アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

新春に聴くショスタコの豪演!~DSCH弦楽四重奏団

2023-01-09 21:00:00 | 音楽/芸術
久々に出向く錦糸町は、日の温もりを感じることのできる比較的穏やかな日和だった。仕事でこの年末年始、時間が無くなり、思い通りに動けなかったのは初めての経験だった。それはそれで新たな発見が多々あり充実感はあったものの、自分の時間が圧迫されることは今後の士気に関わること。何とかしたいところだが、おそらく時間が解決してくれると楽観している。
さて新年早々に鑑賞する演奏会は、ショスタコーヴィチの室内楽曲となった。崔文洙氏が企画構成して生まれた、DSCH弦楽四重奏団によるショスタコ四重奏全曲チクルスの第一回目にあたり、今後5年かけて全15曲の弦楽四重奏曲を演奏するという壮大な構想なのだそうだ。
 長年その魅力的な音色を奏でて、オケのコンマスとして、またソリストとして大活躍されている崔氏であるが、今回の演奏会を鑑賞して、アントンKの中でその響きの答えがより明確化したように感じた。ソヴィエトで研鑽を積まれた崔氏だからこその奏法であり、そこから生み出される深い音色は、特に今回のようなショスタコーヴィチで、音楽の真実に迫る響きの世界を享受していたと思わざるを得ない。打楽器?!こそ聴こえないが、そこで生まれたショスタコの音楽は、アントンKが知る交響楽そのものに感じ、人間の喜怒哀楽のような全ての感情や明日への希望を感じることが出来た。彼のベートーヴェンやバッハも大好きだが、今回のショスタコーヴィチの演奏は、長年積み重ねてきたスケールの大きさを感じたのである。もちろん他のメンバー達の気迫も尋常ではなかった。まるでショスタコの魔法にかかってしまったかのように、舞台の4名から発せられる「気」が、聴衆を飲み込んでいたような錯覚さえもったのだ。特に第2番の終曲に観る響きの深さ、第3番の天国的な聡明な美しいハーモニーはアントンKの心に深く残っている。
 これまでショスタコーヴィチと言えば、「森の歌」を筆頭に数曲の交響曲とコンチェルトくらいしか、聴き込んでこなかったアントンKだから、今回の室内楽は、自分にとっても新たな発見があり、今後のチクルスも楽しみになっている。数年前のブルックナー演奏で、コンマスとしての独自性に衝撃を受け、以来アントンKを色々な音楽の世界へ導いて下さる崔文洙氏は、現在アントンKの音楽の道しるべであり指標となった。さて次の演奏会、月末の「英雄の生涯」。どんな内容で迫ってくるのか、今から楽しみでならない。

ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲

弦楽四重奏曲第1番 ハ長調 OP49
弦楽四重奏曲第2番 イ長調 OP68
弦楽四重奏曲第3番 ヘ長調 OP73
アンコール
弦楽四重奏曲第8番より

DSCH弦楽四重奏団
Vn      崔 文洙
Vn    ビルマン聡平
Vla     安達 真理
Vc      植木 昭雄

2023年1月8日 すみだトリフォニー小ホール




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