....え???」
って会話したーい!(爆


>>おまけ。
なんでも救急車にしなさんな(涙




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【プジョーな話】番外編? 拾った画像でタルボ・サンバまつり。

2011-03-17 | プジョーな話。


カテゴリがプジョーなのは、まあかつて同じグループだったということで(笑


ということで、今日は「タルボ・サンバ」まつりを開催いたします。
またまたこんなネタですみません(汗


もう気がついた方もおられると思いますが、これって、先週の「シトロエンC15祭り」と同じく、
個人的にも好きな記事(手前みそw)
【シトロエンな話】拾った画像でシトロエンLN/LNA/VISA/C15/AXELまつり。」のドロップ・アウト企画だったりします。



どこの国のクルマか、さっぱりわからないサイドビュー(汗)。


というのも、この「タルボ・サンバ」、
ズバリ、プジョー104=シトロエンLN/LNAの兄弟車だからなのですね!


てなわけで、懲りずに開始です(笑


まずそもそも「タルボってなに?」ってことから始まるわけですが、
現在フランス車のメーカーはプジョー・シトロエン・ルノーなのですけど、
かつて存在した第4のメーカーとでも言いましょうか。

ええとタルボ(Talbot)の説明は行数がかかるな...簡単に説明すると、
もとは1903年、イギリスで、フランスのクレメント・バイヤードなるクルマを輸入するために、
タルボ卿なる方が立ちあげたブランド(なんで、イギリスではタルボットと読む)
だったんですけど、まあこの段階でフランスとのかかわりが強いわけです。
その後は(中略)でOK(笑)、ここからがテストに出る範囲なんですがw、
1958年にタルボはフランスのシムカに買収されるんですが、
そのあと1963年、欧州に市場を築きたいアメリカのクライスラーの
強引とも言われた買収(というか、乗っ取られたらしい)にあい、
「クライスラー・ヨーロッパ」の一員
(含むイギリスのクライスラーUK...旧ルーツ・グループ)とされ、
会社も「クライスラー・フランス」となりました。



シムカ1100。クライスラーに乗っ取られる前までは、フィアットがシムカの株を
50%持っていたので、フィアット設計の影響が大きかったのです。


シムカはもとはフィアットのライセンス生産を行っていたこともあり、
クライスラー・フランスのクルマはフィアット系設計を引き継いでいたのですが、
1978年、クライスラーとの短い蜜月は終わりをつげ、クライスラーはクライスラーUKともども、
PSA(プジョー・シトロエングループ)に売却され、その際、
ブランド名を伝統ある「タルボ(タルボット)」に戻すことになったのでした。

全然簡単にまとまらなかった...(涙



で、今日の主役、タルボ・サンバ(Samba)なんですが、
プジョー傘下になったタルボが初めて出した(そして最後になった)小型大衆車です。
デビューは、1981年。201系量産車と同じですね(そんなことはどうでもいいw)。

PSAではすでに、小型車としてプジョーには104、
シトロエンにはそのボディを流用したLNがあったのですが、
むろんタルボもその方法を取らないはずが無く、
サンバは、104/LN系の兄弟車として
設計されたのでした。



104クーペZ。しかしまあチョロQ的な寸詰まり感が最高!


これも、104クーペZ。Zていうわりには全然強そうに見えないw



で、これがLN/LNA。この個体しょぼい...欲しいなあ。フランスに行くといつも
持って帰りたくなるんですよねLN系(笑


LNが、104の3ドア版...104クーペのボディをそのまま使い、
エンジンのみ自社のフラットツイン(萌)を積んだのに対し
(のちにプジョーの4気筒を積むことになったが)、
サンバは、ドアや一部の窓以外はボディのプレスまで変え、ホイールベースも伸ばす
という凝り方でした。でも逆に、エンジンは104のものを持ってきています。
なお、ホイールベースの短い104クーペをベースにしたのは、
当時開発中だった205とのグループ内競合を避けるためだったそうです。



サンバ。こうして見ると、104/LNとは結構違うのだ



ボディデザインがなんとなくフランス車っぽくない(というか英国車っぽい)のは、
それもそのはず、デザインは旧クライスラーUKによって行われたもので、
これがまたいかにもタルボらしい、悪く言えば味の無い無国籍な雰囲気の理由です。


エンジンは前述の通り、104からの流用が多く、
954ccがベーシック版の「LS」、1124ccが中堅グレードの「GL」 、
そしてなんだか聞き覚えがある1360cc(日本仕様のAXとかでおなじみ)が
ハイエンド版たるGLSに搭載されました。
いうまでもなく、搭載方法は横置きで、104譲りなので
エンジン全体を後方に72度傾けてその下にギアボックスを置く方法でした。
なおGLSだけが5段MTです。


LS。



もいっちょLS。うーん、しょぼい...たまらない(ハァハァw
ホイールが黄色いのはあとで塗ったのかな?
しかしこの黄色いホイル、プラスチックにしか見えないw



内装。104の兄弟車だけあって、ほとんどイメージが一緒。
メータークラスターが大きな違いか。



104



サンバ。プレス写真の銘がタルボでは無く、あくまでもプジョーであることに注目。



モデル途中になって、いちバリエーションとして追加された「sympa(サンパ)」。


サンパの後姿。
あれ、これもホイル黄色いな。と思っていたら、
nekさんのコメントで、これがサンパ用なのではとのこと。情報ありがとうございます!



また、タルボ・サンバといえば...というのが、これ。


うしろのクルマもなみだを誘うね...フィエスタ、初期初期パンダ、R4、127、127。



「タルボ・サンバ・カブリオレ」。
実は日本にもタルボ・サンバは西武自動車販売の手で正規で輸入されていたのですけど、
入ってきたのはこのカブリオレだけなので、日本ではこのイメージが強いかも。
現に、FBMなどでは、サンバ・カブリオレはたまに見かけることが出来ますものね。
日本で唯一乗れると言っていい104/LN系(まあVISAもそうだね)なんだよなあ。
欲しいなあ...。

ちなみに、このカブリオレ、架装はピニンファリーナ!なのです。
ピラーに誇らしげにバッジが輝いております(^^
カブリオレは205CTIが出るまでは競合が無く、そこそこ売れたようです。


このころ...80年代初頭のPSAは、
VISAにGTを用意したり、1981年にはPTS
(プジョー・タルボ・スポール、あのジャン・トッドがいた)を結成したり、
スポーツイメージを前面に押しだしはじめたころで、
実際、1983年には、地味で堅実なメーカーと言う印象だったプジョーを、
若々しく、スポーティなイメージへと革命的に変えた205が登場するに至っています。



タルボも、このサンバにもウェーバーツインキャブで武装した
スポーティバージョンを追加。それがRallye(ラリー)。


(なぜかミニカーの画像ですみませんw)


同じグループ内で205ターボ16がWRCで派手に活躍する傍らで、
サンバ・ラリーはモータースポーツの入門用などとして人気を博し、
ワンメイクレース等も行われていました。



さらには!グループBの「化け物」である、205ターボ16と同じく、
もしくは同じグループ内のVISAのグループBよろしく、
サンバにもグループBモデル、
Peugeot Talbot Sport Samba Rallyeも用意されてました。


ぜんぜんGr.Bのクルマには見えないあたりが素敵w



205のようなPTSカラーをまとった、フランソワ・デルクールの乗るサンバ。




こうして見ると、サンバは名前の印象どおり、とても若々しい、
スポーティなイメージのクルマだったことが分かります。
その印象は、205に引き継がれたといってもいいでしょう。
となると、205が出る2年前に出たこのサンバが、
プジョータルボのイメージアップに少なからず寄与し、
それが205の成功のカギの一つになったのかもしれませんね。






>>いやー、最近まずい、もう、ルノープジョーシトロエンももちろん
気になるクルマ、欲しいクルマはいっぱいあるんですけど、
こういう「タルボ」あたりのクルマに興味津津。
タルボ、乗ってみたい...。
そうそうはわかってくれない...「これなんてクルマ?」って言われちゃうあたり、
変態さんにはたまらないです(ゾクゾクw



>>ちなみに、プジョー309は、
タルボ・アリゾナという、タルボ向け車種として開発されていたものなのです。
それが、タルボブランドの消滅で、プジョーブランドとして登場してます。

>>で、その「アリゾナ」の前身が、これ、「オリゾン(Horizon)」。




>>どう見てもフランス車に見えないところがたまらん(汗
クライスラーがシムカに作らせた欧州戦略車。
思い切り無国籍な一台なのですが、ちゃんとカーオブザイヤーも取ってるスグレモノ。
でも乗ったらどうなんだろ?
うーん。これもかなりいい外しだなあ。


>>「何に乗ってるんですか?」「タルボ・オリゾンです」「....??????」って会話してみたい(馬鹿




>>なんでこのクルマ好きかって、内装がね、カッコいいのよ(涙




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【プジョーな話】拾った画像でプジョー305まつり。実はBXのベース車なのです。

2011-02-24 | プジョーな話。

305GR 1977


拙稿を引用修正して使わせていただければ、
この特殊な日本市場にでさえ、それまで特殊な印象だったシトロエンを、
一気に「マダムが買い物に使えるふつうの外車」にまで変えることに成功したのがシトロエンBXです。
BXは生産が終了しXANTIAにバトンタッチしても、そのXANTIAがC5にスイッチしても、
BXはいまなおファナティクを多く持つクルマですが、
それはサイズが丁度良い・ハイドロを持っている・適度にフランス車の濃さが残っている、
などの要素を持つ「実用的趣味車」であるという点が大きいのではないか、と思います。



たまらん、この素っぷり



そんな名車とも呼んでもいい「シトロエンBX」の兄弟車は、当時同時に導入されていた時期のかぶる
プジョー405と呼んでもいいようにも思うのですが、
ベース車については、なんと、405ではありません。

そうなんです。BXが1982年に登場。405は、1987年。てことは、
当然405はBXのベースにはならずということがわかります。


では、BXの元になった(というか405の前の兄弟車ということも出来る)は、何か?

それが、プジョー305です。



こういう色遣い!いかにも70年代末期ぽくて、かっこいい!


305?....305?なんだそれ!て思う方も多いかと思うのですが、
プジョー305は、405と309の前任の、プジョーの小型サルーンです。1977年登場。
これがまた、205が出る前の、204→304と続いた地味で実直な、でもきわめて真面目で
道具として使用するにはこれ以上のものがない
プジョーサルーンの流儀を貫いたようなクルマなのです。



1981年のマイチェンで顔やバンパーを修正した後の姿。


ご覧の通り、505にも似ていますし、FRっぽい外観を持ちますが、
メカニズムの多くを304から引き継いでいるために駆動方式はFF。


錬金と続いていたピニンファリーナ+プジョーの蜜月が生み出した、
何の変哲もなさそうなこの305のボディデザインは、
でも実に控え目で、質素で、素晴らしいバランス感覚で成立している美しさを持っています。
405もとても美しいサルーンですが、「むかしのプジョーらしさ」という意味では、
この305が最後のそれなのかもしれません。


204のリニューアル版である304にくらべ、305のボディは大型化されて、
その上の404に近いサイズになりましたが、それでも4.2m程度でとてもコンパクト。
それなのにホイールベースはなんと2,620mmもあり、それがもたらす車内の広さは
特筆ものだったのです(シトロエンばかりがロングホイールベースと思われがちですが、
プジョーはFRのクルマでさえ、長いホイールベースを誇っていました)。



305には204、304と同様に、ブレークボディもありました。なんだか三菱ギャランぽいw


駆動系は204、304のものを基本的に継いでいるので、
「アラウンド・ザ・コーナー」と呼ばれた冷却ファン駆動ベルトの取り回しや、
後ろに傾むけて配置されたエンジンの下にギアボックスを置くイシゴニス式で
エンジン・ミッションが搭載されていました。



その後1981年、「GT」を追加。このGTには、BXでもおなじみのあの「XU系」エンジンが初搭載され、
ついにここで204から続いたイシゴニス式に別れを告げ、一般的なジアコーザ式になります。
このGT、エンジンは1.6LのOHCで、名前こそGTですが、翌年BXに積まれた1.6Lエンジンと変わりません。


これがGT。



さらに1984年、305にはこれまたBXでおなじみですでにBXには積まれていた1.9Lを搭載した「GTX」や、
フランスの乗用車では初となる4速ATモデル(遅いw)を用意したりしています。



GTX。かっこいいじゃん!


これもGTX。305はリアビューも端正。



1986年型の内装。同時期の309にも通じるデザイン。好き。



で、思うに。
この305のクルマとしての出来が素晴らしかったからこそ、
BXのあの素晴らしいハンドリングや、深いシャーシ性能、直進安定性、
そして乗り心地、トランクや車内の広さがあったのだと考えることも出来るのです。
車体の長さにしては長いと言われるBXのホイールベースは、この305のたった+30mmなのです。
ボディサイズはほとんど変わりませんでした。

PSA...つまりはプジョーの血が入ったBXですが、
その素地には優秀なベースであった「プジョーのサルーン」があってこそ、生まれたのですね。
いやBXに限らず、プジョーの優れたクルマ全般の設計(トラブルとか故障は除くw)が無ければ、
シトロエンはどうなっていたのでしょうね?
そう思うと、シトロエンがプジョーに拾われたのは、とっても幸運だったのかもしれないです。
ひょっとしたら、プジョーとくっついていなければ、
2011年現在、シトロエンというブランドは無かったのしれません。




>>305は素晴らしい実用車であったはずですが、当時の西武自動車は504の導入に力を注いでいたのか、
結局このクルマ、日本には来てません。
いまなら、欲しいです。505、504などのリアル・クラシックプジョーで、
204や304のような「旧い時代のクルマ」でもなく、
BXのメカニズムも持っていて、この端正なスタイル、そして何よりも日本に1台も無いだろうという
その希少性(笑

>>ああー。こうして見ると、305かっこいい!
かつて乗っていたR19(ルノー19)もそうだけど、「何の変哲もないのに、乗ったら、使ったら、とんでもなくいい」
っていうこういう実用車って、ほんとにかっこいいし、大好きなのです。

>>おまけ。実用サルーン萌えな人には死んでしまうような大集合。


>>奥からルノー11(オンズ)、プジョー305、タルボソラーラ、シトロエンBX。ぎゃー!
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【プジョーな話】プジョー407の後継、プジョー508登場(と、プジョー408の話も)。

2010-07-22 | プジョーな話。


かつて4.5m以内、幅も1.7m±α程度だったDセグメントも、いまやどんどん膨らんで、みな「なんでこんなに大きいの」
と突っ込みを入れたくなってしまいたくなるような車種ばかりになった今日この頃。


まあ、その流れはそんなに最近のことではなくて、日本でも実は適度なサイズが魅力だったカペラが、
えらく大きなボディのクロノスになったのはもう20年くらい前だったりするんですけれどもね。




そんな中?2004年に登場したプジョー407は、
その上にいた旗艦、プジョー607に長さであと20cmに迫るほどのサイズだったのですけども、
日本では607が撤退して事実上407がトップレンジだったり、
それとやはり大型プジョーの常で、607も商売的には販売は芳しくなかったりだったので、
んじゃ、これらの後継はひとまとめにしてしまえ、とプジョーが思うのも当然の成り行きか、
407+607の後継車は、懐かしい「5」番台のナンバーを持った「プジョー508」として登場しました。






407ほどトンがっておらず、あえていえばプジョーらしいコンサバ。
昨今のプジョーのデザイン言語だったつり上がった目も、だいぶおとなしく。
でもルノーのラティチュードもそうなんですけど、いまいちぱっとしないような気もしたしりて。プジョーに見えないし(汗

まあ、プジョーのフラッグシップは「奥ゆかしいデザイン」というのもまた伝統なので、
これはこれでいいのでしょう。
607も、とても落ち着いた良いデザインでしたものねえ。




ちなみに、508には「SW」も用意されるようで、これはなかなかかっこいいじゃないですか。
いかにもプジョーなワゴンって感じですし。
407SWも悪くないのですが、大きいサイズのワゴンとなると、ウインドウグラフィックスは
こういう普通の切り方のほうが落ち着いていていいような気がします。


さすがにワゴンの国、基本的にステーションワゴン型のクルマはどれもこれもグっと来るものが多いですなあ。





508は、サイズ的にはまさに407と607の真ん中、4.8mくらいの全長を持ちます。
もはや「4」番台のサイズではなく、「6」にするには、小さい。
そこで、懐かしい「5」という数字を引っ張り出してきたのは適切かもしれないですね。





ちなみに、「5」番台は、ieも乗っていた、懐かしの505以来になります。


プジョーのフラッグシップは別に「6」でなければならないということはなく、
今回のように時代の流れやラインナップによって、ころころ変わります。
504がトップだった頃に604が「6」番台として初めて登場し、その後、504は505に。
そして604が消えたことで、505が旗艦へ。
505の実質的後継車である605の登場で505が消え、そして初のFFフラッグシップとなる607が登場し、今に至っています。


508の日本導入はどうなんでしょうね...。
ハイブリッド4(前輪をエンジン、後輪をモータで駆動)とか、いまのエコ時代に合わせて
日本にも入れないかしら...ないかあ。



なお、407のドロップに伴ってあく「Dセグメント」には、新しいベルリン、408が充てられることになります。
そう、これって、ご覧になってわかるかと思いますが、
要するに308の後付けセダンです。ちなみに全長4.68m。でけえw




結構かっこいい 後ろ姿はプジョーらしいね


後付けセダン萌えなieなのですけど、プジョーの「4」番台の車といえば、404以来
プジョーの主力であり、プジョーが全精力をこめて丹念にじっくり開発したクルマ、といった印象があるだけに、
車種流用の後付けセダンが「40×」かあ、と正直思っちゃいます
(308がしっかりしたクルマでは無いという意味ではなく、40×として独自に開発されなかったことが残念)。

まあ、これはセダン好きな傾向の強い中国(プジョーが強い)市場むけに開発された
307セダンの後継車が、ちょうどサイズ的に「4」番台にふさわしいということもあったのだろうとは思うのですが...。





これが307セダン。超後付け感たっぷり(汗


日本にはこの408は、入ってこないだろうと思います。
そう思うと、ひょっとして407って、405以来日本で買えてきた
プジョーの「4」番台の最後になっちゃうのかも?



>>ちなみにセダン好きな中国のために、実は同じく中国に強い同門PSAグループのシトロエンにも、
かっちょいい後付けセダンがいます。



>>C4のセダン版、Cトリオンフのマイチェン版・その名も、C-quatre(Cキャトル)。
うーむ、後付けの違和感がまったく無いぞ!
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【プジョーな話】プジョーのピックアップ、「ホガー」

2010-03-19 | プジョーな話。

プジョーから、小型ピックアップ「ホガー」が登場しましたね。








まちがえたw



ホゲー、もとい、ホガーは、206(206+)をベースとしたピックアップトラックで、
主に南米で販売されるようです。





ご覧の通り、206の部品のオンパレード!
ミラー、ドア、ボンネット上のスリットなど、見たことありますものねえ。
というか、要するにBピラーから前は206なわけです。





リアビュー。リアランプは...1007のではないのかな?



ちなみに南米市場は歴史的に小型ハッチバック(というか小型大衆車)を
ベースにしたピックアップトラックが人気がありましたので、
それまでコマを持っていなかったプジョーが参入した形になります。




ブラジルのメーカーといえばVWですが、もちろんこのクラスのトラックを持っています。
それが、サベイロ。
しかも、ハンパじゃないくらいかっこいい(^^;





ベースは、ゴル。ブラジルVWのゴルフのような存在で、いまは5代目になりました。
これがまた、ふつうに十分かっこいいんだなあ。




基本的にサベイロは歴々のゴルがベースなので、サベイロは過去にはこんな感じでした。





それ以外では、GMのシボレー・モンタナ。これもなかなかいいですね。
ベースはオペル・コルサ。
 




ブラジルで強いメイクス、フィアットはパリオをトラック化した「ストラーダ」をすでに
持っていますので、これら歴々トラックを作って来たメーカーと戦うわけですね。


ノーマルモデルはもっとシンプルだけど、この仕様はまるでSF的な装飾がマジ萌え。



我らがニッサンも、ダシアロガンのニッサン版、
「アプリオ」ベースの「NP200」を用意しています。
現代のサニートラックですなあ。うむむ、これ欲しいw




それにしても、こうしていろいろな小型乗用ベースのピックアップを見ていると、
プジョーのとんがりノーズ、チャイニーズアイでトラックというのもまた
妙な趣深さがありますね(^^;
華奢にも見えるデザインのクルマにむりやりタフさを出している感じとか...。


まあ、タフなプジョートラック(乗用)といえば、504とか、404ですねえ。
あのころは「504、404そのもの」が「タフ」で売っていたので、トラックも似合ったんですよね。


モナコにて、504。ダットラみたいな感じなんでしょうね。


ニースにて。404。こりゃすげえ。



>>かつては日本もセダン(乗用車)ベースのトラックだらけでしたよね。
古くはマスターライン、コロナトラック、パブリカトラック、
サニートラック、ファミリアトラック、ワスプ、マイティボーイ、などなど、
百花繚乱でしたねえ。まだまだあるはずですが割愛にて(^^;

>>ちなみに「ワスプ」はこの拙ブログでも出したことがありますが、これ



>>要するにべレットトラック(汗

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【プジョーな話】拾った画像でプジョー504まつり。

2009-12-25 | プジョーな話。


先日の204/304に続いて、今日もクラシックプジョーです。


えーもう出しちゃうの、なプジョー504です。
余裕があって、いい出物があれば欲しい...(だけど日本に正規で入った多くが504D...もはや東京では乗れない)
な一台です。





先日の「204、304まつり」でも書いたのですが、
プジョーといえば「地味な実用車のメーカー」だったのですね。


だけども「地味でも実用的」。
それでいて、機知に富んでいる。504はまさにそんなプジョーだからこそ生み出せた
究極の実用セダンのいち事例に相違ない。

504のすごさは、まさにそこ。







適度なボディサイズで、しかも堅牢。
サイドシル太すぎて乗る折に支障が出るんじゃないかというくらい、
骨太に作られている印象があります。

何度か欲しくなって現車を見るたびに、感銘してしまうんです。
ドアはいまだ開けても斜めにならないし、きちんとバチャンと閉まる。
鉄に銀メッキではないステンレス製のバンパーやモール類(エンブレムや車名も!)を採用し、
当時では防錆や耐久に気を配った設計、
ふかふかのシート、あきれるほどの直進性と極上の乗り心地、
そして広い室内と十分なサイズのトランク。


いま、当のプジョーにだってこんなクルマないです。
日産クルーやトヨタのクラウンコンフォートがいい線いってる(^^;
気がしますけど、走りや、シートでは比べようがない...。






高級な飾りや、派手な装飾もないのに、設計思想がすごく高いところにある。
昔日のプジョーらしく、定期的にあえて残されたグリスアップを怠らなければ、
いつまでも走るんではないか、というクルマの作り方も好きです。
「見識」がすごく高いんですよね。「いいもの」とは何か、を知っているメーカーなのではないでしょうか?




むろん504は昔のクルマですから、10年、20年同じもの、同じ思想で
作り続けられないのは当然です。


プジョーはそんな時流を読んだのか、
205以降から、つねに世界のトレンドを「むしろ」引っ張るメーカーに変わりました。



ただ、そこには、1世紀以上続く歴史と、自社のクルマをほぼ部品内製で作り続けられる(た?)技術力と、
スポーツモデルを作るにも基本のクルマがよくなければ意味がないので
基本的なクルマの走りも設計も手を抜かない!※という
不変の設計哲学などがあったからこそ変化を遂げることが出来るわけで、
実は今でも「外観こそ派手になったけど、やはりプジョーは大いなる実用車」
であることも、ieはプジョーが今でも好きなところなのです。






で、504の話に戻りますです。



ピニンファリーナのデザインはいちぶんの破綻もありません。
長さ、幅、ホイールベースの長さと前後オーバーハングのバランス、
日本では当時きっと不評であっただろうケツ下がりのトランク、
フロントウインドーの立ち上がる位置、大きすぎて冗長になりがちな大きな矩形のヘッドライト、
サイドに走るキャラクターライン、ホイルアーチとタイヤの位置関係・サイズの関係、
トレッドの幅...どれもこれもが「美しい」のです。
ケツ下がりをもう少しなんとかしたいな、と思ってイメージしてみてください、
504、美しいスタイルにはならないと思います。








504はプジョーの常で、クーペとカブリオレのボディを追加します。
こちらもピニンファリーナですが、204/304のようにベルリーヌのイメージはほぼなくて、
同じくピニンファリーナの流麗なボディを持ちます。しかも、ボディの製造自体がピニンファリーナです。








少しはメカニズムにも触れておかないと(汗
404の発展進化系であるだけにエンジンも404の改良型でのOHV、1.8Lを搭載していました。
その後インジェクション仕様(とはいえクーゲルフィッシャーのメカ式)を追加したり、
2Lに拡大されたり、日本でもおなじみもディーゼルエンジン(2種の排気量があったうちの大きなほう:2.3Lを日本には導入)を追加。
その後、PRVのV6エンジンが、クーペとカブリオレに載ります。
504クーペ/カブリオレV6は当時のフランスでは相当な高額車だったそうです。



ところで、504といえばラリー。しかも、サファリなどの耐久色の濃いもの。
「砂漠のライオン」の異名を持つとおり、アフリカ(旧フランス領が多い)はプジョーの重要な販売エリアだったこともあって、
サファリ、バンダマなどアフリカ系のラリーに積極的に参戦、しかも勝利を重ね、耐久力を存分にアピールもしていました。
参戦車両がサルーンからクーペにスイッチしたあとも、グループBが始まる前の年・1981年まで活躍しました。





しかしまあ、ほんとにいいクルマですよねえ。
どうしていま、こういう「あたりまえ」のセダン(クルマ)が少ないのでしょう?

新しいポロやゴルフがすごく魅力的なのは、仕立てもいいし、
華美や金襴緞子とは違う上質さがあって、道具として扱ってもその使命に忠実に応え、
それでいてドライビングプレジャーもあって、
乗れば疲れにくいし、とにかく「いいもの」感がある。
サイズも適度...。
これってある意味、実用に徹っしているからこそなのでは、
と、プジョーのページで書いてみたり(^^;


クーペ/カブリオレ以外にもマルチバリエーション。
ホイールベースも長くて、妙に巨大なブレーク。


ちなみにファミリアール(7人乗り)もあったようです。


これは、そのブレークをベースに、ダンジェルというメーカーが架装し、メーカーのカタログモデルだった4×4。


ブレークのリアバンパー、ただのゴムブロックです。こういう割り切り設計が最高。
だってこれで必要十分で一番簡単な設計ですものね。


ちなみにクーペ/カブリオレの後期モデルは、セダンが505にその座を譲るまでほぼ外観を変えなかったのに対し、
バンパーなどを変更してモダナイズしていますが
これがちょっと微妙...な感じで(汗
ieは嫌いじゃないんですが、やはり買うなら銀バンパーのV6かなあ(買うのかw







ところで、有名な話ですが、
プジョー504は本国での製造が終わってからもアルゼンチンなどで2000年程度まで製造されていました。



タクシー。



ああ、こういう乗り方したい(^^;




外観はずいぶん近代化されていて、これはこれでかっこいいかもしれませんね(^^;


というか、つい最近まで新車で買えたことがすごいです。







>>※これ、「こんなもんんでいいや」と割り切る国産メーカーがいかに多かったことか...。いや、まだありますけど...。
いまはだいぶ良くなったようにも思うのですが。


>>日本はたしかに速度域は低いし、使い方も欧州とは違うけど、だからといって
シートが小さい車だからって薄っぺらじゃいけないし、まっすぐ走らないのはなんだかなあ、
って思うんですよね、やっぱり。

>>ドアのチリを合わせるお金があったら、
1日乗っても腰の痛くならないコンパクトカーやミニバンを作って欲しいとieは相変わらず思っております。
こんな話は、40年まえのCGから書かれていることなのです...(号泣
でもまあ、引き換えにトラブルが多かった時代もあったわけで(大汗
結局のところ何を取るか、の問題にはなっちゃうんでしょうけれど。


>>ますます「クルマ離れ」が進んで、しかも白物家電化が進んでいる中、
クルマに「見識」なんていらないのかな。クルマに限らず、そういう製品が減っていませんか。


>>でも小生クルマが好きです。クルマ趣味を貫いて生きていく所存です。
そんな自分は、せめてこの小稿で、「これはいいものだ@マ・クベ」
というものがあれば、それを切に訴えていこうと、今更ながら思ったのでした。


>>日本車にもいいクルマはいっぱいあります。ieは仏車バカですが、
ドイツも、イタリアも、いいくるまはいっぱいあります!!
クルマはまだまだ面白い。クルマにカネを掛ける人は遅れている、なんて
言われている時代のようですが、それがどうした。
内燃だけでなくても、電気でも、クルマは面白いものなのです。


>>ありゃー、最期は504の話から離れちゃいましたw
なので、毎度恒例?ie的乗り方理想をば...






>>ひょっほおおおおおーかっこえええーーーー(変態
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【プジョーな話】拾った画像で204/304まつり。

2009-12-14 | プジョーな話。



縦サンクまつりで
旧いフランス車の画像の良さを再発見し、すっかり虜になったieです。


今日はプジョー編。あえて日本ではほぼ手に入らない
プジョー204ブレークの売り物は1台、いま販売中のがありますが...189万...手が出ない^^;)
プジョー204・プジョー304をお送りします!


ie、このクルマ大好きなんです!
何が好きかといいますと...かつてのプジョーの印象ともいえる「実直さ」があふれているところです。


いまでこそプジョーはスポーティなイメージが先行していますが、
実は205のデビュー(1983年)より前は、地味な実用車をパリから遠く離れたアルザス地方で
コツコツとモデルチェンジもせずに作り続けている同族経営の堅い会社...という感じだったのです。


「地味で実用的」。でも、そこはやはりフランス車。
ウイットに富んだデザイン、すぐれた機能性と抜群の乗り心地、
そして耐久性を持っていて、素晴らしく魅力的。204はまさにそんな1台に思えます。



プジョーといえばサンルーフ!という時代。カタログに載っているクルマも
もちろんサンルーフ付き。



第二次大戦後にデビューし爆発的に売れた大衆車203の後継として
204はプジョー初のFFモデルとして1965年に登場。
ところで、メインの駆動方式が3社ともに違っていて興味深い時代です。
すでにシトロエンはFFを採用していて、方や、ルノーはRRが主流。
で、プジョーはFRがメイン。
1980年代終わり(厳密には1990年)まで505を作り続けましたから、FRの印象がとくに強いですよね。




いまでもフランス車といえばワゴン、のブレークモデルはこの当時から用意されていました。204ブレーク。
長いホイールベース(全長4m以下なのにホイールベースは2.6m!)とボディ(オーバーハング)のバランスが絶妙。



プジョー204のエンジンは「古いフランス車のエンジンはOHV」という印象を覆す、
オール・アルミのOHC4気筒、1.1L。
ルノーは初のFFたるR4で縦置き、シトロエンも縦置きの時代に
204は横置きを採用していたのも特筆に値します。
搭載方法はイギリスのミニの拡大版、ADO16シリーズに影響を受けたと言われています。




204のデザインはピニンファリーナ。406、306までのデザインを受け持っていましたよね。
プジョーオリジナルもいいですが、ピニンにはピニンのもつ美しさがあります。



小粋なクーペやカブリオレもわざわざホイールベースまで短くして用意されていました。
実直で実用的を柱とするメーカーなのに、プジョーは必ずと言っていいほど
カブリオレとクーペを用意する「粋」なメーカーでもあります(^^




このなんともいえない楕円のまなこと、全体の丸さがゆるい感じがして好きなのです...。
虚飾がなく簡素でありながら上質でことも、このころのプジョーの魅力だったようです。



で、続いて、プジョー304。
ひとクラス上に用意されていた404(1960年登場)とのギャップを埋めるべく1969年に登場したのが、304です。





とはいえ、ご覧の通り顔は504風でモダナイズされていますが、ボディシェルは204そのもの。
R8に対するR10のような存在です。
エンジンは204よりもひとまわり大きな1.3Lが用意されました。


トップの絵にあるように、304にはブレークもあります。ただし、リアエンドも
新規造形した304ベルリンヌに比べて、ブレークは顔以外204そのままのデザインですね。


また、ブレーク同様に、304にもクーペとカブリオレが存在しました。
基本的な成り立ちはブレークと同じで、顔だけ違う感じです。






個人的にはクーペとカブリオレは304のほうがまとまっていると思います。


304は後継の305(日本ではマイナーの極み)が登場したあと、
1979年に生産中止になりましたが、外観はほぼこのままだったようです。
80年代に届く寸前、いや205がデビューする数年前までこの姿の新車が買えたのね...すげー。


>>ちなみにこれがプジョー305。505に似てるからFRっぽいんですけど、FFです(^^;



>>さらにちなみに、この305、思い切り日本ではマイナーなんですが、フランス車初の4段ATの採用や、
いまでこそ普通にプジョーで採用されているエンジンの横にミッションを置くエンジン搭載方法や、
プジョーのスポーティイメージのはしりともいえる「GT」を用意するなど、
プジョーの次世代への橋渡しとして、結構重要な車種だったりします。


>>304のディーゼルなんて乗ってみたいな...。ってNOXにひっかかっちゃうのか(涙

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【プジョーな話】206+、登場。

2009-02-25 | プジョーな話。
うーん、味なことをする...
って唸ってしまいました。

プジョー206、まだまだ現役続行!というお話なのです。

その名も、206+(206プラス。仏語ならドゥサンシス・プリュか?)


207 ? 308 ? Non c'est une 206 Plus !


207が大きくなりすぎて(というか売れてないのか?)、
107との穴埋めに、ということなんですけど、
1998年デビューの206、実は欧州など(本国でも)まだラインナップに残っており、
今回のフェイスリフトでもうひとふんばり、ってところなのでしょうね。
頑張りますねえ。



す、すげえ...リアドア後ろのパネルもハッチも、プレスをまったく変えてないじゃないか

このまま、目指せ長寿車!

もとオーナーとしては、頑張れ206!って思います。


>>シートがいまいちだったり、フランス車なのに長距離走ると
ちょっと疲れてしまったりといろいろ不満もあったけど、
自分の206はXTだったんですけど、装備は最小限ゆえ車重も軽く、
なんでもない1.4のOHC・たった75PSのエンジンなのに
キビキビ走れるのはほんと、すごく気持ちよかったです。
いい車でした。燃費もいいし。

>>いますごく安いし、トラブルも心配ないかなあ..なんて思うので
ガイシャの入門にはぴったりなんじゃないかな、っていう1台なのでは。

>>206には、207では薄くなった、昔のフランス車の「軽快さ」が残っていると思うんです。
205の正常進化みたいな。
206+も、きっとまだそんな味を残した1台なのでしょうね...って
日本には入らないみたいですが(涙
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【プジョーな話】207styleが気になる。

2008-08-09 | プジョーな話。
ieがこれまで持ってきた車の中で、唯一新車で買ったのが、プジョー206XTでした。

買ったこまかいいきさつはリンク先を読んでいただければと思うのですが(汗)、
206は結果として3年間、まったくトラブルも無く役目を全うしてくれたのでした。


ですので、後継の207のことはやはり気にはなっていたのでした。

でも、正直なところ「ロワグレード」マニアのie、自分が乗っていた「XT」のような
廉価仕様がラインされていないことにちょっと不満があったのですが、
さあ、いよいよ来ました、来ましたよ。
207 Style 登場しましたよ!



ブラックモールディングキターーーー

これまでの207シリーズ、顔が派手な「上級仕様」しかなかったのですが、
この顔が本来の?「207」の顔です。

あの派手顔も、見慣れてくるとかなり気になるかっこよさなのですが、
個人的にはこのおとなしい顔のほうがいいなあ。
何よりもヒゲみたいに付いた黒モールがねえ、たまらないですよねえ。


206に比べたら207は全体的に質感の底上げは相当なもので、
それでいて装備は必要最小限(現代の水準において)な207。
これこそフランス大衆車!ってところを感じますねー。いいですねー。


てなわけで、すんごく気になります。


>>シートはどうなんだろう...他の207シリーズを乗ったぶんには
過不足はないんだけど、これに関してはPSAよりもルノーのほうが
カラダには合うんですよね...これがまた。
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プジョー207、全貌を表す

2006-01-13 | プジョーな話。
ついに出ました、プジョー207。
もと206乗りの自分にしてみれば、やはり気になっていた1台です。



正直な感想をいくつか。

全長はついに4030mm、全幅は1720mm。4m越え+3ナンバーだ!
大きくなるのは仕方ない...って素直に思えないんです。
クリオ3ももはやサンクの後継ではないという気がしましたが、
207も200番台にふさわしくない大きさになってしまいました。

広くなるのはいいことです。それを否定しません。
でも、仏車の小型車が持っていた「凝縮感」のようなものが
失われていることに危機感すら抱いてしまうのです。
広くするために安易に車体を拡大するその単純さも気になります
(それでいて、広さは昔の小さなクルマと変わらなかったりしますし)。

この207はちょっと鈍重なクルマに見えます。
空気で膨らませた感じ。
206のキビキビ感あふれるデザインは改めて見てもホントに秀逸ですね。
僕は206をデザインに惚れて買ったので尚更。



そう思うと206(僕のはペーペーのXTだった)て、
「フランスゲタクルマ」でした。
内装のクオリティもそこそこ。小さく、キビキビ。
その小さな車体にいろいろ詰め込んだ感じ。
上級グレードのS16やCCを除けば、
基本的には高級という方向を見ていない潔さ。

なんだか、ちょっとだけ寂しい感じがします。
まあ、小型車が小型車らしくなくなってきたのは仏車に限ったことでは
無いのですが。

ちなみに僕は
小型車が上級、高級になるな、なんて決して思っていないです(^^


でもこれも、ちょっと古い小型欧州車が好きなものの「たわごと」
なのかもしれません。



>>ではサンクバカラとかの「小さな高級車はどうなの?」ってことになりますが
あくまでもそれは「いち高級仕様」という位置づけですので、
シリーズ全体の高級化を図ることとは意味が違う気がします。

>>ダイハツのエッセはその点潔いなあ(爆
乗りやすく、必要なものだけつけて、簡潔に。
小型車は小型車らしく。
過剰から本質へっていうコンセプトらしいですが、
このご時世にあって評価したいです。

>>簡潔でも上質なもの。いいですねえ。
でもシートは×だった...本質を追究するならシートの向上も願いたいです。

>>ああ、ありましたありました、潔い小さなクルマ達。
107/C2/アイゴ、ダシア・ロガンなど。
実物が見てみたいです。
僕が望む、「小型車らしい小型車」のエッセンスを凄く発散しているので!


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504にクラクラ

2005-10-11 | プジョーな話。
プジョー504

一時期、これが真剣に欲しかった。
1968年デビューのクラシックさ。
プジョーが地味な実用車メーカーだったころの、その趣。
アフリカなどの植民地でも耐えうる、そのタフさ。
素晴らしいシートに、驚くほどの居住性。
すべてが良識的な設計。
ゆえに実直。地味。
ああ、最高...。




シトロエン XANTIA(エグザンティア)に乗っていたのでもう7年くらい前の話になります。
京都のアウトパラスさん(僕がのちに2CVを買ったお店)に、
出物の504があったのです。
それは正規ディーラーモノの、薄いクリーム色を纏った1981年式504D。
D、はディーゼルのDです
(プジョーはメルセデスと並んで、早くから乗用ディーゼルを開発していたメーカーでした)。

日本には、1970年代初頭に一時期北米仕様が輸入されたのち途絶え、
暫くたってから入ってきたのがこの504D。
それまでの北米仕様とはちがい、美しいマルシヤルのヘッドライトを持った
欧州仕様での再デビューでした。



僕が京都で見たそれは(見に行っちゃったW)、外観が素晴らしい状態。
何よりもオドロイタのが、ボディの立て付けがしっかりしていることでした。
薄いルノーを見慣れてきた自分には、オールド・プジョーのその「頑丈そう」な
ことがとても意外に映った。

バンパーはいかにもバンパーのつくり。
そしてシートは、ルノーともシトロエンとも違うテイストの、
だけど間違いなくフランス車のそれ。
ふわふわ、だけど芯がしっかりしているあれです。
柔らかい度合いは、60年代そのもの。感動しました。
当時の国産車よりも愛想のないダッシュボードも、
むしろ504らしさを強調してたまらないポイントです。




だけど。
エンジンかけてオドロイタ。
整備は随分されているクルマだったけど、
その音の大きさ。ちょっと古いトラックなみ。

...当時借家で、車庫も借りていた自分。
車庫は家に囲まれた場所で、角のお宅は小さな子供がふたり。
夜中に出かけることの多い僕。
こりゃあ、メイワクかも?

......ううううううーーーーーーーん........(悩




喉元まで「買う!」と思っていたキモチが、ちょっと冷めてしまった。
これでガソリンだったら......即買いだったかもしれません。
といっても日本に入っている504で、ガソリンは限りなくレア。
もう、現地生産を続けてるアルゼンチンとかから買おうかしら、とか
莫迦なことばっかり言いながら、一緒に行ってくれてた猫澤君と話しました。

だから、似たようなシブ箱(ルノー19)を持っている今でも、
504を見ると「はっ」とします。
あの時504を買っていたら?
今の自分はどうなっていたのでしょうね(^^




>>それにしても504Dを買わなかった理由...
それが高速巡航速度が低い、とされていたことです。
当時のディーゼルは音が大きく、またオートマが3段であったことなどから
巡航していて「ここちよい」のが90キロ前後だと、CGに書かれていたのです。
当時は良く遠くまで出かけてました。だから、その速度はちょっとひっかかった。

>>それと、京都往復を何の苦もなくやってのける、XANTIAの素晴らしさに
改めて感動しちゃったというのも、買い替えなかった理由だったりします。
素晴らしかったです。ほんとに疲れないかったんです。
行きなんて、浜名湖で15分くらい休んだだけ。

>>まあ、結局そのあとXANTIAは買い替えてしまったんですけども(汗
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だめ、こういうのに弱いんです

2005-08-31 | プジョーな話。
ところで。
僕はハッチバックがベースなのに、派生でセダン作っちゃったようなのが大好きです。

思いつくまま、後付けセダンを列挙。

VW ポロ サルーン
VW ジェッタ
ルノー 7(シエテ・スペイン語読み)ちなみに仏語では7はセット
ルノー クリオ シンボル/トリコルプ
ルノー メガーヌ ベルリーヌ
ルノー 19 シャマード
プジョー 306セダン
プジョー 307セダン
シトロエン シトロネッタ(チリ製2CV)

日本ではこの5大巨頭(爆
ダイハツ シャレードソシアル
スズキ カルタスエスティーム
スズキ カルタスセダン
スズキ エリオセダン
トヨタ プラッツ


そして「後付け」最新版。キターーーー!
それが...。





























がーん。206セダン!




>>後付け感たっぷり。コリャタマンネェ...(´Д`;)。
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