BAMBOO-JET  ~うみの部屋~

タケノコジェットでどこへでも!
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ニューヨークの天使たち

2008-01-26 23:03:50 | 読書感想文
渡辺葉さんの1996年~2006年までのエッセイ。
彼女が住んでたNYやオレゴン州のポートランドが少し出てきます。
もちろんあの日9・11のNYも。。。
そこにあるのは、傷つき恐れながらも、たくましく復活していく、あの街の強さや危うさ、そしてしたたかさです。
私の知ってるニューヨークの奥深さやいい意味での裏切り、そして知らない今も新しく変化していくニューヨークのこと。

サーカス団に入る韓国系アメリカ人、
ハドソン川の向こうのポルトガル人街、
エンパイア・ステートビルのネオンの色、
自分で治すバスタブのモザイクのタイル、
ランドリーで働く中国系インドネシア人のマリア、
あの大停電の夜、
イスラエル人とレバノン人のゲイのカップル、
ちょっと変わった、いろんな人の人生が入り混じる場所。
あまりにもたくさん変わった人が居るから、あの人変わってる?なんて誰も言わないし、個性があるのが当然と思ってしまう。
大切なのはその人の本質やその人自身の生き方です。
この本を見てると懐かしくも、どこか暖かくなります。

本文より・・・ニューヨークは虚構と容赦ない現実と夢の街だ。
夜、ブルックリンからイーストリバー越に、あるいはニュージャージ州からハドソン河越しに眺めるマンハッタンは宝石箱のように輝いている。
けれどその煌きの本当の正体は摩天楼を彩るライティングやネオンではなく、この街を訪れる人々の、幾千、幾億の「夢」なのではないかしら。

ほんとうに対岸から見たマンハッタンはきれいです。
オズの魔法使いに出てくるエメラルドシティはここなんじゃない?なんて真面目に思いますね。カンザスから見たら、マンハッタンのネオンの美しさは別世界かもしれない。

それと対比して、本文に出てくる西海岸のポートランドの生活の穏やかなことといったら、同じ国なのかって思いますね。

○ニューヨークの天使たち 渡辺葉 集英社文庫