アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

関東近郊の非電化区間に入線した臨時列車

2020-01-24 20:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

長きにわたって鉄道撮影を続けていると、車両もさることながら、路線や風景ですら大きく様変わりしてしまい、昔感じたような原風景は消滅していることが多々ある。最近訪れた山手線沿線でさえ、知らないうちに背後にそびえるビル群が目新しくなっていて、かつてと勝手が違い少々戸惑ってしまった。

アントンKにとっては、変わり方が半端ない路線の一つに川越線が上げられる。近年までこの川越線は、大宮から川越を通り高麗川へ抜ける非電化の路線だった。沿線に昔から親戚が住んでいたから、幼少の頃からこの川越線には乗車経験が多々あり、うる覚えだが、9600型の蒸機列車の記憶まで残っている。そんな関係で、大宮構内で多くの時間を過ごした事は日常茶飯事で、ガキの駅撮り写真はそれこそ数多く残っている。そんな川越線が電化されると聞いた時は衝撃だった。それも新しい埼京線からの直通運転と聞いて、二度驚嘆したものだ。

掲載画像は、すでに鉄道写真には精力的に挑んでいた時代の川越線の臨時列車。こんなわけで、それなりに思い入れのある路線だったから、臨客や珍客には特に目を光らせていたが、なかなか実現せず、やっとのことでお座敷列車入線の情報を掴んだ時のもの。こんな珍しい日に限って冷たい秋雨煙る日和だったが、昔から良く散歩に出かけていた上郷橋の築堤で待ち受けた。今ではここにE233系電車が我が物顔で行き交っている。

1982-10-24    回9837ㇾ DE10534    12系(オク座)  川越線:指扇付近


尾高のブルックナー第3~大阪フィル東京公演

2020-01-22 22:00:00 | 音楽/芸術

久しぶりの音楽鑑賞となった。1月もはや後半となったからいつになく遅いペースになったかもしれない。それはともかく、大変久しぶりにブルックナーの第3交響曲を大阪フィルで聴く。そのことだけでもアントンKにはトピックだったのだ。数年前、同じ大フィルで「大ブルックナー展」と称して井上道義氏がチクルスを演奏したが、今回の第3番は、どういう訳か外されていた。こうなると同オケでの鑑賞はそれこそ朝比奈時代までさかのぼる計算になる。いずれにせよ、この第3は、アントンKにとって第8と並んで、昔から最も重要な鑑賞楽曲なのだ。前日から心落ち着かず、眠れぬ夜を過ごし、当日赤坂まで出向いた。

ちょうど1年前、やはり大阪フィルの東京公演を鑑賞して、このブログでも記事にしている。尾高忠明と言えば、エルガーに定評があるが、今回は前プロにエルガーのコンチェルトを置き、メインはブルックナーとなったのだ。ブルックナーを振りたくて指揮者になったと自ら公言されている尾高氏だが、以前聴いたブルックナーは、とても関心出来るものではない印象だった。あれから20年以上の歳月が経ち、どんな演奏を聴かせてくれるのかが、アントンKにとって今回の最大の聴きどころとなった。

さて尾高氏のブルックナーだが、総じて過去のイメージを払拭するようなダイナミックな解釈で全体をまとめ上げていた印象を持った。譜面に忠実に真っすぐに向かい、奇手を狙わずまとめ上げているので、まずは聴きやすく素直に楽曲に身を置くことが出来たのは幸いだった。たとえば1楽章の出の部分、弦楽器による刻みもしっかりと聴き取れ、その土台にテーマが乗り、大きな音楽が構築されていた。ここの主題の提示までで、およそこの演奏解釈は想定でき、今思えばその想定は的を得ていたと言える。やはり生真面目さが音楽に表れ、ブルックナーの大きさと素朴さが今一つアントンKには響かなかった思いがしている。オケ全体の響き自体は、どこか1本線が張っているような統一感があり素晴らしかっただけに残念に思う。

しかし各々の演奏者は、凄まじいエネルギーで熱演を繰り広げ、演奏中、間地かでそれを感じるだけでアントンKは満足してしまったことを白状しておく。木管群の囁きは、比類なく美しく響き、金管群は随所で荒れ狂いオケを熱くしていたが、やはり一番印象に残ったのは、弦楽器群の非情なまでの集中力と和声の統一感だった。ベース、チェロに聴く分厚い低音は朝比奈時代を彷彿とさせたが、何といってもヴァイオリン、ビオラにおける音色の統一感は素晴らしいと感じた。ブルックナー、それも今回の第3交響曲で、例のブルックナーリズム(2-3)が形成され、ブルックナーの霧と言われる弦楽器の刻みが随所に現れているが、それらが明確に表現されていて、しかも全総になってもかき消せられずに、まるでパイプオルガンの響きのようにしっかりと聴き取れたのだ。この弦楽器パートでは、やはりコンマスの崔文洙氏の並々ならぬ下支えがあったからこそだと理解している。現に崔氏の響きの大きさは群を抜き、その音色全てに意味を感じる。明らかにオケ全体を引っ張っていることが容易にわかったのだ。

思えば、長年聴いてきた大阪フィルも随分と音色が変わった。朝比奈時代とは比べられないほど上手く機能的なオケに成長したと言えるのではないか。そこには、音楽に対し志の高いコンマスの崔氏をはじめとするメンバーが多々集まり、さらに充実した演奏をもとめて努力している結果なのだろう。こうなると、今の大フィルを朝比奈が振ったらどんな演奏になるのだろう?と夢のまた夢を妄想することも楽しみの一つに成りうる。だから音楽鑑賞は辞められないのだ。

大阪フィルハーモニー交響楽団 第52回東京定期演奏会

エルガー  チェロ協奏曲 ホ短調 OP85

ブルックナー 交響曲第3番 ニ短調「ワーグナー」 (第三稿)

指揮 尾高 忠明

チェロ スティーヴィン・イッサーリス

コンマス 崔 文洙

2020年1月21日  東京サントリーホール


晩年の急行「天の川」~EF58

2020-01-21 19:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

北のEF58の続きで、上越スジの夜行列車だった急行「天の川」秋田行き。

アントンKが鉄道撮影を始めた時代には、まだ上信越線に多くの夜行列車の設定があった。能登、鳥海、天の川、越前、北陸。ざっと列記しても客車列車で5本。電車の夜行も含めればさらに増え、今に思えば最も鉄道が輝いていた時代だったと言える。この時代、信越線経由の「越前」のみEF62が担当、上越線周りは全てEF58のけん引だった。しかし老朽化していた北のゴハチに代わり、EF641000番台が1980年に登場すると、徐々に優等列車への充当が始まってしまうのだった。

そんな過渡期に大宮駅で撮影した急行「天の川」。この時点では能登と北陸はロクヨンセンに置き換わったいた。やはりゴハチには20系客車が似合うと感じながらシャッターを切った1枚。この時、ロールアウト仕立てのEF64は、現代でも活躍している訳で、変わりゆく鉄道風景を懐かしんでいる。

1981-08-29   803ㇾ  EF58136   急行「天の川」  東北本線:大宮駅


思い出多き北のEF58たち

2020-01-20 15:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

東海道スジを走るEF58に比べて、個性が乏しくファンには嫌われがちだった北のEF58たち。ここでは高崎第二機関区、長岡機関区のEF58について振り返ってみたい。

アントンKには、自分の撮影チャンスからか、駆け出しの時代から北のEF58には馴染みがあり、よって愛着が沸きそれなりに楽しめていた。しかし、その後東海道線を走る個性豊かなゴハチを知ってしまうと、かなり北のゴハチへの想いも変化してしまったという事実は確かにある。当時を思うと、撮影に出向く頻度が北と南とで逆転していくのだった。

ここでは、そうなる前の時代から1枚。隅田川からの東北線を北へと向かう荷物列車で、少し前まではEF56が最後までけん引していた事で知られていた荷41列車。個性が乏しい高二のカマの中では、ヒサシが上を向き独特の表情を醸し出していた59号機だ。続く客車も、パレット式の貨車に見える車両ではなく、いわゆる雑形客車が連なり、編成もとても好みでよく狙いに行ったもの。撮影場所も今では全く姿を変えてしまったことだろう。

1978-08-02   荷41ㇾ  EF5859                  東北本線:赤羽付近


よく見られた「新子安」の日常

2020-01-19 17:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

京浜東北線新子安駅は、鉄場所(鉄道撮影に適したポイント)だと先輩に教わってから、早40年以上。それまでのアントンKは、都内近郊の沿線でのみ、カメラ小僧として走り回ってきたから、この駅は最初とても新鮮に感じたものだ。最近も仕事でこの駅に降り立ち、ホームから懐かしく北行側、南行側を眺めてきた。線路そのものは同じに見えるが、やはり周りの建物が随分と高くなり、かつ密集しているように思えた。流行の線路間のロープは、ここでもはびこっていて目障りになり、遠くには首都高速の高架線も見えるようになっていた。

ここでの撮影を目的でバケペン300mmを購入したことは前にも書いたが、今でも通用するのだろうか。ちょっとカビの生えかけた話になってしまった。

こんな思い出から、昔の新子安駅より撮影した画像を掲載。東京区のEF5849による宗教臨と呼ばれた12系編成の臨時列車。下り線には、尾灯が点いた旧型客車が見えているが、これは時間からいって荷33列車。いつもこの付近ですれ違っていたことを思い出した。ただし宗教臨の方は定期列車ではなく、光が悪い列車としてよほど特別に調べていないと頭からは外されていた列車だったように思う。この時も、荷物列車の方が撮影のメインで、振り返りざまに現れた宗教臨をホームの中ほどから撮影していることが、フィルム番号から理解できる。ゴハチけん引の客車列車が、日中行き交うのが日常の光景。そんな贅沢とも言えるシチュエーションを当時もっと感じていれば良かった。

1978-10-14  6314ㇾ   EF5849         東海道本線:新子安