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サーブの話題ばっかりでごめんなさい。
でも、仏車党だった自分を引きずり込むほど、サーブ900の魅力は深いです...。
ということで、今日はサーブ900のターボ・エンジンのお話。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/37/113af8c3a9733e2f2705917ae17bdbfe.gif)
前回のアニメが小さくて動きが粗かったので作り直し(笑
クラシック900のボンネットの開き方です。
ゲンブツはかなりボンネットが大きいだけに
笑っちゃうくらいダイナミックです。
でも手前に引き出す時の動きが妙になめらかで、そんなところも◎。
閑話休題、以下、本筋です。
クラシック900には、いくつかエンジンの種類がありましたが、
基本は直4の2L。
サーブ99から引き継がれたこのエンジンは、
縦置きのFFで、ギアとファイナルがエンジンの下に位置し、
さらにはエンジンの搭載が前後逆という特徴もそのままでした。
900には当初からターボエンジンを用意してスタートしましたが、
1981年、エンジンすべてが通称「H型」と呼ばれる改良型に変更され、
そして1982年には、ターボエンジンは「APC」と呼ばれるコンピュータによる
過給圧制御機構を採用しました。
ターボエンジンは大量の混合気を強制的に送り込むため、エンジンの温度が高くなってしまいます。
エンジンの高温化はノッキングの原因となるので、
ターボエンジンは過給圧とともに圧縮比を下げたり、点火時期の調整がシビアになったりします。
ノッキングへの対策は圧縮比を下げることなどで対応していますが、
これがターボエンジンの欠点ともいえる低速トルクの不足の原因にもなっています。
APCとは、Automatic Performance Control の略で、
過給圧のコントロールをコンピュータによって自動的に行うというシステムで、
画期的なものでした。
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1)ノック・センサー
2)APCコントロールユニット
3)吸気圧センサー
4)ソレノイドバルブ
5)エンジン回転数センサー
ノック・センサー、吸気圧センサー、エンジン回転数センサーの3箇所からのデータを元に、
コンピュータが毎秒12回の割合で、最適な過給圧を決めます。
そして、その過給圧を作るために、ソレノイドバルブがウエイストゲートを作動させます。
APCのキモは、過給圧の上昇にともなう燃焼室圧の上昇によりノッキングが起きた場合、
点火時期を遅らせて対処する従来の方法ではなく、ウエイストゲートのほうを調整して
ノッキングを防ぐ、という方式。
点火時期を遅らせる(点火遅角という)による対処では、無論エンジンの効率は落ちます。
ですがAPCなら、ノックを感じた瞬間に過給圧を落として
エンジン内に送り込まれる空気の温度を下げ、異常燃焼を防ぐのです。
これによって、900はターボエンジンでありながら高い圧縮比を持つことが出来ました。
つまり、APCの特徴は、性能を一時的に上げる「ブーストアップ」ではなく、
むしろ「下げる」というところにあります。
高圧縮なエンジンもしくはターボエンジンでは、
ノッキングがおきやすいレギュラーガソリンは使用できないのが常だったのですが、
APCによってそれも解消、またターボエンジンの弱点だった低い圧縮比すらも克服し、
ターボでありながら低速からの走り易さを手に入れたのでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/68/d7d27b0efa3fddfb3df77951cd95152a.jpg)
ダッシュボード内、メーターパネル右上に、「TURBO/APC」メーターがあります。
ターボの作動が目で確認可能。
エンジンオフでもこの位置を指針します。
ちなみにタコメータの下はアナログ時計。他の席から見えにくい(涙
その後1985年、ターボエンジンにDOHC・16バルブ仕様を追加、
車名も「ターボ16」となり、従来のSOHCターボは併売されて「ターボ8」
と区別されることになりました。
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直6くらいありそうなでっかい直4DOHC 16Vエンジンは
ナナメ45度で搭載されてます。幅もすごい...。
写真右が前。
写真手前が排気側です。ターボチャージャーが見えます。
高温機器のすぐ脇にバッテリー(笑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/d7/309698089e30db2c05591d105eef9796.jpg)
反対サイド。吸気側です。さきほどエンジンは通常と違い前後逆搭載、と書きましたが、
ご覧の通りエアコンのコンプレッサはバルクヘッド側についているのが
わかるかと思います。
なお、ターボ16化の際に装着されたインタークーラーは左端、
ボンネットステーアームの下側に埋まっています。
なお、その後サーブは、
900のターボがどちらかというと高性能化に振られてしまったことを省みて、
本来99ターボが持っていたコンセプトへ戻るべく、
1991年、ロー・プレッシャー・ターボのエンジンをデビューさせます。
APCやインタークーラーを取り除き、はじめから低い過給圧で高圧縮を実現、
扱いやすいターボ・エンジンを目指しました。
「900S」に搭載されたこのエンジンは145PS/5600rpmを発揮しました。
数値的には低いのですが、低速から乗りやすいターボエンジンとして定評を得て、
現在、サーブを代表するターボエンジンになっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/aa/5100038b046064f54180775f4a867eed.jpg)
2003年頃の9-3。
現在でも、低圧(ロープレッシャー)ターボ搭載車を
もちろんラインナップしています。
>>現代では、各社ともハイオク仕様のエンジンのクルマにはほぼノックセンサーを装備、
ノック制御には極めて繊細な設計やコントロールが行われているようです。
>>80年代の初頭、当時では最先端の技術だったこのAPCの果たした役割は、
エンジンの開発の歴史にとって大きかったと言われています。
>>「レギュラーが使用できる」とありましたがカタログによると厳密には
「ミニマム91オクタン」なので日本の90オクタンのレギュラーガソリンは微妙にダメ?
やはり性能を引き出せるハイオクを入れた方が、結果としてとっていいようです。
過給圧が半分近くまで下がってしまいますからね。
むしろアクセルの開度が増えて、燃費が悪くなってしまいます。