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環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

混迷する日本②  臨時国会閉会 21世紀の新しい社会をつくる法律ができない

2008-01-16 13:16:46 | 政治/行政/地方分権
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昨日のブログで、2006年2月に上梓した「スウェーデンに学ぶ『持続可能な社会』 安心と安全な国づくりとは何か」(朝日新聞社 朝日選書792)の「第5章 経済成長はいつまで持続可能なのか」を「今年2008のメイン・テーマ」として考えていくことにします、と書きました。今日はもう一つ「今年2008のメイン・テーマ」に加えることにしました。それは私の本の「第6章 予防志向の国」という視点です。第6章の要約で次のように書きました。

xxxxx
スウェーデンと日本の違いは、 「予防志向の国」と「治療志向の国」、言い換えれば、「政策の国」「対策の国」といえるだろう。スウェーデンは公的な力で「福祉国家」をつくりあげた国だから、社会全体のコストをいかに低く抑えるかが、つねに政治の重要課題であった。そこで、政策の力点は「予防」に重点が置かれ、「教育」に力が入ることになる。

一方、これまでの日本は、目先のコストはたいへん気にするが、社会全体のコストにはあまり関心がなかったようである。90年代後半になって既存の社会制度からつぎつぎに発生する膨大な社会コストの「治療」に、日本はいま、追い立てられている。 
xxxxx

まず、次の図をご覧ください。

私のこの認識を具体的に検証してみましょう。昨日、1月15日に第168臨時国会が128日間の会期を終え、閉会しました。この国会で政府提出の14本の法案と議員提出の12本の法案が可決成立しました。上の図の私の主張を支持する絶好の資料が、今日の読売新聞に掲載されています。次の2つの記事をご覧ください。



なんと成立した26本の法律のうち、20本が改正法ではありませんか。新法の6法のどれをとっても20世紀の日本を21世紀の新しい日本に導いていく目的の法はありません。

大変な時間を費やした「新テロ対策特別措置法」はまさに現状維持のための法律ですし、「薬害C型肝炎被害者救済法」は典型的な治療的志向な法律です。その他の4本の法律も現状維持の法律の域をでません。

20世紀の社会と21世紀の社会は質的に異なることを政策担当者や政治家は意識し、行動に移さなければなりません。ちなみに、スウェーデンは21世紀を迎えるにあたって10年かけて環境関連法の見直しを行い、21世紀の新しい社会の構築のために「環境法典(Environmentl Code)」(1998年成立、99年1月1日施行)を成立させたのです。


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混迷する日本①  このまま行けば2010年は混乱、2050年は大混乱!?

2008-01-15 12:16:21 | Weblog
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1月も半ばとなりました。昨年1年を振り返ってみますと、日本も、世界も大変な状況に直面しています。難問山積で解決可能かどうはわかりませんが、私の環境論に基づく私の主張は方向性としては間違っていなかったことを確信し、勇気づけられた1年でした。決意も新たに、今年もできるだけ書き続けるつもりです。

日本で唯一の肩書き?



2006年2月に上梓した「スウェーデンに学ぶ『持続可能な社会』 安心と安全な国づくりとは何か」(朝日新聞社 朝日選書792) の「第5章 経済成長はいつまで持続可能なのか」を「今年2008年のメイン・テーマ」として考えていくことにします。第5章の要約で次のように書きました。

xxxxx
環境問題は世界のほぼ全域に広がった、市場経済社会を揺るがす「21世紀最大の問題」と位置づけられるが、主流の経済学者やエコノミストの多くには、そのような認識はほとんどない。第3章で見たように、これまでの経済学は人間と人間の「貨幣による関係」を扱い、貨幣に換算できない関係を無視してきた。経済学の枠組みのなかに、経済活動の本質である「資源・エネルギー・環境問題」の基本的概念が十分にインプットされていないからである。 

こうした、いまとなっては間違った前提に基づき、「持続的な経済成長」というビジョンから抜け出すことのできない経済学者やエコノミストの言説を無批判に受け入れるのではなく、「資源・環境・エネルギー問題」に配慮した、自然科学者の明るくはない未来予測に、耳を傾ける必要があるのではないか。 
xxxxx

図を4点掲げます。多くの説明は必要ないでしょう。

●平成13年版環境白書のp11に掲載されている図を参考に縦書きとした。図の原題は「図1-1-14 問題群としての地球環境問題」。
●この図は私の環境論を裏付けしてくれる貴重な図である。環境省はこのようなまっとうな図を掲げているが、政府の行動はこのような認識には立っていない。
●この図が示すように、現象的には様々な環境問題が同時進行している。けれども、マスメディアの報道は富に温暖化にシフトしているように思える。

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自然エネルギーにCO2削減効果はあるだろうか?

2008-01-14 07:29:52 | 原発/エネルギー/資源

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今日はまず、1月5日の朝日新聞に掲載された次の記事をしっかり読んでください。これまでに設置した風力発電装置がトラブルを起こしているという記事です。




今日のテーマは、この記事に書かれているようなトラブルがまったくなく、設置したすべての風力発電装置がすべて順調に稼働している場合、「地球温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)を削減する効果はあるだろうか」です。「自然エネルギーは地球温暖化の原因であるCO2の排出を削減する効果があるだろうか」と問われたら、みなさんはどう答えるでしょうか。



私の考えでは、風力、太陽エネルギーなどの自然エネルギーはCO2排出の少ない発電装置ではありますが、CO2削減装置ではありません。ですから、その設置自体にはCO2の削減効果はまったくありません。 それにもかかわらず、自然エネルギーの利用が期待され、CO2削減効果を発揮すると考えられるのは次のような大前提がある場合です。これは、自然エネルギーがCO2をほとんど増やすことなく発電することができるからです。



あえていえば、「LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)」(原材料の採取から製造・流通・使用・廃棄に至るまでの製品の一生涯であるライフ・サイクルで環境に与える影響を分析し、総合評価する手法)の観点からは、この風力発電の設置によって逆にCO2を増加させた可能性があるのではないでしょうか。
 
自然エネルギーに関心を持っておられる市民の方々、自然エネルギーの普及活動を熱心に続けておられる方々、自治体の方々、そして自然エネルギーの専門家と称される方々にお尋ねしたいと思います。ちなみに、私は自然エネルギーに非常に関心を持ってはいますが、自然エネルギーの研究者でもなければ、自然エネルギーの普及活動をしているわけでもありません。率直なところ、私が抱いてしまった疑問が間違っているのかどうか皆さんのお考えを聞かせてほしいのです。

最初に掲げた朝日の記事には、「風力発電の普及に取り組む独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、02年度に576基だった国内の風力発電は、06年には1314基に急増」と書かれています。私の考えでは、これらのほとんどは設置しただけで、得られた発電量に相当する化石燃料の削減措置をとっていないのではないかと思います。 だとすれば、せっかくの努力と設置のための費用が初期の目的を達していないことになります。

NEDOで自然エネルギーを担当している方々、真剣に自然エネルギーの普及活動をなさっている方々、自治体で新エネルギーを担当している方々、環境省や経済産業省で自然エネルギーを担当している方々、この分野の学者、研究者の方々、そして、上の記事を書いた記者の方、誰でもけっこうですが、私の疑問にすっきりと答えてください。お願いします。

今日は風力発電を例にあげましたが、他の自然エネルギー(太陽光、バイオマス、地熱など)や原子力エネルギーでも考え方は基本的には同じです。 ただし、原子力エネルギーの場合は、発電規模が圧倒的に大きいこと、大量に排出される「温排水の問題」、原子力エネルギーに特有の「核廃棄物の処理」や「放射線管理」という、避けては通れない未解決の難問があり、自然エネルギーとは比べられないほど大きな困難な問題を抱えることになります。

私は自然エネルギーの利用を否定しているのではありません。逆に、自然エネルギーの利用を増やしていかなければなりません。その点を誤解しないようにお願いします。


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どちらのエネルギー体系が環境にやさしいか?

2008-01-13 23:19:08 | 原発/エネルギー/資源
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昨年は「低炭素社会(Low Carbon Society)」という概念が未消化のまま日本社会に定着してしまったような感じがします。なぜかマスメデイアが積極的にこの言葉を多用しているようです。そして、原発の出番かも、と考えている方々もかなりいらっしゃるようです。

そこで、問題をひとつ差し上げましょう。問題が簡単なら、答えも簡単だ、と私は考えますが、皆さんはいかがですか。この問題を真剣に考えてみてください。


左側のエネルギー体系は「原発と化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)」で構成されています。右のエネルギー体系は左のエネルギー体系の上に自然エネルギーを加えたものです。


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ボリンさんの追悼記事

2008-01-12 22:57:05 | 温暖化/オゾン層
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昨日の朝日新聞の夕刊に、IPCC初代議長のボリンさんの追悼記事が掲載されました。謹んで哀悼の意を表します。


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11月の景気動向指数

2008-01-11 12:39:32 | 経済
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今日の朝日新聞が、内閣府が1月10日に発表した「昨年11月の景気動向指数」を報じています。この記事には図が掲載されておりませんので、わかりにくいかもしれませんが、記事中に出てくる指標がどのようなものなのか、なぜ私がこの指標に注目しているのかは過去のブログ記事を参照してください。


毎日新聞には、見慣れた図が掲載されていました。

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ブログ・カテゴリーの変更

2008-01-10 20:58:20 | Weblog
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2007年1月1日に開設したこのブログが1周期を迎え、この間に掲載した記事も450本を超えました。これだけ記事の本数が増えてきますと、カテゴリーの変更の必要を感じるようになりました。


とりあえずの試みとして今年はカテゴリーを17に分類してみました。しばらくこのカテゴリーを続けてみます。1周年の記念として、昨年1年の10のカテゴリーにつけたブログ・パーナーをまとめてみました。カテゴリーのタイトルを変えることによって、今まで見えてこなかったことが見えてくるようになると共に、このブログ・バーナーを見ていただくと私の主張がはっきりするでしょう。


(1)Weblog



(2)市民連続講座:環境問題、月別記事一覧



(3)市民連続講座:緑の福祉国家



(4)国際社会、今昔



(5)スウェーデンは今



(6)スウェーデン、あの日・あの頃



(7)日本は今

 

(8)日本、あの日・あの頃



(9)予防志向の国・治療志向の国



(10)えっ! どうして?





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正月番組「温暖化」:サンデープロジェクト他

2008-01-09 22:03:55 | 温暖化/オゾン層
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今年2008年は1997年の京都議定書の約束期間の始まりの年であり、7月7日~9日には洞爺湖サミットが予定されています。マスメディアの「環境問題に対する意識」を客観的に知るには最適の新年の幕開けではありましたが、この国のマスメディアは相変わらず芸能、エンタメ、スポーツに力点が置かれているようです。

今日までに放映されたテレビ番組の中から「環境問題」に関する次の番組を見ました。いずれも「地球温暖化」に関するものです。

1月2日(水)午後10:10~12:00
NHK BS1

  第一部  NASA科学者 ジェームズ・ハンセン(インタビュー:毛利 衛
  第二部   経済学者   ニコラス・スターン(インタビュー:枝廣淳子)

1月4日(金)午後07:00~11:00
テレビ朝日

開局50周年記念~地球危機2008~ 古舘伊知郎が本気で伝えます・・・・地球温暖化で今何が起きているか 

1月6日(日)10:00~11:00
テレビ朝日
サンデープロジェクト「新春とことん激論SP 地球温暖化対策」

司会:田原総一朗
討論者:月尾嘉男・東京大学名誉教授、鴨下一郎・環境大臣、塩崎恭久・元官房長官、桝本晃章・日本経団連地球環境部長、嘉田由紀子・滋賀県知事、福山哲郎・参議院議員(民主党)

番組を見ながら気づいたことを、私自身のためにメモしておきます

(1) J.ハンセンさん

地球の平均気温(地球全域の1年間の平均)という尺度を用いて観測が行われている。現在の地球の平均気温は14℃で、20世紀初めに比べて0.8℃上昇、特に1980年以降、上昇スピードが加速している。これはCO2濃度が上がったためである。
② CO2貯蔵技術が実用化されるまで、これ以上の石炭の利用を止めなければならない。それまで再生可能エネルギーで石炭を徐々に替えていかなければならない
③ 個人が行動するのではなく、政治家にこの問題を解決してほしいと伝えることだ
科学が明らかにした事実を政治が真剣に受け止めなければならない。
⑤ 最も大切なことをメッセージに書いてほしいという毛利さんの求めに応じてボードに書いたのは「COAL 80% of Solution」だった。
⑥ これから数年以内に本格的な行動を起こさなければならない。
石炭の利用を制限しなければならないというメッセージは強いが、原発についてはまったく触れていない

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(2) N.スターンさん

① カーボン・フットプリント、カーボン・オフセットという概念が語られた。
② 自動車のガソリンを購入する場合を考えると、ガソリンの原価にガソリンスタンドの利潤が上乗せされた金額を我々は通常払うが、ガソリンの使用により生ずるCO2に対してはなんら対価を払っていない。これまでの経済学ではこのことが無視されてきた。炭素に値段をつけて、炭素の排出が意識されるような経済行為に変えていかなければならない。
炭素に値段をつけるという考え方の実例としてスウェーデンの対応が紹介されている:運輸部門における環境税の導入、バイオ燃料エタノールの導入、都心に入る際の「渋滞税」の導入。エコカーの導入促進。
スウェーデンの21世紀住宅(無暖房住宅)の紹介。エネルギー源は太陽光と暮らしから出る熱、人間の体温、厚さ45cmの断熱材の使用。窓ガラスは3重構造、優れた熱交換機の開発・利用。
⑤ EUにおける排出量取り引きの導入。企業への排出枠は国が決める。現在、EUを中心に、米国やオーストラリアにも徐々に広がっている。
⑥ ロンドンの銀行がテレビ会議システムを導入 (私はこの考えには現時点で異論がある)  現時点で世界が排出しているCO2量(人為的排出量)は約70億トン、自然が吸収できるCO2の量は約30億トン、したがって、CO2の排出量を半分以下にしなければならないと自然科学者は言っている。
⑧ 個人にできることはたくさんある。人々がこの問題の重要性に気付いて、政治を動かさなければならない
⑨ 枝廣さんの求めに応じてボードに書いたキーワードは「現状を理解する、政府に訴える、行動する」であった。
原子力については一言も触れていなかった。あの分厚いスタンレー・レビューで原子力はどう扱われているのだろう。

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環境政策における経済的手法とは②(07-03-27) 

緑の福祉国家15 気候変動への対応④ 


(3) 開局50周年記念~地球危機2008~

世界のあちこちで大変なことが起こっていることが美しい映像を通して視聴者に投げかけられる。みごとではあるが、しかし、その対応策についてはほとんど触れられていない。


(4) サンデープロジェクト

日本がこの問題にいかに真剣に取り組んでこなかったかがわかる。 
② 97年の京都会議の議長を決める時に、国際会議では英語が話せなければならないので、外交官である大木浩さんなら英語が話せるという理由で議長を選んだという。
③ 安倍前政権官房長官を務めた塩崎さんによれば、昨年1月の安倍首相の施政方針演説に 「21世紀環境立国戦略」という言葉を入れるために、一昨年末より環境問題を真剣に考えるようになった。三大臣会合(環境大臣、経済産業大臣、外務大臣)で会合を持ったが、すぐ会合は決裂してしまった。ここに内閣府が入って調整することになった。

④ パネリストの中では福山さん(民主党参議院議員)が最も的確に問題を理解していることがわかった。私は「日本が世界に冠たる省エネ国家」だということには同意できないが(省エネ技術を持った国であることは認めるが、省エネ国家ではないというのが私の見解だ)、その他は全面的に同意する。 
司会の田原さん は今まで景気回復、経済成長一点張りの姿勢を貫いてきたので、環境問題の重要性は表面的にしか理解していないようにみえる。

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94年の朝まで生テレビ:評論家田原総一朗の「環境認識」(07-01-28)



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「地球温暖化問題」についての世論調査の結果 2つ

2008-01-08 23:22:32 | 温暖化/オゾン層
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「地球温暖化問題」に対する世論調査の結果が2つの新聞社から公表されました。一つは毎日新聞(2008年1月6日)で、もう一つは朝日新聞(2008年1月7日)です。



質問も回答も似たものですので、調査結果の詳細はそれぞれの紙面をご覧いただき、皆さんご自身でお考えください。この調査結果に対する私の印象は「環境問題を常に矮小化してきた日本の、特に1988年以降20年間の官民あげての啓発活動が見事なまでに功を奏し、地球温暖化を含めた環境問題の危機感を薄めてしまった」ということです。

毎日新聞には世論調査の結果に対するお二人の識者のしっかりしたコメントが出ています。そこで、私はお2人のコメントにコメントをしておこうと思います。

最初は西岡さんのコメントへのコメントです。

私は西岡さんのこのコメントに全面的に賛同します。「特に若い世代で生活を変えることに拒否感があることだ。これをぬぐい去るには、政府や研究者が、地球温暖化は人間の力で克服可能であり、そのためにはどのような道筋を歩むべきなのか、ビジョンを示すことが大切だ」、「日本のやるべきこととして、技術面を挙げる人が多かった。だが、同時に社会システムの変革を成し遂げることが重要だ」というお考えは、私の主張と完全に一致します。この点こそ、私が90年代の早いころから主張し、他の先進国よりもスウェーデンの行動を高く評価しているところだからです。次の2つの図をご覧ください。


最初の図は日本とスウェーデンのビジョンの相違です。そして2番目の図は、スウェーデンの首相が1996年の施政方針演説で「21世紀前半社会のビジョン」を掲げたのに続き、1999年の国会での施政方針で述べた「生態学的に持続可能な社会(緑の福祉国家)」の国家像です。

ここで重要なことは、21世紀のビジョンである「緑の福祉国家」20世紀の安心と安全を保障してきた「福祉国家」をベースにして、21世紀最大の問題である環境問題にも耐えられるように設計しようというわけですから、国民にとっては現在よりも安心であり、希望があるということです。ですからスウェーデンの国民にとっては十分に実感できる国家の再設計なのです。世論調査の質問にあるように、「今の生活レベルを下げることができるか」という発想ではありません。

スウェーデンはこの10年間で着実に成果を上げています。具体的な成果についてはカテゴリー「社会/社会的合意形成」を参照してください。そのいくつかを見つけることが出来るでしょう。その中から次の関連記事2つを取り上げます。

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20世紀の「福祉国家」を21世紀の「緑の福祉国家」(生態学的に、あるいはエコロジー的に持続可能な社会)への道筋については、このブログの「市民連続講座:緑の福祉国家1~63」を参照してください。ここには、西岡さんがおっしゃる「ビジョンを実現するための道筋」が書かれています。

そこで、あえて西岡さんにお尋ねします。ご存知だと思いますが、2005年に小泉政権の経済財政相であられた竹中平蔵さんが指示して作り上げた 「日本21世紀ビジョン」 をどう評価しますか。私は、この「日本21世紀ビジョン」は西岡さんたちが構想するビジョンとは整合性のない「20世紀的な発想に基づくビジョン」だと考えますが、いかがでしょうか。このビジョンの目標年年次は2030年となっています。


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次は筑紫さんのコメントへのコメントです。

あえて、2006年2月に上梓した私の本「スウェーデンに学ぶ持続可能な社会:安心と安全な国づくりとは何か」(朝日選書792 朝日新聞社)の「おわり」に紹介した学生の言葉を紹介しておきましょう。

●小学6年生の頃から酸性雨や温暖化、オゾン層の破壊、森林破壊、エネルギーの枯渇など環境問題は非常に深刻な事態だと教えられてきたが、それほど深刻に考えたことはなかった。五感で感じられなかったし、自分から遠く離れた外国のことだと思っていたからだ。この授業を受けて世界の未来が危ないという事態に震えが起きた

●環境問題と経済活動を一緒に見てきた授業はこれまでまったくなかった。環境問題をどうやって解決するかを考える前に、いまの経済活動のあり方を考え直し、持続可能な社会をつくっていくことが大切だと思った。

●環境問題はその国の環境に対する考え方や取り組みだけでなく、その国の政治的な見通しや経済活動もかかわってくる問題であることを初めて知り、すごく驚いた。


 
判断基準や見方を変えれば、「新しい可能性と希望」が生まれることを、学生は私の講義からくみとってくれたようです。

生活のレベルを下げることができるか」という問いに、20代で「できない」が「できる」と答えた人の割合より多かったのはむしろ当然ではないでしょうか。上記の3人の学生が書いていますように、日本では環境問題が矮小化され多くの識者や政治家が「日本は世界に冠たる省エネ国家」(安倍前首相もそう言っていましたが、私は異論があります)、「日本の優れた環境技術」(私は公害防止技術だと思います。環境問題と公害は同義語ではありません)などと語り、あたかも日本が世界の最先端を行っているかのような幻想をふりまき、マスメディアも十分な検証もせず、追従している現状では、20代の多くの人には環境問題の本質は理解されていないでしょう。

「事態の深刻さを もっと説明を」はそのとおりだと思います。与えられる情報の質によって結果は異なります。私の学生の反応を見れば明らかでしょう。日本とスウェーデンの国民の意識を比べると次のようになるというのが私の理解です。




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北欧はここまでやる。 週刊東洋経済1月12日号が特集

2008-01-07 22:15:25 | 少子高齢化/福祉/年金/医療
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最寄りの駅のキオスクで「北欧はここまでやる・ 格差なき成長は可能だ!」という大変派手な見出しのビジネス雑誌を見つけました。「週刊東洋経済」(東洋経済新報社 2008年1月12日号)で、今日が発売初日です。



特集の内容は、このブログでも数回掲載した「環境問題の社会的な位置づけ」(下図)が示す「日本における数々の社会・経済問題がなぜ北欧諸国ではうまく機能し、成果を上げているのかを日本の現状と対比しながら解説したものです。 
 

総ページ142ページ中、この特集に40ページ(p36~77)が割かれています。経済専門のビジネス誌とはいえ、これほどのページ数を割きながら、 「環境問題への北欧の対応」に触れた部分がまったくないのはどういうことなのでしょう。20世紀と同様に、日本の代表的な経済専門のビジネス誌も今なお「経済活動」と「環境問題」は別物と考えているのでしょうか。 私が注目したのはこの特集記事そのものよりも、この雑誌のp28の「編集部から」の記述でした。最初の図の赤網をかけた部分です。
 
特集記事を担当した企画者に「アドバイスをした多くの方々」と称される識者(エコノミスト?、その道の専門家?)は未だ20世紀的発想の域から抜け出ていないのでしょうか。赤網をかけた部分は北欧諸国にできて日本にできない問題に直面すると必ず出て来たセリフです。20年以上前から、言われ続けているこのセリフがまだ生きているとは・・・・・

このような発言をする「日本の識者」には90年代に始まり、2000年には顕在化した「国際社会の大潮流の変化の意味」が理解できないのではないでしょうか。

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前途多難な日本の温暖化対策

2008-01-06 23:50:31 | 温暖化/オゾン層
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今朝の朝日新聞は昨年1年間の日本の温暖化対策に関する動きを総括しています。昨日、一昨日に書いた「スウェーデンの対応」と「日本の認識と対応」にあまりに大きな落差があることを皆さんはこの記事から知ることができるでしょう。


15年前の地球サミット(1992年)から始まって、2001年のドイツのボンCOP6、そして昨年12月初旬のバリ島でのCOP13と、この15年間の日本の環境分野のパフォーマンスに対する国際社会の評価は必ずしも芳しいものではありませんでした。これらの好ましくはないイメージを日本は今年の洞爺湖サミットで払しょくできるのでしょうか。改めて、次の関連記事をごらんください。

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2008-01-05 17:31:03 | 温暖化/オゾン層
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昨日、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の初代議長であられたボリンさんの訃報に触れました。この機会に、20年前にタイムスリップしてみましょう。

IPCCはUNEP(国連環境計画)とWMO(世界気象機関)との共催の下で、1988年6月に設置が決定され、その年の11月に第1回会合がスイスのジュネーブで開催されました。この組織は地球温暖化問題に取り組む中心的機関として多くの国の参加と支持を得て活動を開始しました。

IPCCは1990年秋をめどに、最初の報告書を作成することが合意されました。1988年創設当時のIPCCの組織図は次のようでした。


人類史上初めて経験する「地球温暖化」という未知の大問題に対するIPCCの初代の議長国の任についたのはスウェーデンで、その初代議長がスウェーデンの気象学者ボリンさんでした。昨日の記事が示しますようにボリンさんは1988年から97年まで議長を務めました。この組織図をみますと、それぞれの国の得意分野が割り当てられているように思います。スウェーデンは科学的な知見をベースに合意を形成するのが得意な民主主義の成熟度の高い国であることはこれまでにも何回か述べてきました。そして、米国や日本と違ってシステマティックな考えをするフロンティア国家です。

関連記事

世界の科学研究の動向調査:存在感が薄い日本の「環境分野」(07-06-29) 



次に、18年前に、先進工業国がこの未知の問題に対して掲げた11カ国の「CO2の削減目標」を報ずる記事を紹介します。ここに掲げられた目標に対して、実績がどうであったかは、すでに明らかになっています。下の二つの図を比較してみてください。



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UNFCCCが公表した温室効果ガス排出量 1990-2005年(11/23) 



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IPCCの初代議長 バート・ボリンさんが死去

2008-01-04 11:55:18 | 温暖化/オゾン層
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今朝の朝日新聞で、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)初代議長を務められたベルト・ボリンさんが亡くなられたことを知りました。私もスウェーデン大使館で環境問題を担当していた時に数回お目にかかったことがあります。ボリンさんのご冥福をお祈りします。


今年は京都議定書の約束期間の開始の年でもあり、また6月には洞爺湖サミットで「気候変動」が主テーマになっていることから、日本のマスメディアの報道もこれから夏に向かって活発になるでしょう。あらためてボリンさんの追悼特集記事などが組まれるかもしれませんので、今日は17年前の1991年1月28日の朝日新聞の記事を紹介します。



読んでいただくとおわかりのように、17年前の講演ではありますが、内容的には昨日行われた講演だといっても誰も疑わないほど新鮮さを失っておらず、科学者の洞察力のすごさを印象づけられます。

科学者の洞察力のすごさという点では、同じくスウェーデンの科学者で「化石燃料の使用により大気中のCO2が増えると地球が温暖化する」という仮説を112年前の1896年に唱えたアレニウスを思い出しましょう。


関連記事

緑の福祉国家12 気候変動への対応 ① 


科学的知見を政治家が取り上げて行動に移します。このブログで何回も取り上げた故パルメ首相の言葉「科学者の役割」と「政治家の役割」です。


そして、次のような成果が生れています。

関連記事

2つのフロンティア国家と日本、1970年、1997年、そして現在


こうして見てくると、人類史上初めて私たちが直面した「気候変動(地球温暖化)」という21世紀最大の問題への「現実的な対応の枠組み」がわずか人口900万人の小国スウェーデンの「環境政策と政治」にその原点を見ることができます。

科学者アレニウス→科学者ボリン→政治家パルメ首相→政治家カールソン首相→政治家ペーション首相→政治家・現政権ラインフェルト首相


スウェーデンの考え方、行動方式は非常に普遍性が高いことがおわかりいただけるでしょう。「人口がすくない、経済規模が小さい」といった表面的な印象結果でものごとを判断してきた日本の識者やマスメディアはスウェーデンに対する見方を大きく変える必要があるのではないでしょうか。



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12月のブログ掲載記事  

2008-01-03 19:44:19 | 月別記事一覧
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1.35年間の虚しさ:1972年の「GNP至上反省」と2007年の「偽」、でも、まだ希望はある!(12/31)

2.「経済学者」と「工学者」の見解の相違(12/30) 

3.来年4月から「景気動向指数」をDI方式からCI方式に変更(12/29) 

4.日本の2006年の名目GDP:世界の10%を割る(12/28) 

5.日本人の一人当たりGDP OECD30カ国中18位、そして・・・・・(12/27)   

6.時には他人の意見も聞いてみよう、「新空気の研究」(12/26) 

7.クリスマスプレゼントとしての「日本の論点」(12/25) 

8.環境問題のまとめ ④企業の生産条件の劣化(12/24) 

9.環境問題のまとめ ③人間の生存条件の劣化(12/23) 

10.環境問題のまとめ ②生態系の劣化(12/22) 
 
11.環境問題のまとめ ①環境問題とは(12/21) 

12.東海大学湘南公開セミナー 「21世紀前半の最大の問題:環境問題-原因は経済活動の拡大-」(12/20) 

13.21世紀にめざすべき「持続可能な社会」の構築への法体系が未整備な日本(12/19) 

14.環境省が「地球温暖化対策推進法改正案」を検討(12/18) 

15.国と地方の役割分担② 主役の変更:国から地方へ(12/18) 

16.国と地方の役割分担①(12/17) 

17.環境基本法成立から14年⑪ 中央公聴会での質疑応答を終えた私の感想(1/16) 

18.環境基本法成立から14年⑩ 中央公聴会での質疑応答-その4:柳田委員とバトル(?)(12/15) 

19.環境基本法成立から14年⑨ 中央公聴会での質疑応答-その3:情報公開、海外での企業の倫理規制(12/14) 

20.環境基本法成立から14年⑧ 中央公聴会での質疑応答-その2:環境教育、エネルギー政策(12/13) 

21.10月の景気動向指数(12/12)  

22.環境基本法成立から14年⑦ 中央公聴会での質疑応答-その1 環境計画、アセスメント、情報公開(12/12) 

23.環境基本法成立から14年⑥ 中央公聴会での意見陳述-その4(最終回):環境問題の本質(12/11) 

24.環境基本法成立から14年⑤ 中央公聴会での意見陳述-その3 この法案の最大の欠陥(12/10) 

25.温暖化対策実行ランキング:スウェーデン1位、日本42位(12/9) 

26.環境基本法成立から14年④ 中央公聴会での意見陳述-その2 「環境保全」の意味が明確でない(12/9) 

27.環境基本法成立から14年③ 中央公聴会での意見陳述-その1:エコロジー的視点が欠落している(12/8) 

28.環境基本法成立から14年② 不十分なので、このままで私は反対だ!(12/7) 

29.環境基本法成立から14年①(12/6) 

30.あらためて、「温室効果」と「温室効果ガス」について(12/5) 

31.1992年の地球サミット:「環境問題をリードしてきた国」と「そうでなかった国」(12/4)  

32.06年の米温室ガス減少 ブッシュ大統領が声明を発表!(12/3) 

33.COP13直前の地球温暖化に対する「政府の意識」、「企業の意識」、そしてある高校生の投書(12/2) 

34.11月のブログ掲載記事(12/1) 





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「気候変動をはじめとする環境問題」の解決と「民主主義」

2008-01-02 15:49:17 | 温暖化/オゾン層
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昨日のブログで、2007年12月31日現在で、京都議定書の目標値をクリアーし、経済的パフォーマンスも良好な先進工業国としてスウェーデンをあげました

スウェーデンにできて日本にできない問題に直面すると、「スウェーデンは人口900万人だが、日本は1億2000万人、それに経済規模も違うし……」というステレオタイプの反応を示す識者が、日本にはかなりいます。 

しかし私は、世界に共通する環境問題、エネルギー問題、そのほかの経済・社会問題に対して、スウェーデンがほかの先進工業国とは一味違う先進性のある取り組みを展開するのは、人口の大小や経済規模の違いというよりむしろ 「国民の意識」 「民主主義の成熟度」 の問題だと思います。  

環境問題への対応で世界の最先端を行くスウェーデンの環境戦略を特徴づけるのは、その前提として「環境問題の明確な社会的位置づけ」ができていること、





そして、  「明確な政治のリーダーシップ」です。


まず政治家が自然科学の知見に基づいて「ビジョン」を掲げ、ビジョンを実現するために「整合性がある包括的で柔軟な法律あるいはガイドライン」と「政策」を国会で審議し、可決あるいは承認を得たうえで、政策目標達成の手段として法律を活用していること、さらに政策目標達成の進捗状況を国会でフォローしながら、たえず見直しが行なわれている点にあります。

スウェーデンの民主主義の話になると、いつも思い出すスウェーデンの識者からの発言を3点あげておきます。

①故パルメ首相の言葉
  「問題への対応」について


現実は社民党の最大の敵である。社民党は社会の問題点を絶えず先取りしながら、現実を改良し、現在の福祉国家を築きあげた。


②故パルメ首相の言葉
  「科学者の役割と政治家の役割」について

科学者の役割は、事態があまり深刻にならないうちに事実を指摘することにある。科学者は、政治家にわかりやすい形で問題を提起してほしい。政治家の役割は、科学的な判断に基づいて政策を実行することにある。その最も具体的な表現は、政府の予算だ。政策の意図が政府の予算に反映されることが必要だ。

③T.R.ャールホルム・ストックホルム大学物理学教授
  「スウェーデンの国会決議」について

スウェーデンのエネルギー政策の将来を理解するカギは政策の中にあるのではなく、政治の中にある。我々にとって民主主義は、どんなエネルギー政策よりも重要である。2010年までにすべての原子炉を廃棄するという「国会決議」がある限り、われわれは法にしたがい、あたかも最後の原子炉を2009年12月31日までに廃棄するよう計画を立てることになる。
しかし、このようなことは起こらないであろう。代替供給策がないというエネルギー技術の現状を考え合せると、私の結論は、原子力は廃棄されないであろうということだ。



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