環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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エコロジー89会議 「地球的環境問題」

2007-02-11 17:12:33 | 環境問題総論/経済的手法
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1989年秋、世界の専門家12名が「地球的環境問題」を議論するためにスウェーデン第二の都市「ヨッテボリ」に集まりました。「会議での議論の末に提起された地球的環境問題は次のとおりであった」とスウェーデンの国際的な環境問題の専門誌「AMBIO」はその第18巻6号(1989年)で報じています。

(1)人口の増大                        
(2)生物的多様性とその保全       
(3)気候の変動              
(4)森林の減少             
(5)有害廃棄物             
(6)土壌の劣化             
(7)バイオテクノロジーに由来する危険性 
(8)環境悪化を進めるエネルギー生産   
(9)人間の無知と変化への恐怖
(10)南北の対立
(11)対立する政府の政策
(12)軍事的不安定と民主主義の欠如 
(13)危険性の認知
(14)病原体
(15)都市環境
(16)労働環境
(17)資源の消失

そして、公式な結論は出なかったそうですが、議論を通じて明らかになったことは
(1)環境問題は「貧困(Poverty))と「豊かさ(Affluence))の両方から生じている。
(2)人口の圧力と資源の利用形態があいまって先進国と発展途上国の双方に問題を生じている。
と述べています。

ここで提起された「地球的環境問題」は日本の「地球環境問題」をはるかに超えた「日常的な国際問題」そのものであることがおわかりいただけると思います。

また、このような環境問題に対して「技術による対応」には非常に限界があること が、ご理解いただけるでしょう。地球的環境問題に対する認識で日本と国際社会の間に大きな落差があります。

1972年の第1回国連人間環境会議や10年後の1982年の「環境の酸性化に関するストックホルム会議」に象徴されるように、スウェーデンが地球的環境問題の重要性を認識し、具体的な行動を起こしたのがすでに30年以上前のことであり、しかもなお、その認識を今日まで持ち続けていることがおわかりいただけるでしょう。

1972年 第1回国連人間環境会議(ストックホルム)
  92年 環境と開発に関する国際会議(地球サミット、リオデジャネイロ)
2002年 持続可能な開発に関する世界サミット(ヨハネスブルグ)
  
ちなみに、日本で「地球環境問題」といいますと、「地球温暖化」、「オゾン層の破壊」、「酸性雨」、「海洋汚染」、「有害廃棄物の越境移動」、「熱帯林の減少」、「野生生物の減少」および「砂漠化」の8つの問題をさすようですが、これらのいわゆる「地球環境問題」というのは、日本の行政機関が環境行政上の枠組みとして、その現象面に着目して設定した問題群で、日本独自の概念です。 

「地球環境元年」という言い方があるとすれば、スウェーデンにとっての地球環境元年は国内で「環境の酸性化論争」が起こった1968年日本にとってのそれは1988年ということになるでしょうか?



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