風雅遁走!(ふうがとんそう)

引っ越し版!フーガは遁走曲と訳される。いったい何処へ逃げると言うのか? また、風雅は詩歌の道のことであるという。

平成見せ物繁昌記(1)/酉の市にて魔界にさまよう

2005-11-23 13:19:34 | 東京暮色/秋~初冬
otora_torinoiti_1大寅興行が見事に復活した。ボクが川越まつりで見た見せ物小屋は、やはり大寅興行の若手の小屋掛けだったし、あの19歳のヘビ娘は小雪太夫という名で、ボクが直感した通りオミネ太夫の御弟子さんだった。
そして今回、押すな押すなの超満員状態の中で師弟競演の芸が繰り広げられたのだ。あの「悪食の実見」(シマヘビの頭を食いちぎり生き血を飲む)を初々しい美少女の小雪さんが、口から生血をしたたらせて実演し、引退間際のオミネさんは蝋燭の蝋を口で受け止めて炎を吐き出すと言う芸で健在ぶりを見せてくれた(小雪太夫はこの業も、鎖の鼻通しもマスターしている)。

それに今回うれしいことに、オミネさんとともにあのインド産だという錦ヘビが帰ってきたのである。3年ぶりに見た錦ヘビはまた一段と大きくなっていた。持ち上げるのも4人がかりだ。
ボクの財布にはこの錦ヘビの脱皮した皮のカケラが数年分入っている。金運が良くなると言うふれこみでもらってきたのものだが、むしろ多すぎると相殺するのか、ありがたい御利益にさずかったことはいまだないが、それでもこの大蛇には愛着がある。
大寅興行さんの小屋掛けの入り口には、さてもそれが若い頃のオミネ太夫がモデルなのか、白い衣をまとった妖艶な娘が身体を錦ヘビに巻かれて微笑んでいる看板がある。『見せ物小屋の文化誌』の表紙に使われた絵だ。背景は霧にけむる深山のようで、どうやら樹氷のようなものがあり雪景色のようだ。
この看板絵はその実、大寅興行の中心演目である「ヘビ娘」の出自のファンタジーというか、設定におおいにからむ看板絵なのだ(写真1参照)。

19歳の弟子小雪太夫を発見したのも月山ということになっているのも、この小屋で呼び物になっている「ヘビ娘」のファンタジーとその設定におおいに関連することなのだ。
つまり、「ヘビ娘」はウソかマコトか「東北の霊山月山に住むという 伝説の女 山岳の魔女 白衣の妖怪」ということになっており、つまりそれがオミネ太夫ということなのだ。
オミネさんは小柄だが、きっと若い頃には妖艶なお身体をしていたに違いない。いまは容姿もわからないほど白塗りになさっているが、きっと美人だったに違いない。
それは、身体を大蛇にグルグル締め付けられたもうひとつの看板絵からも想像させる。そして、その想像のファンタジーは月山からオミネさんが、探してきたと言う実はアングラ劇団月蝕歌劇団の女優だった小雪さんに引き継がれられ、小雪さんは、若い頃の妖艶なオミネさんを彷佛とさせるような妖艶な魅力をたたえた美少女ときているから、美少女好きのボクにはたまらないのだ。
(写真1/魔界への入り口にかかげられた「ヘビ娘」の看板絵)

(つづく)




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