BAMBOO-JET  ~うみの部屋~

タケノコジェットでどこへでも!
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月の森に、カミよ眠れ

2008-01-03 22:10:09 | 読書感想文
上橋奈緒子の古代ファンタジーです。
初期の作品ですが、すっごく面白く読めました。主人公たちの語りの部分がすごく多いです。
読んでてなんだか「もののけ姫」の世界を彷彿させる物語だと思いました。実際「もののけ姫」よりも先に本は出版されてるし、実際の舞台となった時代は違うんだけれど、何か共通するところがあります。
古代の日本、まだ神と人間の関係が限りなく近く、人は神に恐れを抱いてた時代。
村の娘(巫女さん)と神との婚姻があったころ。
このお話で出てくる神は山の神や月の森の神など、色々な村や地方でその森や湖、山に住むさまざまな神様が登場します。
舞台となった月の森は蛇の姿をした神です。
そして神の人間との子供である少年と惹かれあう少女と少女に惹かれていく、これまた神と人間との間に生まれた少年の物語。
お互い思いあってるのに、相手が神なので畏怖や村との関係などさまざまな感情が少女を苦しめていく。見てて切ないです。
それに対してすべてを知った上で、それでも自分の思いを伝える少年の最期がなんとも言えず切ないお話です。
結局はラブストーリーでありながら、もののけ姫にも書かれてる神殺しのお話だったんだなぁと。これを境に人の生活は狩猟や採集などの自然の恩恵に頼る生活から、稲作という食糧生産の生活へ変化していく。
少年が少女に妻問いをするシーンの描写がすごくきれいでちょっとうっとりしちゃいます。ほんと上橋作品は奥が深いです。

○月の森に、カミよ眠れ 偕成社文庫 700円 上橋奈緒子