環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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不十分な日本の「省エネルギー」という概念、  正しくは「エネルギー効率の改善」という概念だ!

2007-11-26 23:18:26 | 原発/エネルギー/資源
 

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日本のエネルギー関係者、産業界の技術者、経済評論家、最近になっては政治家にまで、「わが国の省エネは世界の最高水準にある」とか「世界に冠たるわが国の省エネ技術を世界に!」という方々がおります。そして、その傾向は、地球温暖化への対応とともに、最近再び高まってきています。
 
そこで今日は、日本の「省エネルギー」という概念について少し考えてみましょう。日本で省エネルギーというときには個々の部門、たとえば、鉄鋼業では原単位当たり、これだけの消費量が少なくできたとか、あるいは家電製品で言えば10年前の冷蔵庫よりも現在の冷蔵庫は消費電力が3分の1ですむようになったとか、どちらかと言うと、「ある特定の産業部門や製品個々の技術による省エネルギー」が中心になっているように思います。











「環境への負荷」を考えるときには、このような「個々の省エネルギー化」、言い換えれば「技術による省エネルギー化」というのは生産規模が拡大したり、製品の使用量が増えればせっかくの省エネルギーのための努力がエネルギーの消費量と相殺されてしまい、結果的には日本全体のエネルギー消費は増大し、「環境への負荷」は高まってしまうのです。



同じようなことがすでに日本の「窒素酸化物低減対策」の中で言われています。日本の自動車1台当たりの窒素酸化物の排出量削減技術は世界最高水準を達したとは言うものの、日本の保有台数が同時に増えてしまったので、窒素酸化物の年間総排出量は逆に増えてしまったと言うわけです。

このような観点からすると、日本は省エネ技術を持った国で「エネルギーの効率化」は改善されていますが、省エネルギーは不十分であることがわかります。つまり、日本でいう「省エネルギー」というのは「エネルギーの効率化」を意味しているのです。このことは、次の図からも明らかなように、日本企業における「省エネ意識」がコスト論では論じられてきましたが環境論では論じられてこなかったことからも明らかです。



このように環境問題を視野に入れた時に重要な省エネルギーとは日本が国内が国際社会に向けて主張している「技術による省エネルギー」(エネルギー効率の改善)という狭義の省エネルギーではなくて、まずは個々の企業の、そしてそれらの企業が属する産業部門の、そして産業界全体の、そして最終的に「国全体のエネルギー消費量を削減する省エネルギー」なのです。ですから、地球温暖化対応としての省エネは「日本の発想のようなコスト削減のための省エネ」ではなく、「国全体のエネルギー消費を削減することをめざした省エネ」でなければならないのです。

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