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今年2008年は1997年の京都議定書の約束期間の始まりの年であり、7月7日~9日には洞爺湖サミットが予定されています。マスメディアの「環境問題に対する意識」を客観的に知るには最適の新年の幕開けではありましたが、この国のマスメディアは相変わらず芸能、エンタメ、スポーツに力点が置かれているようです。
今日までに放映されたテレビ番組の中から「環境問題」に関する次の番組を見ました。いずれも「地球温暖化」に関するものです。
1月2日(水)午後10:10~12:00
NHK BS1
第一部 NASA科学者 ジェームズ・ハンセン(インタビュー:毛利 衛)
第二部 経済学者 ニコラス・スターン(インタビュー:枝廣淳子)
1月4日(金)午後07:00~11:00
テレビ朝日
開局50周年記念~地球危機2008~ 古舘伊知郎が本気で伝えます・・・・地球温暖化で今何が起きているか
1月6日(日)10:00~11:00
テレビ朝日
サンデープロジェクト「新春とことん激論SP 地球温暖化対策」
司会:田原総一朗
討論者:月尾嘉男・東京大学名誉教授、鴨下一郎・環境大臣、塩崎恭久・元官房長官、桝本晃章・日本経団連地球環境部長、嘉田由紀子・滋賀県知事、福山哲郎・参議院議員(民主党)
番組を見ながら気づいたことを、私自身のためにメモしておきます。
(1) J.ハンセンさん
① 地球の平均気温(地球全域の1年間の平均)という尺度を用いて観測が行われている。現在の地球の平均気温は14℃で、20世紀初めに比べて0.8℃上昇、特に1980年以降、上昇スピードが加速している。これはCO2濃度が上がったためである。
② CO2貯蔵技術が実用化されるまで、これ以上の石炭の利用を止めなければならない。それまで再生可能エネルギーで石炭を徐々に替えていかなければならない。
③ 個人が行動するのではなく、政治家にこの問題を解決してほしいと伝えることだ。
④ 科学が明らかにした事実を政治が真剣に受け止めなければならない。
⑤ 最も大切なことをメッセージに書いてほしいという毛利さんの求めに応じてボードに書いたのは「COAL 80% of Solution」だった。
⑥ これから数年以内に本格的な行動を起こさなければならない。
⑦ 石炭の利用を制限しなければならないというメッセージは強いが、原発についてはまったく触れていない。
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社会的合意形成⑥ 科学者と政治家の役割(07-03-05)
(2) N.スターンさん
① カーボン・フットプリント、カーボン・オフセットという概念が語られた。
② 自動車のガソリンを購入する場合を考えると、ガソリンの原価にガソリンスタンドの利潤が上乗せされた金額を我々は通常払うが、ガソリンの使用により生ずるCO2に対してはなんら対価を払っていない。これまでの経済学ではこのことが無視されてきた。炭素に値段をつけて、炭素の排出が意識されるような経済行為に変えていかなければならない。
③ 炭素に値段をつけるという考え方の実例としてスウェーデンの対応が紹介されている:運輸部門における環境税の導入、バイオ燃料エタノールの導入、都心に入る際の「渋滞税」の導入。エコカーの導入促進。
④ スウェーデンの21世紀住宅(無暖房住宅)の紹介。エネルギー源は太陽光と暮らしから出る熱、人間の体温、厚さ45cmの断熱材の使用。窓ガラスは3重構造、優れた熱交換機の開発・利用。
⑤ EUにおける排出量取り引きの導入。企業への排出枠は国が決める。現在、EUを中心に、米国やオーストラリアにも徐々に広がっている。
⑥ ロンドンの銀行がテレビ会議システムを導入 (私はこの考えには現時点で異論がある) 。 現時点で世界が排出しているCO2量(人為的排出量)は約70億トン、自然が吸収できるCO2の量は約30億トン、したがって、CO2の排出量を半分以下にしなければならないと自然科学者は言っている。
⑧ 個人にできることはたくさんある。人々がこの問題の重要性に気付いて、政治を動かさなければならない。
⑨ 枝廣さんの求めに応じてボードに書いたキーワードは「現状を理解する、政府に訴える、行動する」であった。
⑩ 原子力については一言も触れていなかった。あの分厚いスタンレー・レビューで原子力はどう扱われているのだろう。
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環境政策における経済的手法とは①(07-03-26)
環境政策における経済的手法とは②(07-03-27)
緑の福祉国家15 気候変動への対応④
(3) 開局50周年記念~地球危機2008~
世界のあちこちで大変なことが起こっていることが美しい映像を通して視聴者に投げかけられる。みごとではあるが、しかし、その対応策についてはほとんど触れられていない。
(4) サンデープロジェクト
① 日本がこの問題にいかに真剣に取り組んでこなかったかがわかる。
② 97年の京都会議の議長を決める時に、国際会議では英語が話せなければならないので、外交官である大木浩さんなら英語が話せるという理由で議長を選んだという。
③ 安倍前政権官房長官を務めた塩崎さんによれば、昨年1月の安倍首相の施政方針演説に 「21世紀環境立国戦略」という言葉を入れるために、一昨年末より環境問題を真剣に考えるようになった。三大臣会合(環境大臣、経済産業大臣、外務大臣)で会合を持ったが、すぐ会合は決裂してしまった。ここに内閣府が入って調整することになった。
④ パネリストの中では福山さん(民主党参議院議員)が最も的確に問題を理解していることがわかった。私は「日本が世界に冠たる省エネ国家」だということには同意できないが(省エネ技術を持った国であることは認めるが、省エネ国家ではないというのが私の見解だ)、その他は全面的に同意する。
⑤ 司会の田原さん は今まで景気回復、経済成長一点張りの姿勢を貫いてきたので、環境問題の重要性は表面的にしか理解していないようにみえる。
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今なお低い日本の政治家の「環境問題に対する意識」(07-09-28)
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2007年1月26日の安倍首相の施政方針演説(07-01-27)
不十分な日本の「省エネルギー」という概念、正しくはエネルギー効率の改善という概念だ!(07-11-26)
日本はほんとうに「省エネ」国家なのか? 判断基準の見直しを!(07-03-17)
94年の朝まで生テレビ:評論家田原総一朗の「環境認識」(07-01-28)
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今年2008年は1997年の京都議定書の約束期間の始まりの年であり、7月7日~9日には洞爺湖サミットが予定されています。マスメディアの「環境問題に対する意識」を客観的に知るには最適の新年の幕開けではありましたが、この国のマスメディアは相変わらず芸能、エンタメ、スポーツに力点が置かれているようです。
今日までに放映されたテレビ番組の中から「環境問題」に関する次の番組を見ました。いずれも「地球温暖化」に関するものです。
1月2日(水)午後10:10~12:00
NHK BS1
第一部 NASA科学者 ジェームズ・ハンセン(インタビュー:毛利 衛)
第二部 経済学者 ニコラス・スターン(インタビュー:枝廣淳子)
1月4日(金)午後07:00~11:00
テレビ朝日
開局50周年記念~地球危機2008~ 古舘伊知郎が本気で伝えます・・・・地球温暖化で今何が起きているか
1月6日(日)10:00~11:00
テレビ朝日
サンデープロジェクト「新春とことん激論SP 地球温暖化対策」
司会:田原総一朗
討論者:月尾嘉男・東京大学名誉教授、鴨下一郎・環境大臣、塩崎恭久・元官房長官、桝本晃章・日本経団連地球環境部長、嘉田由紀子・滋賀県知事、福山哲郎・参議院議員(民主党)
番組を見ながら気づいたことを、私自身のためにメモしておきます。
(1) J.ハンセンさん
① 地球の平均気温(地球全域の1年間の平均)という尺度を用いて観測が行われている。現在の地球の平均気温は14℃で、20世紀初めに比べて0.8℃上昇、特に1980年以降、上昇スピードが加速している。これはCO2濃度が上がったためである。
② CO2貯蔵技術が実用化されるまで、これ以上の石炭の利用を止めなければならない。それまで再生可能エネルギーで石炭を徐々に替えていかなければならない。
③ 個人が行動するのではなく、政治家にこの問題を解決してほしいと伝えることだ。
④ 科学が明らかにした事実を政治が真剣に受け止めなければならない。
⑤ 最も大切なことをメッセージに書いてほしいという毛利さんの求めに応じてボードに書いたのは「COAL 80% of Solution」だった。
⑥ これから数年以内に本格的な行動を起こさなければならない。
⑦ 石炭の利用を制限しなければならないというメッセージは強いが、原発についてはまったく触れていない。
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社会的合意形成⑥ 科学者と政治家の役割(07-03-05)
(2) N.スターンさん
① カーボン・フットプリント、カーボン・オフセットという概念が語られた。
② 自動車のガソリンを購入する場合を考えると、ガソリンの原価にガソリンスタンドの利潤が上乗せされた金額を我々は通常払うが、ガソリンの使用により生ずるCO2に対してはなんら対価を払っていない。これまでの経済学ではこのことが無視されてきた。炭素に値段をつけて、炭素の排出が意識されるような経済行為に変えていかなければならない。
③ 炭素に値段をつけるという考え方の実例としてスウェーデンの対応が紹介されている:運輸部門における環境税の導入、バイオ燃料エタノールの導入、都心に入る際の「渋滞税」の導入。エコカーの導入促進。
④ スウェーデンの21世紀住宅(無暖房住宅)の紹介。エネルギー源は太陽光と暮らしから出る熱、人間の体温、厚さ45cmの断熱材の使用。窓ガラスは3重構造、優れた熱交換機の開発・利用。
⑤ EUにおける排出量取り引きの導入。企業への排出枠は国が決める。現在、EUを中心に、米国やオーストラリアにも徐々に広がっている。
⑥ ロンドンの銀行がテレビ会議システムを導入 (私はこの考えには現時点で異論がある) 。 現時点で世界が排出しているCO2量(人為的排出量)は約70億トン、自然が吸収できるCO2の量は約30億トン、したがって、CO2の排出量を半分以下にしなければならないと自然科学者は言っている。
⑧ 個人にできることはたくさんある。人々がこの問題の重要性に気付いて、政治を動かさなければならない。
⑨ 枝廣さんの求めに応じてボードに書いたキーワードは「現状を理解する、政府に訴える、行動する」であった。
⑩ 原子力については一言も触れていなかった。あの分厚いスタンレー・レビューで原子力はどう扱われているのだろう。
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① 日本がこの問題にいかに真剣に取り組んでこなかったかがわかる。
② 97年の京都会議の議長を決める時に、国際会議では英語が話せなければならないので、外交官である大木浩さんなら英語が話せるという理由で議長を選んだという。
③ 安倍前政権官房長官を務めた塩崎さんによれば、昨年1月の安倍首相の施政方針演説に 「21世紀環境立国戦略」という言葉を入れるために、一昨年末より環境問題を真剣に考えるようになった。三大臣会合(環境大臣、経済産業大臣、外務大臣)で会合を持ったが、すぐ会合は決裂してしまった。ここに内閣府が入って調整することになった。
④ パネリストの中では福山さん(民主党参議院議員)が最も的確に問題を理解していることがわかった。私は「日本が世界に冠たる省エネ国家」だということには同意できないが(省エネ技術を持った国であることは認めるが、省エネ国家ではないというのが私の見解だ)、その他は全面的に同意する。
⑤ 司会の田原さん は今まで景気回復、経済成長一点張りの姿勢を貫いてきたので、環境問題の重要性は表面的にしか理解していないようにみえる。
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94年の朝まで生テレビ:評論家田原総一朗の「環境認識」(07-01-28)
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