環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

なぜ、先駆的な試みを実践し、世界に発信できるのだろう⑧    国の方向を決めた政治的選択 

2007-08-25 07:42:52 | 政治/行政/地方分権

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今年1月1日に開設したこのブログ「環境・経済・福祉(社会)、不安の根っこは同じだ! 将来不安こそ、政治の力で解消すべき最大の対象だ」は、早いもので今日、237日目を迎えました。この間、一日も休むことなく掲載し続けた記事は今日のこの記事で、通算300本目となります。

スウェーデンは、1813年のナポレオン戦争以来190年以上、戦争に参加していません。第2次世界大戦後から「非同盟・武装中立の立場」を守ってきました。1990年8月に始まり、91年1月に終わった「湾岸戦争」や、2003年3月に始まった「イラク戦争」へ軍隊を派遣していない国(北欧諸国では、ノルウェーとデンマークがイラクへ軍隊を派遣)でもあります。
 
60年代末に核兵器の開発と保有の権限を放棄するという平和主義路線の選択を決定したこと、軽水炉型原子炉技術を独自に開発したのは、世界で米国、ソ連、スウェーデンの3カ国だけであること(英国、フランス、ドイツ、日本などは米国からの技術導入)という事実はあまり知られていないかもしれません。

また、よく知られるように、240年もの歴史がある「情報公開制度」と、195年以上の歴史がある「オンブズマン制度」(行政の独走や不正をチェックする国会の制度)があること、

男女同権の立場から第一子に王位継承の最優先権を認めた世界初の国であること、世界初の「個人情報保護法」 (1973年成立、98年改正)を持つ国であることなども、日本の近未来を考えるときに参考になるでしょう。ちなみに、日本の「個人情報保護法」は2005年4月1日から全面施行されました。
 
そして、「郵政民営化」を11年前の1994年に実施したこと、いま最もホットな話題である「年金問題」では、世界に先駆けて「新公的年金制度」 (1999年施行)をつくりあげた国であること、EUの環境戦略をリードする国(EU内閣の環境担当相は2004年4月までスウェーデンのマルゴット・バルストレムさんであった)であること、などの事実を知る人は少ないでしょう。

また、スウェーデンは日本とは違って、バブルの崩壊を克服し、それにともなう「不良債権の問題をすみやかに解決した国」でもあります。

1987年には米国に次ぐ世界第2位の経済規模(GDPの大きさ)を誇った日本は、最近でこそ多少明るいきざしが見えてきたとはいえ、10年以上も経済停滞を続け、国際社会を驚かせました。一方、スウェーデンは、90年代初めには日本と同じようなバブル崩壊で経済が一時停滞しましたが、短期間で停滞を抜け出しました。

1993年から現在に至るまで好調な経済を維持しながら、2025年には、主な環境問題を解決した新しい社会である「緑の福祉国家」を次世代に引き渡すことをめざして、力強い一歩を踏み出したところです。
 
これらの政治的選択が、現在のスウェーデンの基礎をつくっていることは間違いないでしょう。私の環境論の考えの一つの柱である「今日の決断が将来を原則的に決める」とする経験則の応用問題です。

こうした両国のあり方の違いは、政治のリーダーシップにあると私は見ています。

ですから、日本にできなかった実績を持つスウェーデンの政治や政策、すなわち21世紀前半の具体的な行動計画を分析し、提示することは、21世紀前半にめざすべき日本の「持続可能な社会」の方向性を議論するときの参考になると考えました。

このブログでは、こうしたスウェーデンの、主として80年代半ば以降の、「緑の福祉国家」に転換するための政策の枠組みと私が理解した20世紀の「福祉国家」の大枠を紹介し、大きな見取り図を支える制度がどのようにして整えられてきたのかを明らかにしよう試みています。

私にとってスウェーデンはどうでもよいのです。グローバル化した市場経済システムのもとで、彼らが自ら選択した「生態学的に持続可能な社会」の実現に向けてひたすら努力を続けてくれさえすれば・・・・・

私にとって心配なのは、この日本です。私が意を決して今年1月1日にこのブログを開設し、私が理解したスウェーデンと日本の状況を「私の環境論」に基づいて書き続けてきたのは、21世紀前半の日本の国づくりの話のお役に立てば、と考えてきたからにほかなりません。

明日、8月26日(日)に、21世紀に生きる若い人たちが中心となってつくる 「持続可能なづくりの会<緑と福祉の国・日本>の設立総会が開かれます。



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