残るアナログ、というかデジタルを含めた記憶媒体は磁気テープです。
…ええと、そんなこと言うと紙テープ(鑽孔(さんこう)テープ、穿孔(せんこう)テープ)とか紙カード(IBMパンチカード)はどうなるのだ、ですが、これが音声記録に利用されたことは無いはずです、多分、恐らく(私ならやりかねない)。ううむ、音声PCMデータを紙テープに保存する…、か。テープの長さを計算するととんでもないことになりそうです。冗談です、念のため。
あ、酔狂にも計算したい方のために言っておくと、普通は110ボー(baud)ですから、8bitを1秒間に11欄程度、つまり11バイト/秒くらいの速度です。私が一時期、某大学教室で試させていただいたとある国産ミニコンに付属していたテレタイプ社の紙テープ穿孔機はものすごい音をうなり上げて、推定30バイト毎秒くらいの出力速度を誇っていたと思います。読み込みは後期には光学式でしょうから、紙テープが切れない範囲での速度で、理論的には読み込めるはずです。
磁気テープに戻って。最初はテープでは無く鋼鉄線に音声を記録したそうです。テレビ版のミッション:インポッシブル(スパイ大作戦)で見たことがあります。普通はボビン(bobbin: 糸巻き)に巻きますが、ばらすと単なる長い針金に見えて、隠蔽するのに役立った、みたいな。私は動作していないワイヤータイプのテープレコーダは見たような気がします。
酸化鉄等の細かい結晶をバインダー(糊)で強靱なプラスチックテープに塗りつけた、現在で言う普通の磁気テープは20世紀の前半には実用化されていたようです。
私が最初に見たのは、小学4年生の頃、何を思ったのか、私の父が私にナショナル(パナソニック)の語学学習用の廉価版オープンリールテープレコーダを買ってくれました。その少し前、近所の友人宅で、ソニーの5インチリールのテープレコーダを見た記憶があります。そう、その当時はテープレコーダと言えばソニーでした。ナショナルのは随分ハイカラだったと思います。リールは直径3インチほどだったか。テープ幅はカセットテープの倍で、走行速度はカセットと同じはずです。モノラルで、しかし巻き取ると裏返しになりますから、テープは上下に区分されていて、裏返して装着して、そのまま使えます。もちろんこれで実用です。
その後、程なくコンパクトカセットが出現しました。オランダのフィリップス社の発明だそうで、1970年頃から普及タイプでは上述のオープンリールタイプを素早く駆逐してしまいました。