環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「環境基本法」成立から14年⑥  中央公聴会での意見陳述―その4(最終回):環境問題の本質

2007-12-11 07:47:11 | 政治/行政/地方分権


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私は、今提出されている法律については、もっともっと議論する必要があると思いますので、その議論をするときの多少材料になればと思いまして、この私の資料の後ろの方に幾つかの絵をたくさん載っけておきました。この中で言いたいことはたくさんありますけれども、環境への負荷というのについてちょっとお話をしたいと思います。 

今起こっている環境の問題の本当に重要な点は何かといいますと、私は、人体への負荷が高まる、こういうことだろうと思います。この「環境への人為的負荷」という題をつけた絵を見ていただくとわかりますけれども、環境には、交通だとか産業活動だとか農業だとかエネルギーの使用だとか、そういうものが負荷を与えております。そして、戦争こそ最大の環境問題だというのがスウェーデンの認識であります。そして、その負荷が大気とか水とか食物を通じて私たちの健康にはね返ってくる、こういう状況が環境問題の一番重要な点であります。

そして、それをもう少し具体的に書いたのが、その下の「人体への負荷」という絵でございます。私たちの人体には様々な負荷がかかっております。例えば、私たちはどう頑張っても、光を浴び、空気を吸い、水を飲み、動植物しか食べられない。我々人類の二百万年の歴史の中で、この機能は全然変わっていないわけです。しかし、この二百年ぐらいの科学技術の発達によって、汚染物質が大分環境に出てきて、それが我々に負荷を与えている、こういう認識がやはり必要だろうと思います。

特に、持続可能な開発などということを考えるときには、こういう認識がないといけないと思います。このことは余りにも私たちは今までに考えてこなかった。考えてこなかったけれども、二百万年続いたわけです。しかし、今これが危ないんだということに気がついた、これが環境問題の本質だろうと私は思います。 

そして、あとはこの絵を見ていただくとわかると思いますけれども、私がもう一つここで言いたいことは、この図の中に「今日の決断と将来の問題」というタイトルをつけたのがあります。今私たちが悩まされている環境問題というのは、実は今に原因があるのではないと思います。数十年前に決断したことが、現在の環境問題として顕在化している、こういうふうに私は理解をいたします。そのように理解しますと、今日決断したことは数十年先の問題を決めてしまう。これは別に難しい問題でも何でもないわけです。

したがいまして、今私たちが必要もないとんでもない構造物をつくったとすると、その構造物が、当然寿命があるわけですから、三十年、四十年生き続けるわけです。そうしたときに、たくさんのごみを排出し、電気を使うというようなことになると思います。 

したがいまして、私が言いたいことは、今決断すると言うことは、先を十分に読んで決断すべきである。特に、不動産を利用して、建造物を立てる、あるいは製造設備をつくる、こういう場合にはそういう認識を十分にする必要があるだろうと思います。 

ちょうど時間になりましたので、これで私のお話を終えたいと思います。ぜひとも私は大議論をやりたいと思いますので、どうぞたくさんの質問をしてくださることを願っております。

どうもありがとうございました。(拍手)

高橋委員長代理 
ありがとうございました。                         
以上で公述人のご意見の開陳は終わりました。

X X X X X


中央公聴会で与えられた15分の私の「意見陳述」 を4回に分けて掲載しました。その趣旨はそれぞれ、次のとおりです。

第1回:法律には、国家、自治体、司法、国民などの活動をいろいろな形で縛る側面があると同時に、国民を教育する効果があること。日本の環境法体系の中に「エコロジーの視点」が欠落していること。

第2回:「環境保全」という言葉の意味が明確でないこと。

第3回:この法案の最大の欠陥は「既存の開発型の法律群」に影響を与えなさそうこと。日本とスウェーデンの「環境問題に対する認識」には20年の落差があると思われること。

第4回:環境問題の本質(「人為的負荷の増大」と「人体への負荷の増大」)。「今日の決断」と「将来の問題」。

明日からは、委員との「質疑応答」の場面です。





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